銀色の誓い ~再誕の王女と忘れられた王子~

小世 真矢

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第六章

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第六章:王女の秘密

カイルの申し出を受け入れたレオンは、改めてカイルから、リアについて詳しく話を聞いた。リアは、ヴェルンスト王国の最後の王女であり、まだ幼いながらも、王家の血を受け継ぐ重要な存在だという。王国を滅ぼした者たちは、リアの存在を隠し、彼女を抹殺しようと躍起になっているらしい。

「連中は、王女様の特別な力、そして、王家に伝わる秘宝を狙っている。」

カイルの言葉に、レオンは眉をひそめた。特別な力?秘宝?まるで、おとぎ話のような話だったが、カイルの真剣な表情を見て、レオンはそれが現実なのだと理解した。

カイルは、リアを、東の奥深くにある、かつての王国の隠れ里まで送り届けるつもりだった。そこは、王国の忠臣たちが、密かに守り続けている場所だという。隠れ里は、長年の間に自然の中に完全に溶け込み、外界の者が簡単に辿り着くことはなかった。しかし、その場所こそが、リアを守るための最も安全な場所だということだった。

その日の夜、カイルは、レオンとハルトを連れて、リアが身を隠しているという場所へ向かった。それは、シエルの街外れにある、廃墟となった修道院だった。修道院は、かつては王国の僧侶たちが住んでいた場所であり、リアの母国ヴェルンスト王国の遺産を見守り続けてきた地でもあった。しかし、王国が滅び、修道院はすっかり忘れ去られ、今やその姿をほとんど残していなかった。

修道院の中は荒れ果てていたが、奥の一室だけは、綺麗に整えられていた。その一室には、静かな灯りがともり、木の香りが漂っていた。そこで、レオンは、初めてリアと対面した。

リアは、まだ十歳にも満たない、小さな少女だった。だが、その瞳には、年齢に見合わないほどの強い光が宿っていた。目を見開くその様子からは、まるで世界の真実を見つめるかのような静かな力強さを感じた。そして、カイルが言った通り、彼女の髪は、レオンと同じ、美しい銀色をしていた。その髪は、月光のように柔らかく、どこか神秘的であり、彼女が普通の人間でないことを強く感じさせた。

リアは、レオンを見ると、少し警戒した様子だったが、カイルが事情を説明すると、すぐに打ち解けた。ハルトは、リアと同じくらいの年頃だったため、すぐに仲良くなり、二人で楽しそうに話し始めた。リアは、しばらくの間、ほとんど無口だったが、次第にハルトの明るさに引き寄せられるように、少しずつ笑顔を見せるようになった。

その夜、レオンは、カイルと今後の計画について話し合った。追っ手の影は、すでにシエルにも迫っている可能性がある。一刻も早く、ここを離れなければならない。

「できるだけ早く、ここを出たほうがいい。追っ手がここに来るのも時間の問題だ。」

カイルの言葉に、レオンは頷いた。だが、リアの身を守るために何か策を練らねばならない。何も手を打たずに動き続けることは、二人の命を危険にさらすことになると感じていた。

翌朝早く、レオン、ハルト、カイル、そしてリアの四人は、シエルを後にした。カイルは、リアの身を案じ、人目を避けるように、険しい山道を選んだ。道は狭く、険しく、四人の足取りを重くした。だが、ここを通る者は少なく、追っ手の目を逃れるためには最適だった。

旅の途中、何度か、追っ手と思われる者たちの気配を感じた。カイルとレオンは、交代で周囲を警戒し、慎重に足を進めた。しかし、追っ手の影は消えることなく、彼らを追い詰めていた。

「もうすぐ夜だ。ここで野営をしよう。」

カイルの指示で、四人は簡単な陣営を作り、夜を迎える準備をした。リアは、まだ旅に慣れないせいか、疲れが溜まっていたようで、眠そうな目をこすりながら、木の下で横になった。ハルトは、リアに近くに座り、優しく話しかけていた。そのやりとりに、レオンは心の中でほっとしたような気持ちを覚えた。彼がこれまで孤独に生きてきたことを思えば、こんな風に誰かと支え合いながら進むことが、何よりも大切だと感じた。

しかし、旅は順調には進まなかった。ある夜、山中で野営をしていると、突然、複数の人影が現れた。追っ手だ。

「来るぞ!」

カイルの叫びと共に、戦闘が始まった。追っ手たちは、訓練された兵士のようだった。カイルとレオンは、リアとハルトを守りながら、応戦した。レオンは、大剣を振るい、次々と敵を倒していく。その動きは、まるで風のように鋭く、無駄がない。カイルも、短剣を手に、素早い動きで敵を翻弄する。しかし、敵の数は多く、次第に追い詰められていった。

その時、リアが、突然、小さな声で何かを呟いた。

「……やめて……」

その言葉とともに、不思議なことが起こった。周囲の木々が、まるで意思を持っているかのように動き出し、追っ手たちを襲い始めた。茨の蔓が巻き付き、太い枝が振り下ろされる。追っ手たちは、悲鳴を上げながら、逃げ惑った。その光景を目の当たりにしたレオンもカイルも、ただ呆然と立ち尽くしていた。

リアの力、それは単なる偶然ではなく、確実に存在している。レオンは、改めてその力の正体に衝撃を受けると同時に、その力を使うことが、どれほど危険であるかを痛感した。

混乱に乗じて、レオンたちは、その場から逃げ出した。リアの力のおかげで、追っ手を振り切ることができたが、レオンの心には、新たな疑問が生まれた。リアは、一体、どんな力を持っているのだろうか?そして、その力は、彼女の運命に、どのように関わってくるのだろうか?

旅は続く。リアを狙う者たちの影は、依然として消えない。しかし、レオンは、リアを守り抜くことを、改めて心に誓った。それは、ハルトのためであり、そして、自分自身の過去と向き合うためでもあった。
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