62 / 65
第2章
第61話:始まる訓練
しおりを挟む
――翌日。
ザイン先生が笑みを浮かべて教室に入ってきた。
何かあるのだろう。
そう思っていると口を開いた。
「来月、この学園で予選大会が行われる」
教室が騒めいた。
「先生、それってもしかして……」
一人がそう口にしたが、俺には何が何だかわからない。
「ああ、みんなも知っていると思う学園大演武大会。その出場をかけた大会だ。参加できるのは上位6名のみだ」
「先生」
「どうしたアキト?」
「それって強制ですか? 俺参加したくなんですけど」
こんなめんどくさいの誰が参加――
「勿論――強制だ」
――ダメだった……
「マジかよ」
俺は項垂れるも、ザイン先生は続ける。
「この予選大会には3年生も参加することになっている」
そしてザイン先生はニヤリと笑みを浮かべ……
「大会出場を賭けた全生徒による争奪戦だ。頑張ることだ」
ホームルームが終わり先生が出て行く。
俺はクレアに尋ねた。
「クレアいいか?」
「なんですか?」
「クレアも出る気、なのか?」
「勿論です!」
「兄様も姉様も出たこの大会、私も出なければ!」
「あ、うん。そうなのね。頑張ってくれ」
そんな返ししかできなかった。だって滅茶苦茶張り切っているんだもん。
そして俺はクレアに頼まれ鍛えることになった。しばらくしてクラスメイト達も鍛えてくれと頼まれ、結局は全員を鍛えることになってしまった。
それは良かったのだが……
「あの、なんでザイン先生がいるんだよ……」
ザイン先生が一緒に混ざっていた。
そんな俺の問いにザイン先生は答えた。
「俺だってまだ強くなりたいんだ。当然だろう」
「あ、うん。ソウデスネ」
結局ザイン先生も混ざった訓練は大会の予選直前まで行われた。
大会まであと数日となったホームルームで、ザイン先生は俺達に告げた。
「トーナメント表が出来上がった。対戦相手の学年もランダムとなっている。頑張ってくれ」
その言葉に俺とゼノア以外の全員が元気良く「はい!」と返事をした。
教室に貼り出されたトーナメント表を確認すると、決勝までの試合数は10回を超えている。完全に実力勝負となっていた。
まあ、俺とゼノアは余裕なんだろうけど……
俺はクレアを心配していた。
努力はしてきた。確かに依然と比べて格段と強くなっている。それは他のクラスメイト達も同じだった。
「やぁぁっ!」
第一訓練場から気合の入った声が聞こえてきた。
その声を発する人の正体は……
「打ち込みが足りないぞクレア」
「はいっ」
「はぁぁっ!」
「お前もだハンズ」
「ああ!」
俺は複数人を相手に模擬戦を行っていた。その反対側ではゼノアが複数人相手に模擬戦を行っていた。
しばらくすると全員が地面に横たわり息を切らしていた。
「ご主人様は容赦ないのう~」
「何言ってる。それはゼノアもだろ?」
チラッとゼノアの方を見ると、ほとんどがボロボロの恰好だった。
「う、うむ。そうかのう……?」
視線を逸らすゼノア。自分でもやり過ぎたと思っているらしい。
「みんなすまないな」
俺は全員に回復魔法をかけ治療した。
「さあ、試合まで残り僅か。まだまだ気合入れていくからな?」
クレアを含めた全員の顔色が一気に青くなったのが分かった。
そしてその日は訓練場から悲鳴が止まなかったとか。
ザイン先生が笑みを浮かべて教室に入ってきた。
何かあるのだろう。
そう思っていると口を開いた。
「来月、この学園で予選大会が行われる」
教室が騒めいた。
「先生、それってもしかして……」
一人がそう口にしたが、俺には何が何だかわからない。
「ああ、みんなも知っていると思う学園大演武大会。その出場をかけた大会だ。参加できるのは上位6名のみだ」
「先生」
「どうしたアキト?」
「それって強制ですか? 俺参加したくなんですけど」
こんなめんどくさいの誰が参加――
「勿論――強制だ」
――ダメだった……
「マジかよ」
俺は項垂れるも、ザイン先生は続ける。
「この予選大会には3年生も参加することになっている」
そしてザイン先生はニヤリと笑みを浮かべ……
「大会出場を賭けた全生徒による争奪戦だ。頑張ることだ」
ホームルームが終わり先生が出て行く。
俺はクレアに尋ねた。
「クレアいいか?」
「なんですか?」
「クレアも出る気、なのか?」
「勿論です!」
「兄様も姉様も出たこの大会、私も出なければ!」
「あ、うん。そうなのね。頑張ってくれ」
そんな返ししかできなかった。だって滅茶苦茶張り切っているんだもん。
そして俺はクレアに頼まれ鍛えることになった。しばらくしてクラスメイト達も鍛えてくれと頼まれ、結局は全員を鍛えることになってしまった。
それは良かったのだが……
「あの、なんでザイン先生がいるんだよ……」
ザイン先生が一緒に混ざっていた。
そんな俺の問いにザイン先生は答えた。
「俺だってまだ強くなりたいんだ。当然だろう」
「あ、うん。ソウデスネ」
結局ザイン先生も混ざった訓練は大会の予選直前まで行われた。
大会まであと数日となったホームルームで、ザイン先生は俺達に告げた。
「トーナメント表が出来上がった。対戦相手の学年もランダムとなっている。頑張ってくれ」
その言葉に俺とゼノア以外の全員が元気良く「はい!」と返事をした。
教室に貼り出されたトーナメント表を確認すると、決勝までの試合数は10回を超えている。完全に実力勝負となっていた。
まあ、俺とゼノアは余裕なんだろうけど……
俺はクレアを心配していた。
努力はしてきた。確かに依然と比べて格段と強くなっている。それは他のクラスメイト達も同じだった。
「やぁぁっ!」
第一訓練場から気合の入った声が聞こえてきた。
その声を発する人の正体は……
「打ち込みが足りないぞクレア」
「はいっ」
「はぁぁっ!」
「お前もだハンズ」
「ああ!」
俺は複数人を相手に模擬戦を行っていた。その反対側ではゼノアが複数人相手に模擬戦を行っていた。
しばらくすると全員が地面に横たわり息を切らしていた。
「ご主人様は容赦ないのう~」
「何言ってる。それはゼノアもだろ?」
チラッとゼノアの方を見ると、ほとんどがボロボロの恰好だった。
「う、うむ。そうかのう……?」
視線を逸らすゼノア。自分でもやり過ぎたと思っているらしい。
「みんなすまないな」
俺は全員に回復魔法をかけ治療した。
「さあ、試合まで残り僅か。まだまだ気合入れていくからな?」
クレアを含めた全員の顔色が一気に青くなったのが分かった。
そしてその日は訓練場から悲鳴が止まなかったとか。
43
あなたにおすすめの小説
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる