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 第4章 サルビア編

411.医師サルビアの誕生

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 今日は、サルビアと一緒に、朝ご飯を作って食べた。リンダに選んで貰った調理道具を使う初めての朝食だ。食べ終わった後、今日は、店の開店準備をサルビアに任せた。

 私は、久しぶりに、コプトの家に行くことにした。今日は、サルビアも一緒だ。

 「こんにちは、邪魔するよ」

 「おぉ、テラじゃないか。久しぶりだな。
 今日はどうしたんだ。
 可愛い女の子を連れて来て」

 「コプト、手を出すんじゃないよ」

 「そんなこと、するわけないよ」

 「仕事は進んでいる?」

 「おいおい、先に紹介しろよ」

 「はい、私は、テラの友達のサルビアと言います。今後とも、よろしくお願いいたします」

 「おいおい、ちょっと、間違えていないか?こんな立派な女の子が、テラの友達だと」

 「それが、おかしいか?」

 「怒るなよ。ビックリしただけだよ。
 今日は、5つ商品を渡せるよ。あれから、頑張ったんだ」
 
 「所品を沢山引き取れるのはうれしいけど、無理しないでよ」

 「大丈夫だよ。あれから、飲んじゃいないし、元気だよ。
 今は、仕事が楽しいんだよ。
 全く、疲れないよ」

 「そうだ、これ、飲んどいて」

 私は、赤のポーション(特級)をアイテムボックスから出して、コプトに渡した。

 「おっ、ポーションか、これは、上等だな、いいのか」

 「先行投資だよ。身体が資本だからね」

 「おぉ、いいこというね。遠慮せずに貰うよ」

 「今日も、よく出来てるね。全部でいくら?」

 「今日のは、出来がいいので、金貨100枚だな」

 「はい、これで」

 「テラ、お前、凄いな。金貨100枚を、ぽんと出すなんて」

 「ポンじゃないよ。ドン、だよ」

 「はっ、はっ、本当だ、ドン、だな」

 「それじゃ、また、作っておいてね」

 「よし、任せとけ」

 「「バイバイ」」

 私達は、革細工師の家を出て、転移魔法で貴族エリアに移動した。それから、ファーリの屋敷まで移動した。

 私達は、スピアに抱きかかえられて、2階の部屋に窓から入っていった。

 「ファーリ、来たよ」

 「サルビア、テラ、こんにちは」

 「今日は、元気そうだね」

 「はい、昨日から、調子がいいです」
 
 「でも、まだ、完治したわけではないから、用心してね」

 「それじゃ、サルビア、治療を始めようか」

 「はい、見ていてください」

 サルビアは、前回、テラに教えて貰ったように、ファーリの左手を握り、マナを流し始めた。

 ファーリの身体の左側が、マナで満たされていくのを感じたので、マナを流すのを止めた。

 それから、場所を変えて、ファーリの右手を持って、同じ様にマナを流し始めた。

 また、ファーリの身体の右側が、マナで満たされていくのを確認して、マナを流すのを止めた。

 今日は、お腹から、マナを流し始める。

 「今から、ファーリの身体の中心に手を当てて、魔力を流していくよ」

 「はい、お願いいたします」

 「それじゃ、お腹に手を置くけど、構わない?」

 「いいです」
 
 サルビアは、ファーリの身体の中心である、へその辺りに手を置いて、マナを流し始めた。

 最初は、マナがうまく流れなかったが、次第に、マナがファーリの全身を流れ始めた。

 サルビアは、ファーリの全身に滞りなく流れているのを確認して、マナを流すのを止めた。

 「テラ、確認して」

 「はい、分かった。それじゃ、サルビアは、離れていてね」

 私は、サルビアに代わって、ファーリのお腹から、マナを流しながら、全身のマナの流れを調べた。

 すると、特にマナが漏れている所もなく、うまく、流れていることを確認した。

 最後に、スキル鑑定で、病気の有無を調べた。ファーリの病気は、完治した。
 
 「うん、治っているよ。サルビア、最後に、予防の事をファーリに教えてあげてね」

 「はい、分かった」

 サルビアは、ファーリに、病気の予防の方法を説明した。私が聞いていても、上手に説明していることが分かった。

 「最後に、これを飲んでくれる」

 私は、赤のポーション(特級)をアイテムボックスから、1本出して、ファーリに渡して飲んで貰った。

 私達は、また、スピアに抱えられて、1階の中庭に隠れた。それから、私の転移魔法で店まで移動した。

 「サルビア、うまくいったね。ファーリは、完治したよ」

 「テラのお陰よ。まだ、一人でやり切る自信はないわ。暫くは、テラが見ておいてくれる?」

 「いいよ。いつでも私は、サルビアの傍にいるよ」

 「ありがとう」

 「まだ、医者になるには、どうしたらいいかわからないけど、治癒魔法は知っていた方がいいよ」

 「どうするの?」

 「簡単だよ。傷口を見て、治れって思えばいいよ。ちょっと、やってみるよ」

 私は、腰のダガーを取り出して、サルビアの腕を切った。

 「テラ、何するの。血が出て来たわ」

 「ちょっと、待ってね」

 私は、サルビアの傷を光魔法で治癒した。

 「傷よ治れ。治癒魔法ヒール

 すると、サルビアの傷は消えた。

 「これが、治癒魔法だよ。簡単だろ」

 「自分の腕を切って、治してみて。ただし、余り深く切らないでね」

 サルビアは、言われた通りに、やってみた。

 「傷よ治れ。治癒魔法ヒール

 うまく、傷を癒すことが出来た。

 「それでは、次ね。ここに毒水を用意するよ。それを掛けて、毒に侵されてから、治してみて」

 私は、コップに毒水を満たした。

 「はい、やってみます」

 サルビアは、毒水を腕に掛けて、毒に侵された。その後、治癒魔法で癒した。

 「上手ね、その調子。それを、何度も、繰り返してくれる」

 「はい、分かった」

 サルビアは、言われた通りに、何度も、何度も、繰り返した。いつの間にか、光魔法のレベルが20を越した。

 「サルビア、もう、いいわ。十分よ。
 今度は、薬草から、ポーションを作って貰うわね」

 「そんな、すぐには、出来ないよ」

 「大丈夫だよ。それじゃ、地下牢前の工房に行くよ」

 私達は、スピアの腰にぶら下がって、私の転移魔法で地下牢前の工房に移動した。

 「さあ、ここが工房だよ。ここで、ポーションをつくるよ」

 「へえ、色んな器具があるのね」

 「まず、ここに薬草を入れるよ。それから、マナを流しながら、かき混ぜて、ポーションを作るよ。一度、私がやってみるから、見ていてね」

 「はい」

 「それじゃ、行くよ」

 私は、薬草を千切りながら、蒸留水の中に入れて、マナを注ぎながら、混ぜた。

 「ほら、出来上がりだよ。今度は、サルビアの番だよ」

 「はい、やってみる」

 少し、時間は掛かったが、無事、ポーションを作成できた。

 「それでは、そのポーションをガラス瓶に入れて、更に、上級のポーションに仕上げるよ」

 「はい、見てます」

 私は、ガラス瓶に入れたポーションを精錬して、上級のポーションに変化させた。

 「それじゃ、サルビア、やってみて」

 「はい、やってみます」

 サルビアは、ポーションの入ったガラス瓶を見つめているが、一向に変化しない。

 「サルビア、何を考えているの」

 「えーと、じっと見ているだけです」

 「それじゃ、だめよ。よくなれ、よくなれって、心で、念じてね。
 特級のポーションを1本出してみて」

 「はい、これです」

 「それをしっかり、イメージしてね」

 「それから、もう一度やってみて」

 「はい、やります」

 今度は、ガラス瓶の中のポーションの色がどんどん濃くなっていった。変化が分からない状態になった。私は、スキル鑑定で、出来上がったポーションを調べた。

 「サルビア、特級だよ。うまくできたね。
 それじゃ、ひとりで、最初からやってみて」

 サルビアは、ひとりで、特級のポーションを作り上げた。

 「今日は、ここまでにしようか。それじゃ、帰って寝るよ」

 私達は、転移魔法で店に移動し、仲良く、ベッドで寝た。
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