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五月十七日 注ぎ初め
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「はぁ・・・。部活帰りにバイトになんて思い切り、やれる気力があっても全部もってかれたわ・・・」
綾辻雅人は、ため息をつきながらそう呟く
現在時刻は午後八時ちょうどで
自身の真上には夜空が広がり
よくよく見ると僅かに光を反射している月が
こちらに存在を示している
「光強えなぁ。睨んでんじゃねぇかって思っちまうが・・・さすがに疲れすぎか」
目を擦りもう一度見てみるが
ますますそんな気がする・・・やめるか、と
前を向き直した
こんな変な思い込みをする俺だが
ステータスはごく普通、17歳学生の男だ
友達と自転車を飛ばして遠くに出かけたり
部活で汗を流し、バイトで小遣い稼ぎをしたり
その疲れで授業中眠りこけたり・・・
そんな普通な人間ではあるが
一つだけ他の奴にはほとんど当てはまる
機会のないことがある
俺は高校生ながらに一人暮らしなのだ
別に親がいないとかではない、
ピンピンしてるし多分俺より動ける
そんな親だからなのだろうか
成長の過程は早いに限る!、なんて言って
中三の春、家から追い出されたのだ
さすがにもっと方法あったんじゃ、とも
当時は思っていたが
最近はそんなに気にしなくなっていた
「・・・いけねいけね、さすがにぼーっとしすぎたか。春とはいえ寒いからなぁ。こんなとこで体壊したらたまったもんじゃねぇ」
そんな軽口を叩きながら
俺は再び家へと歩みを進め始めた
「そろそろ家も近い。これでやっと休めそうだ・・・」
ずっと帰りに使ってきた道なのに
今日はなぜか少し長く感じた
・・・部活とバイトを続けてやるのは
さすがに体に負担だったか
「そう考えたら今日は早めに寝とくか。作り置きもあるし、さっさと風呂済ませて・・・ん?」
その時だった、
俺が行こうとしている道の先に
何か・・・小さく影が見えた
小刻みに震えており
かなり弱っているようにも見える
最初は遠目からだったため
これという風に断定するのは難しかったのだが
・・・近づいて確信した
俺は驚くと同時に"その子"の傍に駆け寄った
「おい!こんな時間に一人で何やってんだ!」
「・・・えっ、お兄さん。誰?」
その子は俺の声に一瞬ビクッとした後、
驚いた顔をこちらに見せてくる
「今は、そんなことどうでもいいんだよ!親はどこいったんだよ!?こんなとこに放置って・・・」
「・・・違うよ、パパとママは悪くないの。僕が・・・僕が・・・うっ」
俺の疑問の矛先に答えようとしていた声が
急に途切れる
「ちょ、おい!・・・まずいな。とりあえず、俺の家まで連れてって安静にさせねぇと・・・」
俺はまだ混乱する頭を落ち着かせると
冷静に事の対処をしようと動き始める
これが俺とこいつとの出会いだった
綾辻雅人は、ため息をつきながらそう呟く
現在時刻は午後八時ちょうどで
自身の真上には夜空が広がり
よくよく見ると僅かに光を反射している月が
こちらに存在を示している
「光強えなぁ。睨んでんじゃねぇかって思っちまうが・・・さすがに疲れすぎか」
目を擦りもう一度見てみるが
ますますそんな気がする・・・やめるか、と
前を向き直した
こんな変な思い込みをする俺だが
ステータスはごく普通、17歳学生の男だ
友達と自転車を飛ばして遠くに出かけたり
部活で汗を流し、バイトで小遣い稼ぎをしたり
その疲れで授業中眠りこけたり・・・
そんな普通な人間ではあるが
一つだけ他の奴にはほとんど当てはまる
機会のないことがある
俺は高校生ながらに一人暮らしなのだ
別に親がいないとかではない、
ピンピンしてるし多分俺より動ける
そんな親だからなのだろうか
成長の過程は早いに限る!、なんて言って
中三の春、家から追い出されたのだ
さすがにもっと方法あったんじゃ、とも
当時は思っていたが
最近はそんなに気にしなくなっていた
「・・・いけねいけね、さすがにぼーっとしすぎたか。春とはいえ寒いからなぁ。こんなとこで体壊したらたまったもんじゃねぇ」
そんな軽口を叩きながら
俺は再び家へと歩みを進め始めた
「そろそろ家も近い。これでやっと休めそうだ・・・」
ずっと帰りに使ってきた道なのに
今日はなぜか少し長く感じた
・・・部活とバイトを続けてやるのは
さすがに体に負担だったか
「そう考えたら今日は早めに寝とくか。作り置きもあるし、さっさと風呂済ませて・・・ん?」
その時だった、
俺が行こうとしている道の先に
何か・・・小さく影が見えた
小刻みに震えており
かなり弱っているようにも見える
最初は遠目からだったため
これという風に断定するのは難しかったのだが
・・・近づいて確信した
俺は驚くと同時に"その子"の傍に駆け寄った
「おい!こんな時間に一人で何やってんだ!」
「・・・えっ、お兄さん。誰?」
その子は俺の声に一瞬ビクッとした後、
驚いた顔をこちらに見せてくる
「今は、そんなことどうでもいいんだよ!親はどこいったんだよ!?こんなとこに放置って・・・」
「・・・違うよ、パパとママは悪くないの。僕が・・・僕が・・・うっ」
俺の疑問の矛先に答えようとしていた声が
急に途切れる
「ちょ、おい!・・・まずいな。とりあえず、俺の家まで連れてって安静にさせねぇと・・・」
俺はまだ混乱する頭を落ち着かせると
冷静に事の対処をしようと動き始める
これが俺とこいつとの出会いだった
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