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第七章
しおりを挟む第七章:力の代償
リアの力によって、追っ手たちを一時的に退けることができたものの、レオンたちの心には、重い影が落ちていた。リア自身も、自分の身に起きたことに戸惑い、不安そうな表情を浮かべていた。彼女は、たった一度の出来事にしてはあまりにも大きな力を使い過ぎてしまったことを感じ取っていたのだ。
「いったい、あの力は…」ハルトは、目を見開きながらも興奮と驚きが入り混じった声で尋ねた。レオンもカイルも、その答えを知ることができず、ただ黙っていた。
カイルは、深い息をつきながら言葉を絞り出した。「リアの力は、ヴェルンスト王家の血を引く者にしか宿らない、特別な力です。それは自然を操る力であり、王家の中でも一部の者にしか現れないと言い伝えられています。だが、私も今回のようなことを見るのは初めてだ。」
「それじゃ、リアも王家の血を引いているということか?」レオンは、混乱した表情で尋ねた。彼自身が銀色の髪を持つ理由や、自分の過去についてもまだ分からないことが多い中で、この新たな事実はさらに謎を深めるばかりだった。
「その通りだ。だが、リアの力はまだ不安定だろう。感情が高ぶることで、制御が効かなくなるかもしれない。」カイルは、険しい表情を浮かべながら続けた。「だから、気をつけなければならない。力を使い過ぎれば、自分自身にも傷がついてしまうから。」
その言葉を聞いたレオンは、リアのことがますます心配になった。彼女がどれほど強力な力を持っているとしても、それが彼女にとって危険なものであれば、力を使うことが恐ろしい呪いになるかもしれない。
その晩、レオンは、リアと二人きりで話すことにした。彼女が感じている不安や恐れを少しでも軽くしてあげたかったからだ。二人は、木の下で小さな焚き火を囲みながら、ゆっくりと会話を始めた。
「リア…私も、昔から自分のことがよく分からないんだ。」レオンは、静かに語りかけた。「銀色の髪を持っていることも、幼い頃の記憶が曖昧で、何もかもがぼんやりとしている。」
リアは、そんなレオンの言葉を静かに聞いていた。そして、しばらく黙っていた後、彼女は小さな声で言った。「私も、よく分からないんです。時々、頭の中に、誰かの声が聞こえるような気がするんです。」
レオンは、その言葉に驚き、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。それはまるで、自分自身が言われているかのような感じがした。自分も、どこかで誰かの声を感じ取っているような気がしてならなかった。
その夜、レオンは夢を見た。夢の中で、彼は銀色の髪を持つ見知らぬ女性が優しく自分を呼ぶ声を聞いた。声は温かく、懐かしささえ感じさせるものだったが、夢の中でその女性が誰なのかを知ることはできなかった。
翌朝、レオンは目を覚ますとすぐにカイルを呼び出した。「カイル、リアの力についてもっと詳しく知りたい。彼女に何が起きているのか、それがどこから来るのか…。」
カイルは、真剣な表情で頷いた。「王家の隠れ里には、もしかしたらその手がかりがあるかもしれません。そこには、王家の古い文献や伝承が眠っているはずです。」
こうして、レオンたちは再び隠れ里を目指して旅を続けることになった。しかし、彼らを追う者たちはあきらめることなく、着実にその足音を迫らせていた。リアの力を警戒し、執拗に彼らを追い詰める者たちの影はますます強くなり、決して簡単には振り切れなくなってきた。
旅の途中、リアは何度か感情の制御を失ってしまい、無意識のうちに力を使ってしまうことがあった。どんな小さな感情の揺れでも、自然界に異変を引き起こすのだ。木々がうねり、風が暴れ、地面が揺れる――それがリアの力の暴走だった。レオンたちは、その度に恐れを感じながらも、力を使わざるを得ない場面に直面していた。
ある日、追っ手に囲まれたとき、リアは激しい怒りを感じ、その力を爆発させた。大地が震え、巨大な岩が地面から隆起して、追っ手たちを押しつぶすかのように迫った。その力は凄まじく、追っ手たちは恐怖で顔を歪め、逃げ惑うしかなかった。
しかし、その代償は大きかった。リアは力を使い過ぎてしまい、その結果、高熱を出して倒れてしまった。レオンたちは、急いで近くの洞窟に避難し、リアを休ませることにした。彼女は、苦しそうにうめき声を上げながらも、微かに息をしているだけだった。
ハルトは、心配そうにリアのそばに寄り添い、その手を握っていた。カイルは焦りとともに、リアの状態が悪化する一方であることを感じ取っていた。「これ以上、彼女を休ませる場所を探さなければならない。隠れ里に着く前に、彼女が持ちこたえられるかどうか…。」
レオンは、リアの銀色の髪を見つめながら考えていた。彼女の力がどこから来るのか、そして自分との関係は一体どういうものなのか…それが一層、謎めいてきた。
その夜、レオンは再びあの夢を見た。今度は、夢の中で女性の声がはっきりと聞こえた。「……レオン……あなたも、私たちと同じ……」
その言葉に、レオンは驚きと混乱を感じた。自分も「同じ」だとは一体どういう意味なのか?その答えを求めて、夢の中で必死に追い求めようとしたが、答えは闇の中に消え、再び浮かんでこなかった。
翌朝、リアは辛うじて意識を取り戻したが、体を動かすことはできなかった。レオンは、カイルと相談し、リアを背負って隠れ里を目指すことを決意した。
険しい山道を、リアを背負いながら進むのは容易ではなかった。しかし、レオンは決して諦めることなく、リアを守り抜くことを改めて誓い、その小さな体をしっかりと背中に感じながら歩みを続けた。
追っ手たちの影は、すぐそこまで迫っていた。レオンたちは、時間との戦いを強いられ、リアの力がもたらす希望と危険が交錯する中で、彼らはますます追い詰められていった。
そして、レオンはまだ知らない。隠れ里に辿り着いた先で、彼を待ち受ける衝撃的な真実が待っていることを。
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