偽聖女の濡れ衣を着せられて追放だそうですが、本当にいいんですね?

とーわ

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第十四話

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「……聖女よ、なぜ人々の声に耳を傾けない? 貴女には失望した」

 天使という存在を、ほとんどの人は実際に見たことがないと思う。

 天界から地上の人間を見守ってくれる――というのは、少し違っていて。彼らは人間を『父なる神の子』として平等に扱うけれど、自分たちに導かれるしかない存在とも思っている。

「ナーヴェのこと、まだ苦手なんですか? ジブリス様」
「あれを連れているだけでも魔女と見られても無理はないのだ。私に限っての話ではあるまい」

 冷たい目をしていて、淡々と話しているように見えるけど、召喚された天使は天界にいるときとは違って、人に近い感情を見せる――と言っていたのは、他ならぬこのジブリス様なんだけど。

「さて……事情を聞かせてもらおう。いつもなら人々が日照りで苦しめば、貴女はすぐに私を呼び出していたはず。それが、一向に天界に声が届かぬ。それどころか、大神殿を離れてこのような場所にいるとは……何があった?」
「新しい聖女から、声は届かなかったんですか?」

 ジブリス様は首を振る。あのときは追放されるしか無かったけど、やっぱり日照りで苦しんでる人たちだけは助けたい。

 それよりも――聖女として祈りを捧げれば、ジブリス様はある程度願いを聞き届けてくれるはずなのに。

「新しい聖女とは、誰のことだ?」
「ヴェロミア・ゾルダートという人です。私の代わりに、神殿にやってきて……」

 ジブリス様は腕組みをして、何かを考えている――その瞳で、遠く離れた場所にいるヴェロミアのことを見ているのかもしれない。千里眼、それがジブリス様が地上を見守るために持つ能力の一つだから。

「……何者かに防がれている。そのヴェロミアという者は魔法を使うのか?」
「わかりません、急に今日大神殿に来て、聖女になると言われただけです」
「聖女の務めを果たすには、相応の能力と、数々の儀礼をこなす必要があるのだが……私に声が届かぬわけだ」
「儀礼を全て終えるには一ヶ月くらいかかると思いますが、その間は神官長が代わりをしてくれると思います」
「……聖女アリアンナ。いや、元聖女というべきか。貴女は聡明だが、時折説教をしたくなるほどに鈍くもある」
「あ……え、ええと、私、今は『アリア』と名乗っているので……」

 ジブリス様のお説教モードは、人々を導くことが仕事なだけに、物凄く長くて容赦もない。空返事でわかりましたなんて言ったら、二時間くらい追加されてしまう。

「……今、聡明って言ってくれましたか? 私は無学なので、そんなことは全然ないと思います」
「聞こえていても聞こえぬふりをするところだ。全く……日照りの件は今の聖女次第というところか」
「はい。でも、もし解決できなかったら……そのときは、ジブリス様にお願いしてもいいでしょうか」
「……それは、皇太子ザイオンに対する義理立てか?」

 ジブリス様は少し焦れているみたいに見える。本当は、私に起きたことをみんな分かっているのかもしれない。
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