190 / 241
第百九十話 いざ、大学へ!
しおりを挟む「ハル、明日大学の貴族科に入学するんだよね?」
入学する前日の夜、俺の屋敷でバンド練習をがっつりした後の休憩中に、レイスから話し掛けられた。
練習に入る前に、メンバーに大学に入学する事を伝えたんだ。
その後すぐに練習に入ったから、こういう質問をする暇がなかったんだよね。だから休憩中の今、レイスは聞いてきたんだと思う。
「おう、入学するな。半年って期間だけど」
「君は半年って数字に縁があるね」
レイスはくすくすと笑いながら言った。
言われてみればそうだなぁ、音楽学校の時も半年間の留学だったしな。
半年って結構長い期間だけど、好きな事を学んでいたから本気であっという間だったんだよなぁ。
今回は全く好きではない事を学びに行く訳だが、三人の嫁とずっと一緒に暮らす為だ。
だから真剣に学びに行く予定だ。
でもきっと長く感じるんだろうなぁ。
「でもハルっち、チャンスじゃん!」
ミリアが汗を吹きながら楽しそうに言った。
「チャンス? 何の?」
「だって色んな貴族と友達になれるんだよ!? 絶対いいじゃん!」
そうなのかなぁ。
貴族の友達って、人をしっかり選ばないと面倒な事になりそうなんだよな。
生まれも育ちも貴族であるオーグに無言の視線を送ると、それに気付いて答えてくれた。
「ハル、どうせ貴族間の《友達》とは、腹に大きな一物を抱えているから面倒そうだなって思っていただろう?」
「いや、さすがにそこまでは思ってねぇよ……」
「そうか。だが、あながちその感想は間違ってはいない」
へぇ、間違ってねぇのか。
レイスにレオン、ミリアも興味があるようで、オーグの言葉に耳を傾ける。
「貴族の《友達》とは、国で例えるなら《同盟》と意味は等しい。貴族間でも表立ってはやらぬが争いが存在するから、友達になって争いは止めましょうねという程度の関係だ」
「戦争みたいな感じか?」
「いや、国で貴族間の戦争は禁止されているし、破ったら罰せられるから全く行われない」
「じゃあどうやって争うんだ?」
「様々な方法がある。例えばパーティを開催して粗を探して糾弾したり、服装や屋敷の豪華さ等をつついてきたり、相手の見栄の質を陥れる感じだな」
「しょぼっ!!」
貴族の争い、意外にショボかった!!
ついつい口に出してしまったが、オーグも苦笑する。
「私もお前達と出会って考えが改まったが、本当にくだらない争いをしていると思う。だが、貴族は見栄と権力が全てだ。見栄を落とされたら権力も削ぎ落とせる。そうやって没落させていくのを狙っているのだ」
「へぇ」
「お前が前の戦争の時にやった、文化侵略だったか? あれと似たようなものだ。武力による介入ではなく、別の要因で崩壊へと導いていくものだからな」
なるほどね、見栄と権力が全ての貴族のみが出来る争いって訳か。
俺が前の戦争でやった文化侵略も、ヨールデンに娯楽がほとんどないから出来た侵略だしな。
「大学の貴族科は、少しでも貴族の世界で長く生き残れるように学ぶ場所なのだ。主に歴史やテーブルマナーに式典でのマナー、口調など徹底的に学ぶ。ほぼ訓練に近いな。後は領地経営学もあるから、それも学べるな。後は一番はコネクション作りだな」
コネ作りはいいとして、式典でのマナーかぁ。
前世でのマナーは少し身に付けているけど、この世界で通用するかどうかわからない。
これは思った以上に気合いを入れて勉強しないといけないな。
するとオーグが、頬を掻いて明後日の方向を見ながらぼそりと呟いた。
「ま、まぁ、私とハルの場合は、ど、同盟とかではなく、気の許せる友人だと……思っている」
「お、おう……」
そんな照れ臭そうに言うな!
俺まで照れるだろうが!!
お互い照れているという訳のわからない状況の中、レオンが空気を振り払うかのように口を開いた。
「でもハルが侯爵かぁ。オレも敬語にした方がいいのかな?」
「やめろ、レオンの敬語とか気色悪くて寒気がして、そのまま寝込んで重体になっちまう」
「ひどくねっ!?」
実際、こんなチャラ男に畏まられたら、本気で気色悪い!
俺の反応を見て皆が笑う。
うん、こいつらとはずっと付き合っていきたいなって心から思う、気の許せる友人達だ。
「さて、じゃあ練習再開するぞ!」
『おうっ!』
この日は、日付が変わるまで練習をした。
仕上がりはかなり良い感じだ。
やっぱり、最高のバンドメンバーだよ、本当に。
近々俺達は移民してきた人達の為ともあるが、他の人達に対してのライブを開催する。
親父達が住んでいる城の中庭は、五千人位が入れるスペースがあるらしいが、多分移民達に向けてとなると絶対に足りない。
そこで、魔道具を使って三ヶ所の公園に、ライブの中継を行う事になった。
大規模のライブになる俺達は、緊張はしているものの同時に楽しみで仕方なかったんだ。
さて、明日はついに入学だ。
大学はどんな所なのだろうか、王都に住んでいたが、前を通る機会は全くなかったからわからないんだよなぁ。
そちらも楽しみにしておこうか!
「ハル君、準備はいい?」
「おう、準備は良いぜ、リリル。そっちはどうだ?」
「私は大丈夫だよ、ハル君」
「僕も大丈夫だ、ハル」
「わたくしは準備万端ですわ、ハル様」
俺達は支給された制服を着ていた。
紺のブレザーに白のチノパンツだ。左胸には大学の紋章らしきものが刺繍されている。
そして女性陣の制服は、白を基調とした制服だ。
所々紺のラインで白を強調していて、スカートは膝のちょうど真上程の丈だ。
いやぁ、リリルもレイもアーリアも、大変似合っていて素敵すぎてムラムラしてきてしまう!
そういえば最近気付いたのだが、俺は性欲が強いらしい。
カロルさんやレオン、レイスに聞いてみたら「マジか!!」と驚かれた。
逆にそんなに驚かれるとは思わなくてびっくりなんですけど……。
おっと、話は逸れたな。
「んじゃ、登校するか!」
「うん! 何か村の学校の事を思い出すね」
「僕も同じ事を思ったよ! また皆で学校に行けるなんて思ってみなかった」
「わたくしは皆様と一緒に学ぶのは初めてですから、非常に楽しみですわ!」
リリルとレイは昔話に花を咲かせ、アーリアはサングラスの位置を直しながら昔話に聞き入っている。
三人共、本当に楽しそうだな。
この笑顔は、しっかりと守らないといけないな。
俺達は、一緒に屋敷を出た。
さぁ、大学でも楽しんでやろうじゃねぇか!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる