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第2章
第57話:やらかしてしまった実技授業
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俺達一行は第一訓練場に到着した。
第一訓練場は広々としており観客席もあるようだ。
ザインは授業の説明を始める。
「今回はここで一人ずつ、各々が得意とする魔法を放ってもらう。安心しろ。お前ら程度の攻撃では訓練場に張られた結界、いやそもそもその壁すらも破壊出来ないからな」
ハッハッハー、と笑うザイン出会ったが、クレアが俺とゼノアにザインに聞こえないくらいの小声で言ってきた。
「アキトさんにゼノアさん。くれぐれも破壊しないようにお願いしますよ?」
「任せろ」
「うむ」
俺とゼノアの発言にクレアは小声で、「不安です……」と呟いた。
何が不安なのか、クレアを問い詰めたいところだが、ザインが誰がやるかを見渡していた。
「誰か最初にやりたい者はいるか? 誰でも構わない」
見渡すも誰もやろうとする者はいなかった。
そしてザインを見ると──目が合ってしまった。
「よし。ここは首席にやってもらおうではないか」
「……おいおい」
俺かよ、と思ったが誰もやらないのなら仕方がない。
歩き的の方を向く。
「タイミングはいつでも構わない。好きなタイミングで放っていいからな。お前の事は色々と聞いているかな」
「……あいよ」
誰から聞いたのか凄く気になるのだが、さっさと終わらせるため何をは放とうか迷っていた。
的は金属だ。なら──と俺は魔法を放った。
「んー、これでいっか。ほい」
手の平に出現したビー玉程の小さな球体。
俺はそれをデコピンで放った。それはそのまま的へとゆっくり進み──着弾した。
瞬間、二メートル程の黒い球体となり的全体を包み込んだ。
そのまま小さく収縮していき、そこには──何も残っていたなかった。的があった場所には少しくり抜かれたような跡が残るのみ。
俺の魔法を見たザインや他のみんなはと言うと──
「な、ななな何だ今の魔法は!?」
「今の無詠唱だぞ……」
「見たことない魔法……」
みんなが驚愕していた。
「ご主人様よ。今のは?」
「いつ見ても凄い魔法ですね」
みんなではなかった。ゼノアは兎も角、クレアは馴れたようだった。
俺はゼノアに今の魔法を説明する。
みんなも聞きたいのか、こちらを見ていた。
「今のは重力魔法を圧縮して放ち着弾するとああやって球体の中は消滅する仕組みだ。一応オリジナルだな」
「ほほう。妾も使ってみたいのじゃ」
「できるんじゃないか?」
「うむ。やってみるとするかのう」
「お、オリジナルって……いやまあ、アキトさんですからね」
ゼノアは次やってみるようだ。それとクレアの言い方に関しては、いくら精神耐性がある俺であっても少しくらいは傷ついたぞ。
「お、オリジナル? 重力魔法の扱いは難易度が高く誰も扱えないと言われていたはず。それをこうも簡単に使われるとは……」
「ありえねぇ……」
「俺達と格が違い過ぎるだろ」
「なんかクレア様も知っているようだぞ」
「ザイン先生の言う通り重量魔法は困難な魔法のはずなのに……」
ザインのみならず他の面々も同意見のようだ。
「次は妾の番じゃな。ザインとやらいいかのう?」
「あ、ああ……ではお願いしよう」
「うむ」
俺と入れ替えでゼノアが前に出た。
「こんな感じかのう?」
そう言ったゼノアの手の平には、俺が放ったのと同じ黒い球体が出現した。
それを投げるように放った。結果は俺と同じである。
「出来たのじゃ」
「流石だな」
「ふふん。もっと褒めても良いのじゃぞ?」
「よしよし」
俺はゼノアの頭を撫でた。
気持ちよさそうに目を細めるゼノア。
ザインや他のクラスメイトは言わずもがな。
「あ、ありえねぇよ。なんでこんな簡単に……」
「しかも無詠唱よ」
「次元が違い過ぎる」
クラスメイトが何か言っていたが、スルーしておいた。
「これ俺よりも普通に強いし技術面でも負けているんだが……てか宮廷魔法士より強いんじゃないか? いや、もしかするとそれ以上に……」
ザインが一人でなにやらブツブツ言っていたがこっちもスルーすることにした。
「よ、よよよし。つ、次は誰がやる?」
同様しながらも次にやる人を探すザインであるが、俺とゼノアの魔法を見たからか、自分から進んでやる人がいない。
「はい。では私が」
「クレアさん……」
「お、おお」
手を挙げて自ら進み出たクレアに、クラスメイト達がそんな声を漏らした。
「ではクレアさんお願いしよう」
「わかりました」
前に進み出て的を正面に据えたクレアは、魔法の詠唱を始めた。
「原始の火よ、矢となり敵を穿て!」
そして、魔法名と共に放つ。
「──ファイヤーアロー!」
火の矢が出現し目の前の的を目掛けて放たれた。
放たれた矢は真っ直ぐに進んでいき──着弾する。
ドンッという鈍い音を立てた。的はと言うと少し損傷をした程度であった。
「流石だ。速度、威力。どれをとっても申し分ない」
「凄い。流石クレア様だ」
「さ、最初の二人はアレだったが、これが普通でいんだよね? 俺これより威力低いぜ?」
「私もよ」
ザインの後に続きクラスメイトも言っていた。
アレとは少し侵害であるが、気にしない。
それからはクラスメイトが次々に魔法を放っていき、魔法実技の授業が終わるのであった。
第一訓練場は広々としており観客席もあるようだ。
ザインは授業の説明を始める。
「今回はここで一人ずつ、各々が得意とする魔法を放ってもらう。安心しろ。お前ら程度の攻撃では訓練場に張られた結界、いやそもそもその壁すらも破壊出来ないからな」
ハッハッハー、と笑うザイン出会ったが、クレアが俺とゼノアにザインに聞こえないくらいの小声で言ってきた。
「アキトさんにゼノアさん。くれぐれも破壊しないようにお願いしますよ?」
「任せろ」
「うむ」
俺とゼノアの発言にクレアは小声で、「不安です……」と呟いた。
何が不安なのか、クレアを問い詰めたいところだが、ザインが誰がやるかを見渡していた。
「誰か最初にやりたい者はいるか? 誰でも構わない」
見渡すも誰もやろうとする者はいなかった。
そしてザインを見ると──目が合ってしまった。
「よし。ここは首席にやってもらおうではないか」
「……おいおい」
俺かよ、と思ったが誰もやらないのなら仕方がない。
歩き的の方を向く。
「タイミングはいつでも構わない。好きなタイミングで放っていいからな。お前の事は色々と聞いているかな」
「……あいよ」
誰から聞いたのか凄く気になるのだが、さっさと終わらせるため何をは放とうか迷っていた。
的は金属だ。なら──と俺は魔法を放った。
「んー、これでいっか。ほい」
手の平に出現したビー玉程の小さな球体。
俺はそれをデコピンで放った。それはそのまま的へとゆっくり進み──着弾した。
瞬間、二メートル程の黒い球体となり的全体を包み込んだ。
そのまま小さく収縮していき、そこには──何も残っていたなかった。的があった場所には少しくり抜かれたような跡が残るのみ。
俺の魔法を見たザインや他のみんなはと言うと──
「な、ななな何だ今の魔法は!?」
「今の無詠唱だぞ……」
「見たことない魔法……」
みんなが驚愕していた。
「ご主人様よ。今のは?」
「いつ見ても凄い魔法ですね」
みんなではなかった。ゼノアは兎も角、クレアは馴れたようだった。
俺はゼノアに今の魔法を説明する。
みんなも聞きたいのか、こちらを見ていた。
「今のは重力魔法を圧縮して放ち着弾するとああやって球体の中は消滅する仕組みだ。一応オリジナルだな」
「ほほう。妾も使ってみたいのじゃ」
「できるんじゃないか?」
「うむ。やってみるとするかのう」
「お、オリジナルって……いやまあ、アキトさんですからね」
ゼノアは次やってみるようだ。それとクレアの言い方に関しては、いくら精神耐性がある俺であっても少しくらいは傷ついたぞ。
「お、オリジナル? 重力魔法の扱いは難易度が高く誰も扱えないと言われていたはず。それをこうも簡単に使われるとは……」
「ありえねぇ……」
「俺達と格が違い過ぎるだろ」
「なんかクレア様も知っているようだぞ」
「ザイン先生の言う通り重量魔法は困難な魔法のはずなのに……」
ザインのみならず他の面々も同意見のようだ。
「次は妾の番じゃな。ザインとやらいいかのう?」
「あ、ああ……ではお願いしよう」
「うむ」
俺と入れ替えでゼノアが前に出た。
「こんな感じかのう?」
そう言ったゼノアの手の平には、俺が放ったのと同じ黒い球体が出現した。
それを投げるように放った。結果は俺と同じである。
「出来たのじゃ」
「流石だな」
「ふふん。もっと褒めても良いのじゃぞ?」
「よしよし」
俺はゼノアの頭を撫でた。
気持ちよさそうに目を細めるゼノア。
ザインや他のクラスメイトは言わずもがな。
「あ、ありえねぇよ。なんでこんな簡単に……」
「しかも無詠唱よ」
「次元が違い過ぎる」
クラスメイトが何か言っていたが、スルーしておいた。
「これ俺よりも普通に強いし技術面でも負けているんだが……てか宮廷魔法士より強いんじゃないか? いや、もしかするとそれ以上に……」
ザインが一人でなにやらブツブツ言っていたがこっちもスルーすることにした。
「よ、よよよし。つ、次は誰がやる?」
同様しながらも次にやる人を探すザインであるが、俺とゼノアの魔法を見たからか、自分から進んでやる人がいない。
「はい。では私が」
「クレアさん……」
「お、おお」
手を挙げて自ら進み出たクレアに、クラスメイト達がそんな声を漏らした。
「ではクレアさんお願いしよう」
「わかりました」
前に進み出て的を正面に据えたクレアは、魔法の詠唱を始めた。
「原始の火よ、矢となり敵を穿て!」
そして、魔法名と共に放つ。
「──ファイヤーアロー!」
火の矢が出現し目の前の的を目掛けて放たれた。
放たれた矢は真っ直ぐに進んでいき──着弾する。
ドンッという鈍い音を立てた。的はと言うと少し損傷をした程度であった。
「流石だ。速度、威力。どれをとっても申し分ない」
「凄い。流石クレア様だ」
「さ、最初の二人はアレだったが、これが普通でいんだよね? 俺これより威力低いぜ?」
「私もよ」
ザインの後に続きクラスメイトも言っていた。
アレとは少し侵害であるが、気にしない。
それからはクラスメイトが次々に魔法を放っていき、魔法実技の授業が終わるのであった。
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