異世界でひっそりと暮らしたいのに次々と巻き込まれるのですが?

WING

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第2章

第61話:始まる訓練

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 ――翌日。
 ザイン先生が笑みを浮かべて教室に入ってきた。
 何かあるのだろう。
 そう思っていると口を開いた。

「来月、この学園で予選大会が行われる」

 教室が騒めいた。

「先生、それってもしかして……」

 一人がそう口にしたが、俺には何が何だかわからない。

「ああ、みんなも知っていると思う学園大演武大会。その出場をかけた大会だ。参加できるのは上位6名のみだ」
「先生」
「どうしたアキト?」
「それって強制ですか? 俺参加したくなんですけど」

 こんなめんどくさいの誰が参加――

「勿論――強制だ」

 ――ダメだった……

「マジかよ」

 俺は項垂れるも、ザイン先生は続ける。

「この予選大会には3年生も参加することになっている」

 そしてザイン先生はニヤリと笑みを浮かべ……

「大会出場を賭けた全生徒による争奪戦だ。頑張ることだ」

 ホームルームが終わり先生が出て行く。
 俺はクレアに尋ねた。

「クレアいいか?」
「なんですか?」
「クレアも出る気、なのか?」
「勿論です!」
「兄様も姉様も出たこの大会、私も出なければ!」
「あ、うん。そうなのね。頑張ってくれ」

 そんな返ししかできなかった。だって滅茶苦茶張り切っているんだもん。
 そして俺はクレアに頼まれ鍛えることになった。しばらくしてクラスメイト達も鍛えてくれと頼まれ、結局は全員を鍛えることになってしまった。

 それは良かったのだが……

「あの、なんでザイン先生がいるんだよ……」

 ザイン先生が一緒に混ざっていた。
 そんな俺の問いにザイン先生は答えた。

「俺だってまだ強くなりたいんだ。当然だろう」
「あ、うん。ソウデスネ」

 結局ザイン先生も混ざった訓練は大会の予選直前まで行われた。
 大会まであと数日となったホームルームで、ザイン先生は俺達に告げた。

「トーナメント表が出来上がった。対戦相手の学年もランダムとなっている。頑張ってくれ」

 その言葉に俺とゼノア以外の全員が元気良く「はい!」と返事をした。
 教室に貼り出されたトーナメント表を確認すると、決勝までの試合数は10回を超えている。完全に実力勝負となっていた。

 まあ、俺とゼノアは余裕なんだろうけど……

 俺はクレアを心配していた。
 努力はしてきた。確かに依然と比べて格段と強くなっている。それは他のクラスメイト達も同じだった。

「やぁぁっ!」

 第一訓練場から気合の入った声が聞こえてきた。
 その声を発する人の正体は……

「打ち込みが足りないぞクレア」
「はいっ」
「はぁぁっ!」
「お前もだハンズ」
「ああ!」

 俺は複数人を相手に模擬戦を行っていた。その反対側ではゼノアが複数人相手に模擬戦を行っていた。
 しばらくすると全員が地面に横たわり息を切らしていた。

「ご主人様は容赦ないのう~」
「何言ってる。それはゼノアもだろ?」

 チラッとゼノアの方を見ると、ほとんどがボロボロの恰好だった。

「う、うむ。そうかのう……?」

 視線を逸らすゼノア。自分でもやり過ぎたと思っているらしい。

「みんなすまないな」

 俺は全員に回復魔法をかけ治療した。

「さあ、試合まで残り僅か。まだまだ気合入れていくからな?」

 クレアを含めた全員の顔色が一気に青くなったのが分かった。
 そしてその日は訓練場から悲鳴が止まなかったとか。



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