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とことんやってやるぜ!
俺は魔獣の追撃に備えた。
そのどれもが致死とさえ思える圧倒的な威力で、剣が次々と襲い掛かってくる。とても反撃を差し込む隙などない。
グレートウルフの使う技は基本的に片手用大剣技のため、攻撃の速度はそれほどでもないが―。一撃一撃の威力は、凄まじく時々体をかすめる刃でも血が噴き出す。
視界の端では、高レベルのハンターたちが金属性の盾や、重層の鎧を身に着けてこちらに向かってきてくれているのがわかる。
だがオオカミ男が噴き出す炎により周りが燃えているため、その動きは遅い。
早く……、まだ俺が立っていられるうちに。頼む。
必死になって剣を振り、敵の攻撃を捌くのだが―。
「ぐはっ!」
とうとう敵の連撃により俺は地面に膝をついた。体中痺れるような痛みと血の混じった赤い汗。
元々、俺のレベルと装備では勝ち目のない戦いだったのだ。このままでは……。
死の恐怖が、凍るような冷たさとなって全身を駆け巡る。最早、離脱する力も余裕もない。
残された選択肢は片手剣剣技の大技『ブレイク・ダウン』を奴にあてて、少しでも手傷を負わせるしかない。
「……」
黄金の化け物も俺がそろそろ限界であることに気付いたのだろう。一瞬、攻撃を止め右手に持っていた大剣を大きく振り上げ、空中でピタッと停止した。
一気に勝負を決めたいのか、広範囲攻撃の剣技、『パワー・ブレイド』の構えだ。
だが―。
そのタイミングを逃さず、俺は地面を転がりながら敵の側面に回り込んだ。
今しかない。剣技、ブレイクダウン。
俺は右手に持っていた剣に全体重を乗せて突き入れる。シューという効果音と赤い軌跡を描きながら鋭い刃が、グサリと魔獣の分厚い胸板に突き刺さった。
「ゴアアアアッ……!」
オオカミ男は天を振り仰ぎ、口と鼻から盛大に噴気を漏らしながら咆哮する。
深く。もっと深く、心臓までとどけ。
限界までアクセラレートされた腕の筋肉からは血管が浮き出ている。
「うおおおおおっ!」
俺は絶叫しながら魔獣が痛みで暴れるのも構わず、剣に力を込める。視界が噴き出す血で真っ赤になり、もはや敵の姿すら見えない。魔獣が俺を掴み、投げ飛ばそうとするが―。全身のアドレナリンを駆け巡らせて、この剣撃にすべてをつぎ込む。
がくっ。
グレートウルフの全身が硬直した―と思った瞬間、剣先から赤い液体が大量に噴出し、周りの草木を真っ赤に染めていく。
終わったのか……?
俺は戦闘の余熱によるめまいを感じながら、声もなく地面に転がった。
全身の力が抜け、意識が暗転した。
俺は魔獣の追撃に備えた。
そのどれもが致死とさえ思える圧倒的な威力で、剣が次々と襲い掛かってくる。とても反撃を差し込む隙などない。
グレートウルフの使う技は基本的に片手用大剣技のため、攻撃の速度はそれほどでもないが―。一撃一撃の威力は、凄まじく時々体をかすめる刃でも血が噴き出す。
視界の端では、高レベルのハンターたちが金属性の盾や、重層の鎧を身に着けてこちらに向かってきてくれているのがわかる。
だがオオカミ男が噴き出す炎により周りが燃えているため、その動きは遅い。
早く……、まだ俺が立っていられるうちに。頼む。
必死になって剣を振り、敵の攻撃を捌くのだが―。
「ぐはっ!」
とうとう敵の連撃により俺は地面に膝をついた。体中痺れるような痛みと血の混じった赤い汗。
元々、俺のレベルと装備では勝ち目のない戦いだったのだ。このままでは……。
死の恐怖が、凍るような冷たさとなって全身を駆け巡る。最早、離脱する力も余裕もない。
残された選択肢は片手剣剣技の大技『ブレイク・ダウン』を奴にあてて、少しでも手傷を負わせるしかない。
「……」
黄金の化け物も俺がそろそろ限界であることに気付いたのだろう。一瞬、攻撃を止め右手に持っていた大剣を大きく振り上げ、空中でピタッと停止した。
一気に勝負を決めたいのか、広範囲攻撃の剣技、『パワー・ブレイド』の構えだ。
だが―。
そのタイミングを逃さず、俺は地面を転がりながら敵の側面に回り込んだ。
今しかない。剣技、ブレイクダウン。
俺は右手に持っていた剣に全体重を乗せて突き入れる。シューという効果音と赤い軌跡を描きながら鋭い刃が、グサリと魔獣の分厚い胸板に突き刺さった。
「ゴアアアアッ……!」
オオカミ男は天を振り仰ぎ、口と鼻から盛大に噴気を漏らしながら咆哮する。
深く。もっと深く、心臓までとどけ。
限界までアクセラレートされた腕の筋肉からは血管が浮き出ている。
「うおおおおおっ!」
俺は絶叫しながら魔獣が痛みで暴れるのも構わず、剣に力を込める。視界が噴き出す血で真っ赤になり、もはや敵の姿すら見えない。魔獣が俺を掴み、投げ飛ばそうとするが―。全身のアドレナリンを駆け巡らせて、この剣撃にすべてをつぎ込む。
がくっ。
グレートウルフの全身が硬直した―と思った瞬間、剣先から赤い液体が大量に噴出し、周りの草木を真っ赤に染めていく。
終わったのか……?
俺は戦闘の余熱によるめまいを感じながら、声もなく地面に転がった。
全身の力が抜け、意識が暗転した。
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