音の魔術師 ――唯一無二のユニーク魔術で、異世界成り上がり無双――

ふぁいぶ

文字の大きさ
218 / 241

第二百十八話 ログナイト VS レイ 最初の一合

しおりを挟む

 この試合に、開始の合図はなかった。
 最初に攻撃を仕掛けたのはログナイトのじいさん。
 あんなでっけぇ剣を持っているのに、凄まじい速さでレイに突進していく。
 じいさんは何か強化魔法を使ったんだろうか?
 俺が知っている限りだと、強化魔法は風属性の《ブースト》位だ。
 音属性っていうユニーク魔法のせいで、他の属性魔法については全く勉強してなかったわ。
 さて、レイはどう出る?

「しゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 じいさんは奇声を上げて大剣を振り下ろす。
 レイは反応しない。避けるつもりもないようだ。

「レイちゃん!?」

「レイさん!?」

 リリルとアーリアが悲鳴を上げる。
 むしろリリルは回復魔法の準備をする程、レイは全く動かない。
 何を考えている、レイ?

 俺はレイの行動を考えていると、レイはそのまま脳天から真っ二つに斬られてしまった。観客からも悲鳴が上がる。
 ぶった斬った剣は勢い余って地面に深く突き刺さる。
 マジで斬られたのか!?
 いや、斬られたレイの姿が揺らめいて消滅した。
 残像か?

「……む!?」

 じいさんは大剣を地面に食い込ませたまま前方に飛ぶ。
 すると細身の剣が突然現れて、空を斬った。
 徐々に空気が歪んでいき、レイが姿を現した。

「ちっ」

 レイが小さく舌打ちする。
 完璧に虚をついた一撃だったが、ログナイトのじいさんは見事回避に成功した。
 恐らく勘なんだろうけど、この世界の平均寿命をぶっちぎって生き長らえているじいさんが勘で気付いたとしても、レイのあの攻撃を避けるのは相当難しい筈。
 生涯現役とか言っていたが、ありゃマジみたいだな……。

 さて、初手はお互い様子を見ずに全力で振るった。
 次からどう動くだろうか?
 俺も見てて、じいさんと戦いたくなってきたぜ!
 やっぱり男ってのは、どうしても強さに憧れるからなぁ。
 このじいさんも間違いなく越えたい壁であるわけで。
 勝てるかわからんけど、絶対に勝ちたいと思ってる。
 いずれ、絶対挑戦してやる!












 ――ログナイト視点――

 正直、冷や汗が止まらなかった。
 ハルの坊主の奥さんが相手と聞いていて若干拍子抜けしておったが、面を合わせるとなかなかどうして、十二歳という若さに合わない殺気を秘めていたんじゃ。
 儂はこの相手は油断してはならぬと判断し、最初から全力で叩き斬る事にした。
 特訓の末習得した無詠唱での《ブースト》を密かに掛け、速攻を仕掛ける。
 だが、奥さんは一切避ける動作をする事なく、そのまま儂に斬られてしまった。
 しかし手には人間を斬った感触は伝わらずに、我が大剣は地面に勢い余って突き刺さってしまった。
 すると、斬った人間が蜃気楼のように揺らめいてゆっくりと消えていったのじゃ。

(しまった、罠か!)

 無防備な状態で何処からか斬りかかろうとしているのじゃろう。
 儂は五感全てを活用し、気配を探る。
 すると、一瞬背後から殺気が感じ取れた。

「む!?」

 ほぼ直感じゃった。
 この場にいると背中を斬り裂かれると思った儂は、前方に飛び、突き刺さった剣を次いでに引き抜いた。
 殺気を感じた方に振り向いてみると、そこには細身の剣を振り抜いていた奥さんがいた。
 どんなからくりで背後に回ったかはわからぬ。
 恐らく光属性魔法の何かしらを使ったんじゃろうが、儂の知識にこんな魔法があった記憶がない。
 つまり、これはオリジナル魔法なのじゃろう。
 全く、ハルの坊主の奥さん達はぽんぽこオリジナル魔法を作りよる。
 
 通常、オリジナル魔法を作る際は、どのように言葉に魔力を込め、どのように世の理に接続するかを考えた上で詠唱を作り上げなければいけない。
 どのように世の理に接続できる詠唱を見つけるか、それが一番苦労するのじゃからオリジナル魔法とは非常に敷居が高い。
 じゃが、目の前の娘は無詠唱でやってのけた。
 魔術師としても、相当高いレベルにいる事が伺える。
 それに剣技もあの一振りを見るだけでそんじょそこらの剣士より遥かな高みにいるのは理解できた。

 まさに、天才じゃ。
 まだ伸び代がある天才が、儂と対峙している。
 ――死ぬかもしれん。
 儂の頭の中にこの言葉がよぎった瞬間、冷や汗が吹き出た。
 そう、あの一撃は負かす為の斬撃ではない、儂を殺す為の斬撃じゃった。

(こりゃ、下手するとハルの坊主と敵対せざるを得ないかもしれんな)

 あくまで向こうは遊びではない。
 手を抜いたら儂の命が終わってしまう。
 残念じゃが、まだ儂は死ぬつもりはない。まだやりたい事が沢山あるんじゃ。
 奥さんを殺したら、ハルの坊主が敵になってしまう。しかし自分の命と奴を敵に回す事を天秤に掛けたら、やはり自分の命が優先じゃ。
 新婚早々で悪いが、こちらも遠慮なくいかせてもらう。

 この奥さん――いや、レイ・ウィード。
 まさしく儂にとっては好敵手じゃ。
 久々に、儂の全力を出せる相手がいる。

 全身の筋肉が脈打つ。
 年老いた意識が、若返っていくのを感じる。
 思考がどんどん冴え渡っていく。
 心が、踊る!!

「はは、ははははははっ!!」

 楽しい、楽しい!
 相手の性別なんてもう関係ない!
 この勝負、誰に何と言われようが関係ない。
 全力で、勝たせて貰うぞ!!

 この瞬間、儂の体に閉じ籠っていた殺気が、一気に溢れ出したのを感じた。
しおりを挟む
感想 250

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

処理中です...