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第28章 魔大陸編

2808.勇者パーティの始動

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 まだ、メンバーは、揃っていないが、勇者パーティをスタートさせることにした。取り敢えずのメンバーは、白魔導士として、サーキ(光魔法治療学院の従業員)とビーラン(元巫女のリザードウーマン)が参加してくれた。
 そして、大きいのは、魔法戦士として、シロッコスが参加してくれるということだ。これは、ガーベラが折れたようだ。これまでの、借りを返したいというシロッコスの強い意志が、勇者パーティの参加という形になった。
 また、シルバの説得で、黒魔術師として、アオイ(魔法学院の上級教師)が参加する。

 そして、当然だが、スピアの参加だ。これは、私の心の支えになる。

 まだ、パーティとしての連携が取れない私達なので、ダンジョンに潜り、練習をすることになった。タンクが決まるまでは、私がタンク役をすることにした。

 魔王軍の大群を想定して、先頭の私を支援する形で、シロッコスが右隣に、そして、スピアが、私の左隣を占めることになった。少し離れて、サーキとビーラン、そして、最後尾にアオイが陣取ることになった。

 意外なことにアオイは冒険者としての経験もあるらしくて、全体を見渡すことも引き受けてくれた。

 ダンジョンに入ると直ぐに私は、光魔法で、パーティ全員をコーティングして防御力をアップさせた。これで、低レベルの魔物であれば、攻撃を無効にすることができる。そして、全員に転移魔法が出来る神具を持たせた。生命の危険が感じられたら直ぐに使うように、指示をしている。転送先は、テラ・ワールドの本店の地下だ。危険な旅を共にしてくれる仲間なので、私は、秘密を出来るだけ失くしたいと思った。そのため、テラ・ワールドのことは、既にパーティの全員に話している。

 そして、パーティの全員にアイテムボックスを持たせて、その中に、各種のポーションを入れておいた。そして、食料もふんだんに入れている。これは、もし、パーティから逸れても、暫くは生活できるようにするためだ。魔大陸では、どのような罠が仕掛けられているか分からないので、細心の配慮をしている。そして、全員がお互いに思念伝達で、連絡が取れるように練習も重ねている。

 だが、勇者召喚の経緯については、内緒にしている。ガーベラにも、この秘密は守って貰っている。

 ダンジョンの中の魔物では、私達に傷をつけることは出来ないが、パーティとしての連携の練習には、なった。特に、白魔導士の役割をサーキとビーランに、意識して貰うことには、成功したようだ。何度か、怪我をした振りをして、魔法を掛けて貰った。

 最初は、細かく指示をしていたのだが、やがて、それが無くなった。

 だいぶ、パーティとしての動きに慣れて来たので、ダンジョンマスターに挑むことにした。取り敢えず、レッド・ドラゴンを相手にする。私は、スピアに、攻撃をしないように指示を出しておいた。スピアの攻撃では、一撃で倒してしまうからだ。ここで、シロッコスの体力を確認することにした。単独でも、レッド・ドラゴンを倒せるのか?

 「シロッコス、少し、実力を見せてくれないか?」

 「分りました。私一人で、対処して見せます」

 流石に兵士長だ、以前、魔物に囲まれて、苦戦した時とは、まるで、別人のように動きが素早くなっている。そして、何よりも、その攻撃力は、倍増しているようだ。レッド・ドラゴンを一太刀で、両断してしまった。

 「やるな! 見事だ」

 「「シロッコス、すごい!」」

 パーティの他の者も、シロッコスの実力を再認識することが出来たようだ。

 パーティの連携も取れて来たので、一度、冒険者ギルドに戻り、休息を取ることにした。

 全員で、転移魔法で、冒険者ギルドの裏手に移動してから、正面に回って、中に入って行った。

 「皆さん。ご苦労様」

 ローララは、受付の奥から声を掛けて来た。そして、直ぐに私達の傍まで、移動してきた。

 「Sランクの冒険者のタンク候補に来て貰っているわ」

 「ありがとう。早速、面接するよ」

 冒険者ギルドの所有している闘技場で、3人の戦士が待って居た。私は、スキル鑑定で、HPを確認した。流石にSランクの冒険者だ。通常の冒険者のHPとは、比べ物にならない。これなら、魔王軍の四天王でも、一撃だ倒すことは出来ないだろう。そして、私の魔法で、防御しておけば、十分タンクとして働いて貰えそうだ。

 後は、各自の意志を確認するだけだ。場合によれば、3人とも参加して貰っても良い。

 「初めまして、私は、テラjrと言います。勇者として、召喚されました。よろしく」

 「「初めまして、よろしく」」

 「それでは、少し、立ち合いの相手をして貰えますか?」

 私は、タンク候補の3人に数手ほど、打ち合い動きを確認していった。タンクにしては、動きが素早い。

 「私達のパーティーは、魔王討伐が目的です。その覚悟は出来ていますか?」

 少し、失礼な質問だが、念の為に確認しておいた。

 「「もちろん」」

 「分かりました。3人とも、パーティー参加して貰いたいのですが、よろしいですか?」

 「3人とも、タンクだが、いいのか?」

 候補者の一人が、不思議に思ったようだ。

 「大丈夫です。どのような強さの魔人か分からないので、交互に攻撃を防いで貰うことも想定しています」

 「そうか、それならいい。私は、Sランク冒険者のレオナルドだ。レオと呼んでくれ」

 「私は、エルフ族のアロン。弓も使えるよ」

 「俺は、ライオス。不屈のタンクと呼ばれている。忍耐力だけは、誰にも負けない」

 「皆、よろしく。早速、冒険者ギルドで、他のメンバーを紹介する」

 私達は、冒険者ギルドの応接室に移動して、勇者パーティのメンバー紹介を行った。
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