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第2章
第64話:予選の始まり②
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試合が始まりみんなは思いのほか勝ち進んでいた。俺とゼノアも苦戦すらすることなく余裕で勝利していく。
だが試合を見ていると、一年生と二年生には大きな実力の差が開いていた。だからか、Sクラスの俺達以外のクラスは負けが目立ってきていた。相性の問題というのもあるだろうが、流石は二年生といったところだろう。
二年生と三年生の試合を見ても実力の差はあった。三年生と一年生では実力の決定的な差となってしまうことが伺えた。
――予選開始から三日後。
残ったのは数十名程度。その中には俺とゼノアは勿論のこと、クレアとアウスト、バーンが残っていた。
相手との相性が良かったというのもあるが、これは紛れもない実力だろう。
「ヤバい、緊張するんだけどっ! 助けてくれアキト!」
「そうだよ! 俺、もう勝てない気がする!」
俺に泣きつくようにそう口にするアウストとバーンの二名。
安心させるように二人の顔を見て笑みを浮かべた。
「何か策があるのか!?」
「あるなら教えてくれ!」
他のクレアと他のクラスメイトが俺の笑みを見て。
「いや、どう見ても策ではない気が……」
「ですよね……」
とりあえず無視して二人へと口を開いた。
「安心しろ。負ければ倍の訓練量だ。6位以内に入れても結果は同じだ。まあ、頑張ってくれ」
俺は二人の肩をポンと叩くと、ガックシと膝を突く二人。
「そ、そんな、絶望しかないじゃないか……」
「もうやだ……結局変わらないんですけど……」
助けを求めるように、その光景を見ていたクレア達へと視線を向けた。
「ま、巻き込まないでくださいよっ!?」
「そうだぞ!」
「そ、そんな目で見ないでくださいよ……」
クレア達は自分達に飛び火しないようにとするが……
「お前達も負けたんだからやるんだぞ?」
「それって――」
「強制だ」
全員が青い顔をして床に膝を突いた。
「すでに決まっていた、だと……!?」
「終わったよ」
「もう、体力が付いていけない」
アデル、リリス、カリアの三名がそう言葉を吐いて倒れたのだった。
クレアはもう悟りを開いていた。
しばらくして吹っ切れたのだろうアウスト、バーンは「やってやらぁ!」と意気込んでいた。元気が出たのなら何よりだ。
満足そうに俺はウンウンと頷いた。
しばらくしてクレアが尋ねてきた。
「アキトさん」
「なんだ? 訓練メニューをもっとハードにしてほしいのか?」
「違いますからッ!! って、そうじゃなくて。この学園のトップを知っていますか?」
「いや、知らん」
ですよね~と呟くクレア。
「この学園のトップ10は全て三年生です。その中で学園最強と言わるのがいます」
ほう。学園最強とな。これは最強とは何かを是非にご教授していただきたいものだ。
クレアは続ける。
「学園第一位の『雷剣』セリシア・アヴェーロ」
「雷剣? なんだそれ?」
「二つ名です。雷の速度で攻撃、移動することから付けられた二つ名です。次に学園第二位の『爆撃』バゼル・ゴルゾーン。第三位の『氷結』セシル・グラシオがいますね」
言い終わったクレアは俺の顔を覗き込む。
「何か良からぬことを考えています?」
「ま、まさか……」
クレアの言葉に俺は言葉が詰まってしまった。
何にコイツ。勘が鋭くないか? 何で俺の考えていることが予想できるの?
「話してもらえますよね?」
「あ、うん」
俺は先ほど考えたことを話す。
「それは」
「それは……?」
「奴等をぶちのめし俺が学園の一位の座を頂くことにした。二位にはも勿論ゼノアだろ?」
ゼノアは頷いた。
「勿論じゃ。本当の強者の戦いを叩き込んでやるのじゃ」
「ああ、楽しみになってきたじゃないか」
俺とゼノアは二人して口元に三日月を描く。
「やべぇ、先輩方には同情しか浮かばないんだが……」
「ですね……」
そのようなクレア達の会話を俺とゼノアはスルーしたのだった。
そうして順調に試合が進み、俺は準決勝へと駒を進めることとなった。
クラスメイト達はクレアを残して全員が敗退となっていた。予想外だったのがクレアが三年生を降し、5位に入ったということだった。
クレアの意外な結果に俺とゼノアが驚いていたが、ほかのアウスト達はそうでもないようだった。
「アキト、意外だったか?」
「え? ああ、まあそうだな」
「それもそうだろ。俺達の中ではアキトとゼノアさんの次にクレア様は強いんだ」
「なんだそれ、初耳だぞ……」
周りがクレアに対する評価に俺は驚きが隠せないのだった。
だが試合を見ていると、一年生と二年生には大きな実力の差が開いていた。だからか、Sクラスの俺達以外のクラスは負けが目立ってきていた。相性の問題というのもあるだろうが、流石は二年生といったところだろう。
二年生と三年生の試合を見ても実力の差はあった。三年生と一年生では実力の決定的な差となってしまうことが伺えた。
――予選開始から三日後。
残ったのは数十名程度。その中には俺とゼノアは勿論のこと、クレアとアウスト、バーンが残っていた。
相手との相性が良かったというのもあるが、これは紛れもない実力だろう。
「ヤバい、緊張するんだけどっ! 助けてくれアキト!」
「そうだよ! 俺、もう勝てない気がする!」
俺に泣きつくようにそう口にするアウストとバーンの二名。
安心させるように二人の顔を見て笑みを浮かべた。
「何か策があるのか!?」
「あるなら教えてくれ!」
他のクレアと他のクラスメイトが俺の笑みを見て。
「いや、どう見ても策ではない気が……」
「ですよね……」
とりあえず無視して二人へと口を開いた。
「安心しろ。負ければ倍の訓練量だ。6位以内に入れても結果は同じだ。まあ、頑張ってくれ」
俺は二人の肩をポンと叩くと、ガックシと膝を突く二人。
「そ、そんな、絶望しかないじゃないか……」
「もうやだ……結局変わらないんですけど……」
助けを求めるように、その光景を見ていたクレア達へと視線を向けた。
「ま、巻き込まないでくださいよっ!?」
「そうだぞ!」
「そ、そんな目で見ないでくださいよ……」
クレア達は自分達に飛び火しないようにとするが……
「お前達も負けたんだからやるんだぞ?」
「それって――」
「強制だ」
全員が青い顔をして床に膝を突いた。
「すでに決まっていた、だと……!?」
「終わったよ」
「もう、体力が付いていけない」
アデル、リリス、カリアの三名がそう言葉を吐いて倒れたのだった。
クレアはもう悟りを開いていた。
しばらくして吹っ切れたのだろうアウスト、バーンは「やってやらぁ!」と意気込んでいた。元気が出たのなら何よりだ。
満足そうに俺はウンウンと頷いた。
しばらくしてクレアが尋ねてきた。
「アキトさん」
「なんだ? 訓練メニューをもっとハードにしてほしいのか?」
「違いますからッ!! って、そうじゃなくて。この学園のトップを知っていますか?」
「いや、知らん」
ですよね~と呟くクレア。
「この学園のトップ10は全て三年生です。その中で学園最強と言わるのがいます」
ほう。学園最強とな。これは最強とは何かを是非にご教授していただきたいものだ。
クレアは続ける。
「学園第一位の『雷剣』セリシア・アヴェーロ」
「雷剣? なんだそれ?」
「二つ名です。雷の速度で攻撃、移動することから付けられた二つ名です。次に学園第二位の『爆撃』バゼル・ゴルゾーン。第三位の『氷結』セシル・グラシオがいますね」
言い終わったクレアは俺の顔を覗き込む。
「何か良からぬことを考えています?」
「ま、まさか……」
クレアの言葉に俺は言葉が詰まってしまった。
何にコイツ。勘が鋭くないか? 何で俺の考えていることが予想できるの?
「話してもらえますよね?」
「あ、うん」
俺は先ほど考えたことを話す。
「それは」
「それは……?」
「奴等をぶちのめし俺が学園の一位の座を頂くことにした。二位にはも勿論ゼノアだろ?」
ゼノアは頷いた。
「勿論じゃ。本当の強者の戦いを叩き込んでやるのじゃ」
「ああ、楽しみになってきたじゃないか」
俺とゼノアは二人して口元に三日月を描く。
「やべぇ、先輩方には同情しか浮かばないんだが……」
「ですね……」
そのようなクレア達の会話を俺とゼノアはスルーしたのだった。
そうして順調に試合が進み、俺は準決勝へと駒を進めることとなった。
クラスメイト達はクレアを残して全員が敗退となっていた。予想外だったのがクレアが三年生を降し、5位に入ったということだった。
クレアの意外な結果に俺とゼノアが驚いていたが、ほかのアウスト達はそうでもないようだった。
「アキト、意外だったか?」
「え? ああ、まあそうだな」
「それもそうだろ。俺達の中ではアキトとゼノアさんの次にクレア様は強いんだ」
「なんだそれ、初耳だぞ……」
周りがクレアに対する評価に俺は驚きが隠せないのだった。
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