33 / 66
マーリンさんの学業奮闘記
マーリンさん、卒業する
しおりを挟む
ユウ先生が王都を去ってから半年が経ち、とうとう、私達は卒業を迎えた。
学院の講堂で、今年度の首席であるシアの挨拶が終わると、私達は寮に戻る。
あとはもう、寮の部屋を片付ければ、学院を出て行くだけだ。
ようやく師匠のところに戻る事が出来る。
この学院で、魔法技術はあまり伸びたとは言えないが、それ以外の学問、1年生のときにアルの妹さんの病気について調べた時に読んだ本の知識、ユウ先生に教わった薬草学や戦闘術、冒険者としての知識など、多くの事を学ぶ事が出来た。
そして、何より大切な友人が出来たのだ。
学院に来る前の私は魔法さえ習得すれば良いと考えていた。
学院に来た当初はなぜ3年もの間、魔法以外に時間を使わなければならないのかと疑問に思ったものだ。
まぁ、早々に切り替えて学院の生活を楽しんでいた私は、自分が思っているよりも適応力が有ったのだろう。
仲間と共に数々の事件を乗り越えた私は、仮に3年間、篭って魔法の勉強を続けていた私より、遥かに強いと言えるだろう。
しかし、そんな仲間とも今日でお別れだ。
私は師匠のところに戻るし、レオとシアは王宮に、アルは領地に戻るだろう。
クルスは卒業後の進路はどうするのだろうか?
彼は飛び抜けた所は無いが、平均的に高い能力を持っている。
恐らく、引く手数多に違いない。
「ふっ! こんなものかな」
3年間暮らした寮の部屋は、私が来る前と同じ状態に戻っている。
部屋の片付けを終えた私が談話室に行くとシアとクルスが居た。
「2人とも、もう片付けは終わったの?」
「はい、わたくしは少しづつ片付けて居ましたから、レオ様は昨日から慌てて片付けている様ですわ」
「はは……僕は元からあまり荷物は無かったからね。
マーリンさんに貰ったマジックバックも有ったし、すぐに終わったよ」
私達が3人でお茶を飲みながら話をしていると、レオとアルがやって来た。
「は~、やっと終わった」
「もう、レオ様がギリギリまで片付けないからですわ」
「うぅっ」
「ぼ、僕は違うよ。
レオに手伝わされていたんだ」
どうやらアルはレオを手伝っていたらしい。
そして、シアはレオを完全に尻に敷いている様だ。
それもそうか、シアは今や王国トップクラスの大商会を率いる大商人だ。
シアの商会はまだまだ大きくなるだろう。
ユウ先生と取り引きして、新しい調味料の製造もしているらしい。
ユウ先生の送別会で、私もその調味料を口にしたが、アレは売れる!
「そう言えばクルスは卒業後の進路、どうするんだ?」
シアにお説教されていたレオが、露骨に話題を逸らした。
すると、ため息1つ着くと、シアは勘弁してやったのかお説教をやめる。
「僕は冒険者として、1度世界を見て回ろうと思うんだ」
「冒険者! お前は色々と誘われていたと思うだが、冒険者になるのか?」
「ずっとじゃないよ。
この世界には僕の知らない事が沢山あると言う事が分かったからね。
旅をして、自分の目で世界を見たいんだ」
「そうか、旅に満足したら言えよ。
仕事を斡旋するぞ」
「ありがとう。
その時はレオくんを頼るよ」
私達はお茶を飲み終わると、校門まで移動する。
校門にはレオとシア、アルを迎えに来た馬車がすでに停まっていた。
「じゃあ、ココでお別れね」
「寂しくなりますわ」
「なに、もう2度と会えない訳じゃない」
「そうだね、また会おう」
「あれ? みんな、何かくるよ」
私達がクルスが指差す方へと視線を向けると空から魔物がこちらに向かって飛んで来た。
しかし、その魔物には、従魔の証が付けられている。
誰かが使役している魔物だ。
この魔物は確か、Eランクのビッグクロウだ。
大きなカラスの魔物だが、この魔物はまだ子供なのか普通のカラスくらいの大きさだ。
その魔物は私の隣りの石柱に降り立つと、私に脚に付けられた手紙を差し出した。
「え、私?
あ! 師匠からの手紙だ!」
ビッグクロウは私が手紙を受け取ると飛び去って行った。
それを見送った私は、師匠からの手紙を読む。
「ふっ!ふざけんな~‼︎」
「ど、どうしたのですかマーリンさん!」
「何が書かれていたんだ?」
私は無言で手紙をレオに渡す。
「よ、読んで良いのか?」
『親愛なる我が弟子 マーリンへ
卒業おめでとう。
3年間、よく頑張ったね。
君はこの3年間で、沢山の事を学び、大きく成長した事と思う。
友人と共に多くの困難を乗り越えて来た事だろう。
なので、君の成長を見せて貰う為、試練を与える事にした。
君は王都から旅立ち、世界を回り、私を探し出してみなさい。
コレを成した時、君に魔導の奥義を授けよう。
大賢者 イナミ 』
「「「「………………」」」」
「………………どう思う?」
「た、大変だな」
「大賢者になる為の試練ですわ」
「応援するよ」
「頑張って下さい!」
「見つけたら絶対一発ぶん殴ってやる!」
こうして私の、師匠を探す長い旅が始まったのだ
学院の講堂で、今年度の首席であるシアの挨拶が終わると、私達は寮に戻る。
あとはもう、寮の部屋を片付ければ、学院を出て行くだけだ。
ようやく師匠のところに戻る事が出来る。
この学院で、魔法技術はあまり伸びたとは言えないが、それ以外の学問、1年生のときにアルの妹さんの病気について調べた時に読んだ本の知識、ユウ先生に教わった薬草学や戦闘術、冒険者としての知識など、多くの事を学ぶ事が出来た。
そして、何より大切な友人が出来たのだ。
学院に来る前の私は魔法さえ習得すれば良いと考えていた。
学院に来た当初はなぜ3年もの間、魔法以外に時間を使わなければならないのかと疑問に思ったものだ。
まぁ、早々に切り替えて学院の生活を楽しんでいた私は、自分が思っているよりも適応力が有ったのだろう。
仲間と共に数々の事件を乗り越えた私は、仮に3年間、篭って魔法の勉強を続けていた私より、遥かに強いと言えるだろう。
しかし、そんな仲間とも今日でお別れだ。
私は師匠のところに戻るし、レオとシアは王宮に、アルは領地に戻るだろう。
クルスは卒業後の進路はどうするのだろうか?
彼は飛び抜けた所は無いが、平均的に高い能力を持っている。
恐らく、引く手数多に違いない。
「ふっ! こんなものかな」
3年間暮らした寮の部屋は、私が来る前と同じ状態に戻っている。
部屋の片付けを終えた私が談話室に行くとシアとクルスが居た。
「2人とも、もう片付けは終わったの?」
「はい、わたくしは少しづつ片付けて居ましたから、レオ様は昨日から慌てて片付けている様ですわ」
「はは……僕は元からあまり荷物は無かったからね。
マーリンさんに貰ったマジックバックも有ったし、すぐに終わったよ」
私達が3人でお茶を飲みながら話をしていると、レオとアルがやって来た。
「は~、やっと終わった」
「もう、レオ様がギリギリまで片付けないからですわ」
「うぅっ」
「ぼ、僕は違うよ。
レオに手伝わされていたんだ」
どうやらアルはレオを手伝っていたらしい。
そして、シアはレオを完全に尻に敷いている様だ。
それもそうか、シアは今や王国トップクラスの大商会を率いる大商人だ。
シアの商会はまだまだ大きくなるだろう。
ユウ先生と取り引きして、新しい調味料の製造もしているらしい。
ユウ先生の送別会で、私もその調味料を口にしたが、アレは売れる!
「そう言えばクルスは卒業後の進路、どうするんだ?」
シアにお説教されていたレオが、露骨に話題を逸らした。
すると、ため息1つ着くと、シアは勘弁してやったのかお説教をやめる。
「僕は冒険者として、1度世界を見て回ろうと思うんだ」
「冒険者! お前は色々と誘われていたと思うだが、冒険者になるのか?」
「ずっとじゃないよ。
この世界には僕の知らない事が沢山あると言う事が分かったからね。
旅をして、自分の目で世界を見たいんだ」
「そうか、旅に満足したら言えよ。
仕事を斡旋するぞ」
「ありがとう。
その時はレオくんを頼るよ」
私達はお茶を飲み終わると、校門まで移動する。
校門にはレオとシア、アルを迎えに来た馬車がすでに停まっていた。
「じゃあ、ココでお別れね」
「寂しくなりますわ」
「なに、もう2度と会えない訳じゃない」
「そうだね、また会おう」
「あれ? みんな、何かくるよ」
私達がクルスが指差す方へと視線を向けると空から魔物がこちらに向かって飛んで来た。
しかし、その魔物には、従魔の証が付けられている。
誰かが使役している魔物だ。
この魔物は確か、Eランクのビッグクロウだ。
大きなカラスの魔物だが、この魔物はまだ子供なのか普通のカラスくらいの大きさだ。
その魔物は私の隣りの石柱に降り立つと、私に脚に付けられた手紙を差し出した。
「え、私?
あ! 師匠からの手紙だ!」
ビッグクロウは私が手紙を受け取ると飛び去って行った。
それを見送った私は、師匠からの手紙を読む。
「ふっ!ふざけんな~‼︎」
「ど、どうしたのですかマーリンさん!」
「何が書かれていたんだ?」
私は無言で手紙をレオに渡す。
「よ、読んで良いのか?」
『親愛なる我が弟子 マーリンへ
卒業おめでとう。
3年間、よく頑張ったね。
君はこの3年間で、沢山の事を学び、大きく成長した事と思う。
友人と共に多くの困難を乗り越えて来た事だろう。
なので、君の成長を見せて貰う為、試練を与える事にした。
君は王都から旅立ち、世界を回り、私を探し出してみなさい。
コレを成した時、君に魔導の奥義を授けよう。
大賢者 イナミ 』
「「「「………………」」」」
「………………どう思う?」
「た、大変だな」
「大賢者になる為の試練ですわ」
「応援するよ」
「頑張って下さい!」
「見つけたら絶対一発ぶん殴ってやる!」
こうして私の、師匠を探す長い旅が始まったのだ
0
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる