35 / 65
第1章
第34話:魔族との戦闘③
しおりを挟む
──その日、王都の人々は目にした。
ドラゴンの頭に乗った黒衣の人物が魔族達を一瞬にして消滅させる所を。
俺とゼノアは再び漆黒の繭に包まれる。
今度は球体が霧散し人の姿になったゼノアが俺の横にいる。
俺とゼノアはゆっくりと地上へと降り立ち、下にいた面々が何が何だかといった表情のまま固まっていた。
「帰って寝るか」
「じゃな」
俺とゼノアはギルマス達をスルーして宿に戻ろうとする。
そこに再起したギルマスが慌てて声を掛ける。
「ま、待ってくれ! そなたFランクなのではないのか!?」
歩きながら振り向かずに答える。
「Fに決まってるだろ。証拠にほら」
そう言ってポケットから、冒険者カードを取り出して上に掲げて証拠を見せる。
ギルマスは暗くて良く見えないにしろ、確かにFランクのカードであった。
「二人とも名前を聞いていいか?」
再び問うギルマスに俺は立ち止まり最初のときと違う事を言う。
「無名の化け物と」
「最強のドラゴンじゃ」
ギルマスはただただ無言になる。
そこにネインが俺とゼノアの元へと駆け寄りとんでもない事を口走る。
「私をあんた達の弟子にしてくれ! いや、お願いします!」
「「断る(のじゃ)」」
即答で断る二人に「もう少し考えてもいいのでは?」と聞くも帰ってくる答えは同じ。
「私を好きにしていいからお願いだ!」
おかしくなったのか、とんでもない事を口走るネインに、他の面々がまさかそこまでしてネインが弟子入りをしたいなんて思いもしなかった。
「とんでもない事を口走るな! てか俺はコイツがいれば十分だから」
そう言って俺はゼノアの頭を撫でる。ゼノア自身は「ゼノアがいれば十分」と言われ少し顔を赤くして照れている。
とても可愛らしいドラゴンである。
「そんな! お願いだ! 私はどうしても強くならなければいけないだ!」
「そこまでして弟子入りする理由が俺には分からない。はぁ……こん厄介な事になるなら終焉の森に篭ってれば良かった……」
「同感じゃ。あそこは殺伐としてるが慣れれば楽しいからのう」
「だな」
終焉の森と言われ固まるみんな。
ネインが口を開く。
「何処に住んで居たか聞いてもいいか?」
答えるか迷ったが、口に出してしまってはもう遅い。
嘘を付いても良いが正直に答える。
「”死を呼ぶ終焉の森”だ。あそこは適応すれば住みやすい」
「妾はお主に眠りを邪魔にされたのじゃが?」
「でも楽しいだろ?」
「無論じゃ!」
二人して微笑む。そんな俺とゼノアとは対照的にネインやギルマス達はというと全員が絶句していた。
「ま、まさか……だがあそこは勇者や英雄でも入ったら出れないと」
「あのダンジョンは魔王ですらも近ずかないと言われるほどだ……」
ギルマスは適応したのならレベルはと思い尋ねる。
「……因みにあのダンジョンの魔物の平均レベルを聞いてもよいか?」
「まあいいが。ゴブリンでレベル100はあった。奥に行くに連れてレベルは600くらいかな? 最高峰の山に住むドラゴンは平均6500くらいだったな」
さらに絶句する面々。そりゃ勇者でも英雄でも帰って来れないわけである。
さらに聞くか迷ったギルマス。そこにネインがギルマスが聞こうと思った事を尋ねる。
「それなら適応したと言うあなた達のレベルはいったい……」
俺は迷った。なんせレベルが『???』なのだ。ゼノアに至ってはレベルが15000だ。
これを正直に言うか迷ったが、ゼノアが答えてしまった。
「妾はあの森の支配者なのじゃ。レベルは15000なのじゃ!」
「何正直に答えてんじゃボケェェェエ! 適当に誤魔化せよ!」
「ご主人よ、耳が痛いのじゃ。別にいいじゃないか。誰も勝てないのじゃから」
「それもそうだな」
納得してしまう。
自分達を超えられる者がいたのなら一度見てみたいものである。
「俺はレベル三万になって進化したからレベルは『???』になったから知らん。そんじゃおやすみ~」
更に絶句するみんなを無視して俺は宿に戻るのであった。宿に戻ると待っていたフィアが「お兄ちゃん魔族とやらは大丈夫だったの?」と聞かれて笑顔でこう答えた。「何言ってる。お兄ちゃんは最強だから誰にも負けるもんか!」と。
だがもう一人。ここにいる。そうメリルである。
心配そうに見つめられ口を開こうとする前にこちらから言葉をかける。
「大丈夫だったか?」
「う、うん! 大丈夫だよ! 聞きたいんだけど空であった爆発はもしかして……それにドラゴンも見えて……」
あの光景を遠くでも見える筈である。
正直に答える。
「あの攻撃は俺でドラゴンはゼノアだ」
「うむ。妾はドラゴンで竜王なのじゃ!」
無い胸を張るゼノアさん。少し虚しく感じるのは気の所為だろうか?
結局メリルに話す事になり、戦闘に出て行く前に言った話の続きを話す事になるのであった。
勿論次の日は爆睡であった。
ドラゴンの頭に乗った黒衣の人物が魔族達を一瞬にして消滅させる所を。
俺とゼノアは再び漆黒の繭に包まれる。
今度は球体が霧散し人の姿になったゼノアが俺の横にいる。
俺とゼノアはゆっくりと地上へと降り立ち、下にいた面々が何が何だかといった表情のまま固まっていた。
「帰って寝るか」
「じゃな」
俺とゼノアはギルマス達をスルーして宿に戻ろうとする。
そこに再起したギルマスが慌てて声を掛ける。
「ま、待ってくれ! そなたFランクなのではないのか!?」
歩きながら振り向かずに答える。
「Fに決まってるだろ。証拠にほら」
そう言ってポケットから、冒険者カードを取り出して上に掲げて証拠を見せる。
ギルマスは暗くて良く見えないにしろ、確かにFランクのカードであった。
「二人とも名前を聞いていいか?」
再び問うギルマスに俺は立ち止まり最初のときと違う事を言う。
「無名の化け物と」
「最強のドラゴンじゃ」
ギルマスはただただ無言になる。
そこにネインが俺とゼノアの元へと駆け寄りとんでもない事を口走る。
「私をあんた達の弟子にしてくれ! いや、お願いします!」
「「断る(のじゃ)」」
即答で断る二人に「もう少し考えてもいいのでは?」と聞くも帰ってくる答えは同じ。
「私を好きにしていいからお願いだ!」
おかしくなったのか、とんでもない事を口走るネインに、他の面々がまさかそこまでしてネインが弟子入りをしたいなんて思いもしなかった。
「とんでもない事を口走るな! てか俺はコイツがいれば十分だから」
そう言って俺はゼノアの頭を撫でる。ゼノア自身は「ゼノアがいれば十分」と言われ少し顔を赤くして照れている。
とても可愛らしいドラゴンである。
「そんな! お願いだ! 私はどうしても強くならなければいけないだ!」
「そこまでして弟子入りする理由が俺には分からない。はぁ……こん厄介な事になるなら終焉の森に篭ってれば良かった……」
「同感じゃ。あそこは殺伐としてるが慣れれば楽しいからのう」
「だな」
終焉の森と言われ固まるみんな。
ネインが口を開く。
「何処に住んで居たか聞いてもいいか?」
答えるか迷ったが、口に出してしまってはもう遅い。
嘘を付いても良いが正直に答える。
「”死を呼ぶ終焉の森”だ。あそこは適応すれば住みやすい」
「妾はお主に眠りを邪魔にされたのじゃが?」
「でも楽しいだろ?」
「無論じゃ!」
二人して微笑む。そんな俺とゼノアとは対照的にネインやギルマス達はというと全員が絶句していた。
「ま、まさか……だがあそこは勇者や英雄でも入ったら出れないと」
「あのダンジョンは魔王ですらも近ずかないと言われるほどだ……」
ギルマスは適応したのならレベルはと思い尋ねる。
「……因みにあのダンジョンの魔物の平均レベルを聞いてもよいか?」
「まあいいが。ゴブリンでレベル100はあった。奥に行くに連れてレベルは600くらいかな? 最高峰の山に住むドラゴンは平均6500くらいだったな」
さらに絶句する面々。そりゃ勇者でも英雄でも帰って来れないわけである。
さらに聞くか迷ったギルマス。そこにネインがギルマスが聞こうと思った事を尋ねる。
「それなら適応したと言うあなた達のレベルはいったい……」
俺は迷った。なんせレベルが『???』なのだ。ゼノアに至ってはレベルが15000だ。
これを正直に言うか迷ったが、ゼノアが答えてしまった。
「妾はあの森の支配者なのじゃ。レベルは15000なのじゃ!」
「何正直に答えてんじゃボケェェェエ! 適当に誤魔化せよ!」
「ご主人よ、耳が痛いのじゃ。別にいいじゃないか。誰も勝てないのじゃから」
「それもそうだな」
納得してしまう。
自分達を超えられる者がいたのなら一度見てみたいものである。
「俺はレベル三万になって進化したからレベルは『???』になったから知らん。そんじゃおやすみ~」
更に絶句するみんなを無視して俺は宿に戻るのであった。宿に戻ると待っていたフィアが「お兄ちゃん魔族とやらは大丈夫だったの?」と聞かれて笑顔でこう答えた。「何言ってる。お兄ちゃんは最強だから誰にも負けるもんか!」と。
だがもう一人。ここにいる。そうメリルである。
心配そうに見つめられ口を開こうとする前にこちらから言葉をかける。
「大丈夫だったか?」
「う、うん! 大丈夫だよ! 聞きたいんだけど空であった爆発はもしかして……それにドラゴンも見えて……」
あの光景を遠くでも見える筈である。
正直に答える。
「あの攻撃は俺でドラゴンはゼノアだ」
「うむ。妾はドラゴンで竜王なのじゃ!」
無い胸を張るゼノアさん。少し虚しく感じるのは気の所為だろうか?
結局メリルに話す事になり、戦闘に出て行く前に言った話の続きを話す事になるのであった。
勿論次の日は爆睡であった。
51
あなたにおすすめの小説
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!
yoshikazu
ファンタジー
橘 涼太。高校1年生。突然の交通事故で命を落としてしまう。
しかしそれは神のミスによるものだった。
神は橘 涼太の魂を神界に呼び謝罪する。その時、神は橘 涼太を気に入ってしまう。
そして橘 涼太に提案をする。
『魔法と剣の世界に転生してみないか?』と。
橘 涼太は快く承諾して記憶を消されて転生先へと旅立ちミハエルとなる。
しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる