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第98話 ストーカー?
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「じゃあ、初子姉ちゃんが帰ってきたら謝ってたよって言っておいてくれる?」
『……はい。秀喜おじさんもスライムの件お願いしますね』
「はいはい。じゃあね」
『……さようなら』
珠理奈ちゃんとの電話を済ますと俺はスマホを机の上に置いた。
「はぁ~……どうなってるんだ最近の女子中学生は……」
俺は話の成り行き上、珠理奈ちゃんにスライムをプレゼントすることになってしまった。
「厄介な子に知られちゃったな……」
今さらながら珠理奈ちゃんにトウキョウダンジョンのことを話してしまったことを後悔していると、
「わんわんっ!」
犬の鳴き声が聞こえてきた。
その鳴き声を聞いて俺はポチのことを思い浮かべる。
「ポチ、今頃高木さん家で夕ご飯食べてる頃かな~」
……うらやましい。
と、
ピンポーン!
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
夜七時過ぎに誰だろうと思いながら俺は自室を出ると階段を下り玄関に向かう。
ピンポピンポーン!
「はーい!」
そんな鳴らさなくても今出るって。
心の中でつぶやきながら玄関に着きドアを開けると、
「ゴジラくん助けてっ!」
「高木さん!?」
高木さんが俺の横をするりと抜けて家の中に逃げ込んできた。ポチも一緒だった。
「えっ、なにっ、どうしたのっ?」
「変な男の人が後ろをついてきてたのっ! ずっとついてくるから怖くなって、走ったら向こうも走って追ってきて……」
よほど怖かったのだろう、靴のまま廊下に上がって早口で説明する高木さん。
よく見ると手が少し震えている。
「ストーカーか何かかな……?」
俺はドアを少し開け外の様子を確認してみるが人の気配はない。
ポチが足元に顔をこすりつけじゃれてくる。
「大丈夫。もう誰もいないよ」
高木さんに顔を向けると、
「あ、ありがとう……」
気が抜けたのか高木さんは廊下にぺたんとしゃがみ込んだ。
そして次の瞬間ハッとなり、
「ご、ごめんね、靴履いたままだったっ」
いそいそと靴を脱ぎ出した。
「いや、別にそれはいいけど……それよりこんな時間に何してたの? もしかしてポチの散歩?」
「うん。仕事が終わってから散歩してたから暗くなっちゃって……」
「忙しいなら無理に散歩させなくてもいいよ」
秋の夜七時はもう真っ暗だ。
こんな夜道に女性が一人で歩くのは少し危ないのでは……。
「本当はもう帰ろうと思ってたんだけどポチがこっちの方に引っ張っていくから……で気付いたらゴジラくん家の近くに来てたの」
「こらポチ、散歩の時は引っ張っちゃ駄目だろ。高木さんは女の子なんだから」
「くぅん」
わかっているのかいないのか猫なで声を上げる。
「そしたら途中から変な男の人がわたしのあとをついてきていたから怖くなってゴジラくんの家に避難させてもらったの」
「そうだったんだ」
「ごめんね、いきなり。驚いたよね」
「いや、来てくれてよかったよ」
男の俺でも夜道で知らない男がずっと後ろをついてきていたら怖いもんな。
女性ならなおさらだろう。
「高木さんの家ってここから近いの? なんなら車で送っていくけど」
「えっと、ゴジラくんの家とこの前会ったわたしが働いてるペットホテルの中間くらいかな」
「ふーん。案内してくれれば送ってくよ」
「ありがとう。じゃあお願いしていい?」
「ああ、いいよ」
俺はなるべく平静を装いながら高木さんとの会話を進ませ、ついでにポチの頭を撫でた。
うん。俺今いい感じだ。
「あ、ってことはポチ預かるのは今日まで?」
高木さんがポチの口元をわしゃわしゃしながら訊いてくる。
「あー、えっと……」
出来ることならまたポチを預かってほしい。
深い階層に行くにつれてダンジョンに潜る時間も長くなるだろうからポチの面倒を見てくれる人がいるのはありがたい。
それに何より高木さんとまた会う口実が出来る。
「高木さんさえよかったらまたあとで頼みたいんだけど。いいかな?」
「うん、もちろんいいよ。わたしポチにだいぶなつかれたみたいだし」
「わんっ」
「きゃあ、ポチってばっ」
ポチが高木さんの口をベロベロなめている。
うーん……ただのスキンシップのはずなのだが妙に胸が高鳴るのはなぜだろう。
「高木さんここでちょっと待ってて、すぐ戻ってくるから」
そう言い残し俺は部屋に駆け上がった。
引き出しから一万円札を三枚取り出すと急いで戻る。
「高木さん、はいこれ。ポチを預かってくれたお礼ね」
「あ、ありがと。でもわたし五日しか預かってないけど……」
三万円を見て戸惑った表情を浮かべる高木さん。
「散歩もしてくれたし今日はもうほとんど終わったようなもんだから。六日分」
「いいの? ありがとう」
「いやいや、こっちこそありがとう。じゃあそろそろ行こうか」
「うん」
家を出ると車に乗り込む俺と高木さんとポチ。
「こらポチ、お前は乗るな。どうせ吐くだろ」
「くぅん」
「ポチ、またあとでね」
「わんっ」
俺はポチを家に戻すと再度車に乗り込みエンジンをかけ車を発進させた。
行き先はまだ見ぬ高木さんの家だ。
『……はい。秀喜おじさんもスライムの件お願いしますね』
「はいはい。じゃあね」
『……さようなら』
珠理奈ちゃんとの電話を済ますと俺はスマホを机の上に置いた。
「はぁ~……どうなってるんだ最近の女子中学生は……」
俺は話の成り行き上、珠理奈ちゃんにスライムをプレゼントすることになってしまった。
「厄介な子に知られちゃったな……」
今さらながら珠理奈ちゃんにトウキョウダンジョンのことを話してしまったことを後悔していると、
「わんわんっ!」
犬の鳴き声が聞こえてきた。
その鳴き声を聞いて俺はポチのことを思い浮かべる。
「ポチ、今頃高木さん家で夕ご飯食べてる頃かな~」
……うらやましい。
と、
ピンポーン!
玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
夜七時過ぎに誰だろうと思いながら俺は自室を出ると階段を下り玄関に向かう。
ピンポピンポーン!
「はーい!」
そんな鳴らさなくても今出るって。
心の中でつぶやきながら玄関に着きドアを開けると、
「ゴジラくん助けてっ!」
「高木さん!?」
高木さんが俺の横をするりと抜けて家の中に逃げ込んできた。ポチも一緒だった。
「えっ、なにっ、どうしたのっ?」
「変な男の人が後ろをついてきてたのっ! ずっとついてくるから怖くなって、走ったら向こうも走って追ってきて……」
よほど怖かったのだろう、靴のまま廊下に上がって早口で説明する高木さん。
よく見ると手が少し震えている。
「ストーカーか何かかな……?」
俺はドアを少し開け外の様子を確認してみるが人の気配はない。
ポチが足元に顔をこすりつけじゃれてくる。
「大丈夫。もう誰もいないよ」
高木さんに顔を向けると、
「あ、ありがとう……」
気が抜けたのか高木さんは廊下にぺたんとしゃがみ込んだ。
そして次の瞬間ハッとなり、
「ご、ごめんね、靴履いたままだったっ」
いそいそと靴を脱ぎ出した。
「いや、別にそれはいいけど……それよりこんな時間に何してたの? もしかしてポチの散歩?」
「うん。仕事が終わってから散歩してたから暗くなっちゃって……」
「忙しいなら無理に散歩させなくてもいいよ」
秋の夜七時はもう真っ暗だ。
こんな夜道に女性が一人で歩くのは少し危ないのでは……。
「本当はもう帰ろうと思ってたんだけどポチがこっちの方に引っ張っていくから……で気付いたらゴジラくん家の近くに来てたの」
「こらポチ、散歩の時は引っ張っちゃ駄目だろ。高木さんは女の子なんだから」
「くぅん」
わかっているのかいないのか猫なで声を上げる。
「そしたら途中から変な男の人がわたしのあとをついてきていたから怖くなってゴジラくんの家に避難させてもらったの」
「そうだったんだ」
「ごめんね、いきなり。驚いたよね」
「いや、来てくれてよかったよ」
男の俺でも夜道で知らない男がずっと後ろをついてきていたら怖いもんな。
女性ならなおさらだろう。
「高木さんの家ってここから近いの? なんなら車で送っていくけど」
「えっと、ゴジラくんの家とこの前会ったわたしが働いてるペットホテルの中間くらいかな」
「ふーん。案内してくれれば送ってくよ」
「ありがとう。じゃあお願いしていい?」
「ああ、いいよ」
俺はなるべく平静を装いながら高木さんとの会話を進ませ、ついでにポチの頭を撫でた。
うん。俺今いい感じだ。
「あ、ってことはポチ預かるのは今日まで?」
高木さんがポチの口元をわしゃわしゃしながら訊いてくる。
「あー、えっと……」
出来ることならまたポチを預かってほしい。
深い階層に行くにつれてダンジョンに潜る時間も長くなるだろうからポチの面倒を見てくれる人がいるのはありがたい。
それに何より高木さんとまた会う口実が出来る。
「高木さんさえよかったらまたあとで頼みたいんだけど。いいかな?」
「うん、もちろんいいよ。わたしポチにだいぶなつかれたみたいだし」
「わんっ」
「きゃあ、ポチってばっ」
ポチが高木さんの口をベロベロなめている。
うーん……ただのスキンシップのはずなのだが妙に胸が高鳴るのはなぜだろう。
「高木さんここでちょっと待ってて、すぐ戻ってくるから」
そう言い残し俺は部屋に駆け上がった。
引き出しから一万円札を三枚取り出すと急いで戻る。
「高木さん、はいこれ。ポチを預かってくれたお礼ね」
「あ、ありがと。でもわたし五日しか預かってないけど……」
三万円を見て戸惑った表情を浮かべる高木さん。
「散歩もしてくれたし今日はもうほとんど終わったようなもんだから。六日分」
「いいの? ありがとう」
「いやいや、こっちこそありがとう。じゃあそろそろ行こうか」
「うん」
家を出ると車に乗り込む俺と高木さんとポチ。
「こらポチ、お前は乗るな。どうせ吐くだろ」
「くぅん」
「ポチ、またあとでね」
「わんっ」
俺はポチを家に戻すと再度車に乗り込みエンジンをかけ車を発進させた。
行き先はまだ見ぬ高木さんの家だ。
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