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番外編SS
書籍化お礼SS アラミックの理想
自国に戻ってしばらく経ったある日、アラミックは父と兄と三人でこの国の将来について話していた。
「……という感じで、我が国はもう少し教育に軸足を置くべきです。サーナイン王国では子供は、きちんと守られて勉強できる環境の中にいます」
アラミックはこぶしを握って力説した。
「わかった。わかったから落ち着くのだ。おい、またアラミックのサーナイン贔屓が始まったぞ?」
少し呆れ、少し楽しそうにアラミックの父であるバビリニア王国の国王は笑った。
隣国で事件を起こしたアラミックが帰国したのは少し前で、その時は監獄さえ用意していたのだ。
但し、食えない隣国の使者より、格別の配慮を強く要請された為社会貢献を条件に第二王子の地位はそのままにしていた。
それからアラミックは王国内を飛び回り、終わらない隣国との小競り合いで疲弊した国の復興に力を注いでいた。
そんなアラミックは少しずつ父である国王や王太子である兄の信頼を取り戻しつつある。
ただ困ったことにかなり隣国サーナイン王国にかぶれてしまったのだった。
「本当にアラミックはサーナインに惹かれたのだな。一体何がそんなに素晴らしいのだ?」
王太子である兄も楽しそうに話し出す。
今までは会えば嫌味を言い、お互いに批判ばかりを繰り返した兄弟とは思えなかった。
「そうですね。やはり、盲目であっても明るく楽しそうに生活できる国であること……ですかね」
「ん?」
「我が国はハンディをおった子供など捨て置いておいたではありませんか? それでは多様性は、生まれないのです。目が見えなくとも大切に育ててその感性から生まれる理想にもきちんと耳を傾けるべきなのです」
「あ、ああ」
「目が見えなくとも、美しく、優しく、聡明で、度胸もある。そんな女性も存在するのです!!」
「……」
父と兄はアラミックを見て、微妙な顔を見合わせた。
「それに! そんな女性は誰からも大切に尊重されなければならないのです!」
アラミックは天を仰いで拳を握る。
「そ、そうか……。それより、アラミックの婚約についてなんだか……」
父が気を取り直して、最近の懸案事項についてを語り出す。
アラミックが数年振りに帰国したことで、有力な貴族から婚約の打診が後を立たないのだ。
しかも、反目しあっていた父や兄と仲直りしたと聞いて、その数は数倍に膨れ上がっていた。
「婚約ですか?」
「ああ、そなたもいい年だ。そろそろ婚約者くらい作ってもよかろう?」
「はぁ」
気乗りしなそうなアラミックに兄である王太子が付け加える。
「アラミックの理想の女性像はあるのか?」
「理想の……女性」
アラミックの脳裏には隣国で出会った盲目の美しい少女の顔が想い浮かぶ。
「そ、そうですね。優しく、聡明で、人を思いやれる。楽しそうに笑える。更に美しくて……髪はプラチナブロンドで、目が見えない……」
始めはフンフンと聞いていた父と兄は途中から首を捻り、最後にはお互いに顔を見合わせた。
アラミックは隣国で考え方だけではなく、心まで奪われてきてしまったらしい。
これでは婚約など暫くは無理そうに見える。
父はため息を吐いてから、アラミックに告げた。
「アラミック、今すぐとは言わないが、もう少し落ち着いたら……そうだな。小競り合いをしていたウオレイク王国との和平が決まったら、また、サーナイン王国に行ってみるといい」
「え? 良いんですか?」
「ああ、今度こそ身分を偽らずバビリニア第二王子として、しっかり学んできなさい」
「はい! ありがとうございます!」
明るく返事をしたアラミックに父は心で付け加える。
(そして、噂の公爵令嬢にきちんとけじめをつけるのだ)
それをしなければ、婚約など出来ないし、相手にも失礼だと考えていた。
戦争と王位争い、そして、他国でのスパイ活動。それがアラミックがいた世界だった。この偏った世界では恋だの愛だのは存在しなかった。
そのことが自分の初恋さえ気づかない男にしてしまったと父や兄はアラミックを不憫に思う。
しかし、もう一度きちんと向き合うことで初恋に気づき、恋を終わらせてくる事を心の底から祈ったのだった。
「……という感じで、我が国はもう少し教育に軸足を置くべきです。サーナイン王国では子供は、きちんと守られて勉強できる環境の中にいます」
アラミックはこぶしを握って力説した。
「わかった。わかったから落ち着くのだ。おい、またアラミックのサーナイン贔屓が始まったぞ?」
少し呆れ、少し楽しそうにアラミックの父であるバビリニア王国の国王は笑った。
隣国で事件を起こしたアラミックが帰国したのは少し前で、その時は監獄さえ用意していたのだ。
但し、食えない隣国の使者より、格別の配慮を強く要請された為社会貢献を条件に第二王子の地位はそのままにしていた。
それからアラミックは王国内を飛び回り、終わらない隣国との小競り合いで疲弊した国の復興に力を注いでいた。
そんなアラミックは少しずつ父である国王や王太子である兄の信頼を取り戻しつつある。
ただ困ったことにかなり隣国サーナイン王国にかぶれてしまったのだった。
「本当にアラミックはサーナインに惹かれたのだな。一体何がそんなに素晴らしいのだ?」
王太子である兄も楽しそうに話し出す。
今までは会えば嫌味を言い、お互いに批判ばかりを繰り返した兄弟とは思えなかった。
「そうですね。やはり、盲目であっても明るく楽しそうに生活できる国であること……ですかね」
「ん?」
「我が国はハンディをおった子供など捨て置いておいたではありませんか? それでは多様性は、生まれないのです。目が見えなくとも大切に育ててその感性から生まれる理想にもきちんと耳を傾けるべきなのです」
「あ、ああ」
「目が見えなくとも、美しく、優しく、聡明で、度胸もある。そんな女性も存在するのです!!」
「……」
父と兄はアラミックを見て、微妙な顔を見合わせた。
「それに! そんな女性は誰からも大切に尊重されなければならないのです!」
アラミックは天を仰いで拳を握る。
「そ、そうか……。それより、アラミックの婚約についてなんだか……」
父が気を取り直して、最近の懸案事項についてを語り出す。
アラミックが数年振りに帰国したことで、有力な貴族から婚約の打診が後を立たないのだ。
しかも、反目しあっていた父や兄と仲直りしたと聞いて、その数は数倍に膨れ上がっていた。
「婚約ですか?」
「ああ、そなたもいい年だ。そろそろ婚約者くらい作ってもよかろう?」
「はぁ」
気乗りしなそうなアラミックに兄である王太子が付け加える。
「アラミックの理想の女性像はあるのか?」
「理想の……女性」
アラミックの脳裏には隣国で出会った盲目の美しい少女の顔が想い浮かぶ。
「そ、そうですね。優しく、聡明で、人を思いやれる。楽しそうに笑える。更に美しくて……髪はプラチナブロンドで、目が見えない……」
始めはフンフンと聞いていた父と兄は途中から首を捻り、最後にはお互いに顔を見合わせた。
アラミックは隣国で考え方だけではなく、心まで奪われてきてしまったらしい。
これでは婚約など暫くは無理そうに見える。
父はため息を吐いてから、アラミックに告げた。
「アラミック、今すぐとは言わないが、もう少し落ち着いたら……そうだな。小競り合いをしていたウオレイク王国との和平が決まったら、また、サーナイン王国に行ってみるといい」
「え? 良いんですか?」
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「はい! ありがとうございます!」
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それをしなければ、婚約など出来ないし、相手にも失礼だと考えていた。
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そのことが自分の初恋さえ気づかない男にしてしまったと父や兄はアラミックを不憫に思う。
しかし、もう一度きちんと向き合うことで初恋に気づき、恋を終わらせてくる事を心の底から祈ったのだった。
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