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実家
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屋上で話をした後から、翔は普通に話してくれるようになった。吹っ切れたような、そんな顔をしている。夏休み前の最後の登校日だったのに、帰り際もあっさり別れた。寂しい。
家についてソファに座った。いつも通りのはずなのに、広く感じる。翔が泊まりにきた日を思い出したのだ。
「翔…夏休み中会えるかな」
でも、そもそも翔は僕と一緒にいて楽しいのかな。僕と違って、友達が沢山いて、好きな人もいて…。ネガティブなことばかり考えてしまう。
「今日は、早く寝よう」
そう思って、寝る準備を済ませ、ベッドの上に寝転がる。そのまま、スマホを手に取ってメッセージアプリを開いた。もちろん、翔からのメッセージはない。閉じようとしたその時、母さんから連絡が来た。「夏休みは帰ってくるの?」と書いてある。なんか、どうでもよくて「帰るよ」と返した。数分経って、後悔してきた。
「帰りたくないな」
でも、きっと、両親は喜んで迎えてくれる。僕は愛されてるのだと、そんな感覚はある。だけど、少し苦手だ。
「はぁ」
憂鬱な気分のまま、眠りについた。
起きてから、すぐスマホを手に取った。翔から、連絡が来ていないか気になったのだ。
「来てないか…」
実家に行く用事は早く済ませておこうと、出かける準備を始めた。お土産を買ってくれば、それを口実に翔に会えるかも。楽しみが一つだけできた。やっぱり、翔に助けられてばかりだ。
「よし、これでいいか」
最低限の荷物をバッグに詰めて家を出た。そして、駅まで歩き出した。
駅についてから、軽く実家へのお土産を購入した。それから、実家の近くの駅まで行く電車に乗った。ぼんやりと、過ぎていく景色を眺める。一時間ほど経ったところで、外が見慣れた景色に変わってきた。
「そろそろか…」
覚悟を決めるように深呼吸をしてから、電車を降りた。気持ちとは裏腹に豊かな自然と鳥の声が迎えてくれた。景色は嫌いじゃない。景色だけは、だけど。実家までの足取りが重い。でも、行くしかない。そう思いながら歩き続けると、とうとう家の前に着いてしまった。鍵を開けようと、バッグに手を伸ばしたところで、声をかけられた。
「あすか、おかえり」
父さんだ。嬉しそうに笑っている。
「うん。ただいま」
僕は作り笑顔で返した。
「久しぶりだな」
父さんはそう言いながら玄関の扉を開けた。そのまま、家に入る。靴を脱いでリビングに行くと、母さんと目があった。
「おかえりなさい」
母さんもそう言って嬉しそうに笑った。
「うん」
と短く言って、逃げるように自分の部屋に向かった。父さんと母さんが一緒にいる空間にはいたくない。ここにいたらそんな事叶わないけど。今はまだ準備ができてない。そんな言い訳を頭で考えながら、部屋に入った。部屋は、何も変わっていない。壁には、友達と一緒に撮った写真が飾ってある。高校の時の写真が多い、その中にはななもいる。
「懐かしいな」
写真を見ていると、自然に表情が緩むのがわかる。少し落ち着いた。カバンからお土産だけを取り、リビングへ戻った。
「これ、買ってきたよ」
お菓子の箱を机の上に置いた。二人が好きなお菓子だ。
「あすか、ありがとう!」
母さんはすぐにそのお菓子を手に取った。喜んでくれてよかった。父さんも、母さんにお菓子を渡され受け取った。
「よかった」
「うん、ありがとう。あすか」
父さんも嬉しそうだ。少し安心する。二人とも、美味しそうにお菓子を食べている。そして、そのまま雑談の流れになった。
「最近どうだ」
「楽しいよ」
「何かあったのか?」
「えっと…友達が増えた」
翔の話題は出さないつもりだったが、聞かれて言ってしまった。でも、このくらいならいいだろう。
「あら、女の子?」
母さんが、目を輝かせて言ってくる。彼女っていうのを期待しているのだ。
「違うよ」
あすかは困ったように笑いながら、そう返した。
「残念」
母さんは、そう言ってまたお菓子を手に取った。
「そろそろ、彼女とか連れてきていいんだよ」
父さんもそう言って、期待するような表情で見てくる。面倒だ。
「できたら、連れてくるよ」
とりあえず、社交辞令のようにそう返すと、二人は満足げに頷いた。
「でも、彼氏とかは連れてくるなよ」
父さんは冗談みたいにそう言った。なぜか、ドキッとした。
「あはは、何それ」
とりあえず、笑って返す。話に熱中しているのか、返事には興味なさそうだ。
「最近いるんだろう。そんな人が」
バカにするように笑っている。なんでだろう、聞きたくない。
「変だよね」
言いたくもない言葉が出る。その人達は悪い事してるわけじゃないのに、無闇に否定するのは嫌いだ。でも、それ以外にも、なぜか引っかかる。
「あすかはそんな事ないわよね!」
当然という風に母さんも笑っている。一緒に笑ってるフリをした。だけど、気分が悪い。早く、家に帰りたい。翔に会いたい。
「当たり前じゃん」
望まれてそうな言葉を返した。しょうもないな。それからは二人で話が盛り上がりそうだったので、そっとリビングから出て自分の部屋に行った。
「はぁ」
小さくため息をついた。ほんの数分でこれだけ疲れるなんて、想像の倍くらいしんどい。一泊したら、大学のレポートがあるからとか言って帰ろうと決めた。
家についてソファに座った。いつも通りのはずなのに、広く感じる。翔が泊まりにきた日を思い出したのだ。
「翔…夏休み中会えるかな」
でも、そもそも翔は僕と一緒にいて楽しいのかな。僕と違って、友達が沢山いて、好きな人もいて…。ネガティブなことばかり考えてしまう。
「今日は、早く寝よう」
そう思って、寝る準備を済ませ、ベッドの上に寝転がる。そのまま、スマホを手に取ってメッセージアプリを開いた。もちろん、翔からのメッセージはない。閉じようとしたその時、母さんから連絡が来た。「夏休みは帰ってくるの?」と書いてある。なんか、どうでもよくて「帰るよ」と返した。数分経って、後悔してきた。
「帰りたくないな」
でも、きっと、両親は喜んで迎えてくれる。僕は愛されてるのだと、そんな感覚はある。だけど、少し苦手だ。
「はぁ」
憂鬱な気分のまま、眠りについた。
起きてから、すぐスマホを手に取った。翔から、連絡が来ていないか気になったのだ。
「来てないか…」
実家に行く用事は早く済ませておこうと、出かける準備を始めた。お土産を買ってくれば、それを口実に翔に会えるかも。楽しみが一つだけできた。やっぱり、翔に助けられてばかりだ。
「よし、これでいいか」
最低限の荷物をバッグに詰めて家を出た。そして、駅まで歩き出した。
駅についてから、軽く実家へのお土産を購入した。それから、実家の近くの駅まで行く電車に乗った。ぼんやりと、過ぎていく景色を眺める。一時間ほど経ったところで、外が見慣れた景色に変わってきた。
「そろそろか…」
覚悟を決めるように深呼吸をしてから、電車を降りた。気持ちとは裏腹に豊かな自然と鳥の声が迎えてくれた。景色は嫌いじゃない。景色だけは、だけど。実家までの足取りが重い。でも、行くしかない。そう思いながら歩き続けると、とうとう家の前に着いてしまった。鍵を開けようと、バッグに手を伸ばしたところで、声をかけられた。
「あすか、おかえり」
父さんだ。嬉しそうに笑っている。
「うん。ただいま」
僕は作り笑顔で返した。
「久しぶりだな」
父さんはそう言いながら玄関の扉を開けた。そのまま、家に入る。靴を脱いでリビングに行くと、母さんと目があった。
「おかえりなさい」
母さんもそう言って嬉しそうに笑った。
「うん」
と短く言って、逃げるように自分の部屋に向かった。父さんと母さんが一緒にいる空間にはいたくない。ここにいたらそんな事叶わないけど。今はまだ準備ができてない。そんな言い訳を頭で考えながら、部屋に入った。部屋は、何も変わっていない。壁には、友達と一緒に撮った写真が飾ってある。高校の時の写真が多い、その中にはななもいる。
「懐かしいな」
写真を見ていると、自然に表情が緩むのがわかる。少し落ち着いた。カバンからお土産だけを取り、リビングへ戻った。
「これ、買ってきたよ」
お菓子の箱を机の上に置いた。二人が好きなお菓子だ。
「あすか、ありがとう!」
母さんはすぐにそのお菓子を手に取った。喜んでくれてよかった。父さんも、母さんにお菓子を渡され受け取った。
「よかった」
「うん、ありがとう。あすか」
父さんも嬉しそうだ。少し安心する。二人とも、美味しそうにお菓子を食べている。そして、そのまま雑談の流れになった。
「最近どうだ」
「楽しいよ」
「何かあったのか?」
「えっと…友達が増えた」
翔の話題は出さないつもりだったが、聞かれて言ってしまった。でも、このくらいならいいだろう。
「あら、女の子?」
母さんが、目を輝かせて言ってくる。彼女っていうのを期待しているのだ。
「違うよ」
あすかは困ったように笑いながら、そう返した。
「残念」
母さんは、そう言ってまたお菓子を手に取った。
「そろそろ、彼女とか連れてきていいんだよ」
父さんもそう言って、期待するような表情で見てくる。面倒だ。
「できたら、連れてくるよ」
とりあえず、社交辞令のようにそう返すと、二人は満足げに頷いた。
「でも、彼氏とかは連れてくるなよ」
父さんは冗談みたいにそう言った。なぜか、ドキッとした。
「あはは、何それ」
とりあえず、笑って返す。話に熱中しているのか、返事には興味なさそうだ。
「最近いるんだろう。そんな人が」
バカにするように笑っている。なんでだろう、聞きたくない。
「変だよね」
言いたくもない言葉が出る。その人達は悪い事してるわけじゃないのに、無闇に否定するのは嫌いだ。でも、それ以外にも、なぜか引っかかる。
「あすかはそんな事ないわよね!」
当然という風に母さんも笑っている。一緒に笑ってるフリをした。だけど、気分が悪い。早く、家に帰りたい。翔に会いたい。
「当たり前じゃん」
望まれてそうな言葉を返した。しょうもないな。それからは二人で話が盛り上がりそうだったので、そっとリビングから出て自分の部屋に行った。
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