水面の星

白詰えめ

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お土産

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 翌朝、起きたらかすかに怒鳴り声が聞こえた。たぶん、リビングで両親が喧嘩しているのだ。流石に、僕がいる間くらいは喧嘩しないと思ってたのに。あすかは、仕方なくリビングに向かった。
「おはよう。どうしたの?」
 あすかがそう問いかけると、待ってたように母さんがあすかの方へ歩いてきた。
「お父さんのね、洗っちゃダメな服を洗っちゃったの」
 母さんは、僕にだけ聞こえるくらいの声量で言った。喧嘩の原因を聞いて、うんざりする。
「だいたい、お前はいつも雑なんだ」
 父さんは、関係ない話までし出しそうだ。いつもこうやって、一つの失敗から他のことまで責め出す。そして最終的には人格否定みたいなことまで言うのだ。離れていて、二人のことが好きだと勘違いしていた。今は、ハッキリと苦手だとわかる。
「まあまあ、せっかく帰ってきたんだし、一緒にご飯でも食べようよ。僕久しぶりに、二人に作りたいな」
 そう言って二人の真ん中に入った。あすかがそういうと、少し沈黙が流れる。
「ああ」
 父さんはそう言って部屋を出ていった。ほっとする。母さんは、そのまま床に座り込んだ。
「あすか…ありがとう」
「あはは」
 台所へ向かい、早速料理を始めた。朝食っぽく、目玉焼きと肉を少し焼いて皿に乗せた。それに、早く出来るものじゃないといけない。父さんを早く呼びに行かないと、放置している間にまた機嫌が悪くなる可能性がある。急いで3人分盛り付けて、テーブルに並べた。それから、父さんの部屋に向かった。扉の前に立ち、ノックをする。
「ご飯、できたよ!」
 元気にそう告げると、しばらくして父さんが出てきた。何を考えてるのかわからない。

 三人で食卓を囲んだ。段々とピリピリとした空気は、落ち着いてきた。
「あすかのご飯は美味しいな」
 はじめに口を開いたのは、父さんだった。
「よかったよ」
 笑いながらそう返す。よかった、もう、大丈夫だ。
「そういえば、いつまでいるの?」
 母さんが言った。
「今日で帰るよ。レポート学校まで提出しに行かなきゃでさ」
 昨日考えた嘘をつく。学校とつけると二人は納得してくれるのだ。
「そうか、また帰ってこいよ」
 父さんは寂しそうにそう言った。
「もちろん」
 そう言って、また、黙々と食べ始める。ごちそうさまでしたと言って、立ち上がった。
「いつくらいに出るの?」
「お昼かな?」
「じゃあ、すぐ行っちゃうのね」
「そうだね」
 寂しそうにされると、少し胸が苦しいが、帰りたい気持ちの方が強い。二人の皿も受け取って、洗った。

 自分の部屋に戻って、広げた荷物をカバンに戻す。ようやく帰れる。短かったのに、すごく長く感じた。三日は泊まれるようにしてたが、結局使わなかったな、と思いながらカバンを閉じた。
「そろそろ、電車の時間だから行くね」
 リビングに顔を出して、二人言った。
「いつでも、帰ってくるんだよ」
 父さんがそう言うと母さんも頷いた。二人の喧嘩はすっかりおさまったようだ。
「うん、またね。行ってきます」
 そう言って家を出た。それから、近くの商店街に寄った。商店街の景色も前きた時と変わっていない。
「あ、こことか良さそう」
 この県ならではの、アクセサリーが売ってある。いつも気にしてなかったけど、綺麗だ。
「翔に似合いそう」
 そう思って、青い石がついたネックレスを手に取った。レジに持っていくと意外と高くて驚いたが、翔にあげるんだから、まあいいかと思い丁寧にカバンに入れた。他にもお菓子とかを買っていこうと、別のお店に入った。お菓子がたくさん並んでいる。
「どれがいいかな」
 考えながら、甘そうなお菓子、からそうなお菓子、素朴そうなお菓子の三種類をカゴに入れた。それから、自分用にキャラメルも買って会計を済ませた。気分が晴れてきた気がする。軽い足取りのまま、駅に向かった。

 ちょうど電車が来たので、それに乗った。やっと帰れる。疲れた。スマホを開いてみた。やっぱり、翔からの通知はない。
「こっちから連絡するか」
 そう思い、“お土産渡したいんだけど、今日暇?”と打ち込んだ。返事を待ちながら外をみた。少ししてから、通知音がした。翔だった。“もちろん暇、どこ行けばいい?”と書いてあった。嬉しくなって、“駅とかは?”と返すと、すぐに、おっけーと返ってきた。
「翔に会える…」
 嬉しくて仕方がなかった。そわそわした気持ちのまま、電車が駅に着くのを待った。
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