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【番外編】竜人王アルファは惑わす
⑫*
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ルシャードが胸の突起を強く吸い上げて、口に含んだまま歯を立てた。
その甘い痺れに身悶える。
「ぁ……ル……シャードさま……」
いつもと同じ手順でルシャードが腰を擽る。
しかしいつもにも増して、痛いぐらいに興奮が高まっていた。
身体の隅々にルシャードの唇が這うように触れていった。
ゆっくりと蕩けるような愛撫が繰り返される。
その刺激に、敏感になった俺の身体は意志に逆らって、過剰に反応してしまった。
びくっ……びくっ……と跳ねる。
息を吐くたび漏れ出る声も止められない。
「……俺の知らないところで、俺以外のアルファと一緒にいたかと思うと、嫉妬で焼き切れてしまいそうだ。ほかのアルファの匂いを今すぐ消してしまいたい」
ルシャードの独占欲に、平たい胸の奥が甘く切なく軋んだ。
「……消して」
「マイネと繋がりたい」
再びルシャードの舌先が胸の飾りを舐める。
その刺激に翻弄されながらも、喘ぐように囁いた。
「ルシャードさま……も……脱いで」
まだルシャードの服は何ひとつ乱れてない。
悶えているのは、俺だけだ。
「マイネが脱がしてくれ」
ルシャードが俺の手を自身の黒衣に誘い、色気の漂う仕草で懇願した。
裾から手を侵入させてルシャードの引き締まった肌に、そっと触れる。
少し汗ばんだしっとりとした感触。
そのまま脱ぎ取ると、見惚れるほどの完璧な身体が現れた。
はじめての行為のように鼓動が高鳴る。
ルシャードの金色の瞳に吸い込まれるように視線が絡み合うと同時に、口づけを交わした。
「マイネ」
下衣と下穿きを引き下ろされて、完全に勃ち上がった俺の慎ましい性器が現れる。
ルシャードはそこにも唇を這わせるように口づけを落とした。
躊躇いもなく。
「う……ぁん」
美しすぎる高貴なルシャードにこんな奉仕をさせるなんて、今でも居たたまれなくなるのに、あまりにも煽情的なその姿にどうしようもなくなるってしまう。
ルシャードの舌先が丁寧に先端を舐め取る。
なぜか俺の口の中にも、苦い味が広がったような気がして興奮した。
ルシャードは温かい口の中に含み、頭を上下に動かす。
「……すご……いぃ」
そのまま片方の膝裏を持ち上げられ、後孔を指先でなぞられた。
「久しぶりだから狭いな」
嬉しげにルシャードが言うと、尖らせた舌をそこに侵入させた。
硬く閉じていた敏感な場所は、ルシャードの舌によって浅ましく緩む。
「ぃや……」
発情期でもないから、後孔が勝手に濡れることはない。
唾液で湿らせると、長い指で掻き回された。
膝が崩れそうになり、寝室の扉にもたれかかる。
「ぁあ……ルシャ……ド」
動きを抑えられて、責められる。
たまらない。
先走りの雫が垂れる。
腰が揺れてしまう。
「誰かに触らせたりしてないだろうな?」
ルシャードの問いに俺はこくこくと頷いた。
当然だ。
ルシャード以外には考えられない。
番だからとかではなく、俺の本能がルシャードしかいらないと言っている。
ルシャードは俺の答えに満足したかのように、窄まりを広げる指を増やした。
「あぁ……ル……しゃ………いれて」
高まる射精感を何とか我慢して、頭を小さく振って懇願した。
顔を上げたルシャードから、ごくりと唾を嚥下する音が耳に入る。
「はや……いれて」
俺はもう一度、ルシャードにねだった。
早く。
ルシャードのもので、満たされたい。
「煽るな。我慢できなくなる」
剥き出しになった飢えに身震いした。
ルシャードは早急に下穿きから勃ち上がった器官を取り出すと、先端を後孔にあてる。
そしてわずかに腰を沈めた。
「ぁん……ぁ」
屹立がゆっくりと侵入する。
張り出したくびれが襞の中に収まる。
圧倒的な質量に息が止まった。
そして最奥まで一気に突かれた。
痛みを伴って、強烈な快感に襲われる。
「ああぁ……あ……」
荒い息とともに喘いだ。
背筋が戦慄き、同時にルシャードの腹に吐精していた。
それでもルシャードの律動は、一向に止まらない。
奥を突かれるたびに腰が跳ねて、目の前に発光が点滅した。
「抑えが効かない。ちょっと加減してやれん」
止めてほしいのか。
酷くしてほしいのか。
俺もわからない。
何も考えられず、ただルシャードの肩に腕を回して、背中に爪を立てた。
果てたばかりの内がルシャードの昂りを咥えて、絞り取るように脈打ち続ける。
けれども、お構いなしに何度も激しく突き上げて揺すられる。
ルシャードの筋肉質な腹に、達したばかりの俺の性器が容赦なく擦られ、逃げ場をなくしていた。
「あぁ……締められる……すごいよすぎる」
俺の耳元で囁くと、耳朶を甘噛みされる。
いっそう強い快感に身体が引き裂かれた。
引きずられる。
なにこれ。
気づけば、俺の身体は痙攣していた。
身体の奥が弛緩を繰り返す。
「あっ……ルシャ…………」
絶頂が尾を引く。
まだ、続いていた。
「マイネ、俺だけを見ろ」
繰り返し抽挿しながら、ルシャードは俺の顎を上げさせる。
獣の本能のような乱暴な交わりだった。
「愛してる……会いたかった」
「……あぁ……あいして……る」
限界が訪れて、悲鳴を上げそうだった。
でも、このままルシャードを見ていたい。
理性が弾け飛ぶ。
俺の首元のふたつのネックレスが揺れていた。
唇を塞がれ、喘ぎを飲み込まれる。
ルシャードの舌が思うままに蹂躙する。
溢れでる唾液ごと絡め取られた。
制御できない。
震えが止まらない俺にルシャードは気づいてるはずなのに、容赦がない。
息を長く吐き出したルシャードは、色香を漂わせる表情で一瞬静止する。
つぎに強く押し込まれる。
「っん……」
小さく呻いて、俺の中に熱い白濁を吐き出した。
同時に俺も二度目の吐精をしていた。
すると挿れたまま、体を反転させられる。
「はあ……まだ治らない」
そう言って、扉に両手を突いた俺の腰を支えながら、後ろから捻じ込まれた。
「えっ……」
先ほどとは角度が変わり、一番敏感な場所を狙って何度も擦られる。
「あぁだめ……まっ……」
強弱をつけて、出入れするルシャードの器官は、再び完全な硬度が復活していた。
反らした背中に唇が落ちてくる。
ルシャードの手が伸びてきて、揺れる俺の性器を包み込んだ。
空いてるほうの手で乳首を執拗に潰し続ける。
「ぃや……」
力が入らない。
「マイネ」
「マイネ」
「マイネ」
ルシャードは何度も、俺の名を呼んでいた。
少しだけ瞼を閉じるつもりが、すっかり寝てしまった。
窮屈な寝台の上で目覚めると、ルシャードの腕の中にいた。
ルシャードは俺の寝顔をじっと見ていたようで、瞼を開けた瞬間に目が合う。
「……どれぐらい寝てましたか?」
「そんなに寝てない。二時間ぐらいだ」
俺は室内を見渡す。
ここはカスパーとふたりで暮らした、大切な思い出の場所だ。
だが、何というか、ルシャードのような豪華な芸術品のような存在は、あまりにも場違いで異質だった。
狭くて質素な部屋にルシャードは浮いている。
「ルシャード様がここにいるのが、不思議です」
「そうか? ここは居心地がいい。過去のマイネとカスパーと一緒にいるような気がする」
ルシャードは愛しむように視線を彷徨わせた。
「カスパーは、俺のいない間、泣いたりしてませんでしたか?」
「大丈夫。マイネに言われた通り、指折り数えて帰りを待っていたよ」
「ルシャード様は何と言って、こちらに来たんですか?」
「正直にマイネを迎えに行くと伝えた。そしたら、マイネに怒られるからやめたほうがいいとカスパーに言われたけどな」
向かい合って毛布にくるまり、背中に腕を回して抱擁された。
俺もルシャードも下穿きだけ身につけていた。
額にルシャードの唇が触れる。
「マイネ、そろそろ竜人国の話を聞かせてくれるか? 何があった?」
そう促されて、「はい」と返事をした。
俺は、竜人国で起きた出来事をすべて語りはじめる。
リュウコが竜人の繭卵だったことも。
青の王に自慰を見られたこと以外は包み隠さず教えた。
ルシャードは時々眉根を寄せながら、静かに聴き入っている。
そしてエモリーが無事に回復したところまで伝え終わった。
「王宮に向かったハンさんが、明日にでも到着するはずです」
「もう今日だ。そうしたら、すぐにでもアンゼル国全土に特効薬の存在を公に発表されるだろう」
そう言うと、ルシャードは俺の肩に顎を乗せて、しばらく黙る。
今後の国の方針を目まぐるしく考えているのだろうか。
その思考の邪魔にならないように、俺も口を閉ざした。
ルシャードがぼそりと呟く。
「マイネも……青の王の左目に魅了の力があると思ったのか?」
オティリオの言葉をそのまま伝えたから、何かひっかかりを覚えたようだ。
俺は左右に首を振る。
「いいえ?まったく思いませんでした」
「それを聞いて安心した」
青の王に魅了の力が備わっていると、オティリオが思ったのは、オティリオ自身が青の王に強く惹かれていたからなのかもしれない。
そうでもなければ、出ない発言だと、今更気づいた。
抗えない気持ちを、魅了だと思い込みたかったのではないのかと。
「――あっ……しまった。オティリオ殿下から、陛下に宛てた手紙と銀ノ宮の家令に宛てた手紙を預かったんですが、その手紙を入れた鞄を領主館に置いてきちゃいました」
ルシャードからの手紙を読んだとき、何もかも忘れてルシャードのことしか考えられなくなって、夢中でここまで走ってきてしまった。
「鞄なら、マイネが寝てる間にグスタが運んできたぞ」
ルシャードが寝室の床に視線を向けた。
本当だ。
確かに、そこに俺の旅行鞄があった。
ルシャードがさり気なく言う。
「…………どうして、マイネの鞄の中に俺の黒衣があるのだ?」
「開けたの⁉︎」
俺は非難するよな声を上げた。
――見られた。
一瞬惚けようかとも思ったのだが、正直に認めるしかない。
「あの……お借りしました」
そう言って、毛布の中にもそもそと潜る。
「なんで隠れる?」
「恥ずかしいからです」
ルシャードも毛布の中に潜ってきて、頬を撫でられた。
耳元で触れるか触れないかの距離で囁かれる。
「そんなに恥ずかしがられると、あれを使って何かしたのかと勘繰ってしまうぞ?」
「してません」
俺ははっきりと嘘をついた。
ルシャードの手が背中に伸びて、背骨を指先で辿る。
「俺はしたぞ。マイネを思い出して」
「……ひとりで?」
俺が真顔で訊くと、ルシャードは珍しく豪快に破顔した。
「当たり前だろ。ひとりに決まっている。マイネは、俺のことを思い出してくれなかったのか? 焦がれていたのは俺だけか?」
俺は小さく首を振った。
「……俺も同じです」
ルシャードは背後に手を伸ばすと、下穿きをずらして、後孔のまわりを指でなぞった。
行為をしたばかりの柔らかい窄まりは、すぐに指を飲み込んでしまう。
浅い箇所を弄る。
「もう一回、挿れたい」
ルシャードが胸の粒に歯を立てて、息を吹きかける。
震えるほどの甘美な痺れが全身を襲った。
「ん……」
背筋に快感が走る。
再び、下腹部に熱が集まり、芯を持ちはじめた。
ルシャードが上半身を起こすと、下穿きを脱がせながら俺の足の間に割り入るように移動する。
欲情した昂りで入り口を撫でられた。
それから腰をゆっくりと沈めて、挿入する。
「はあ」
ルシャードの息が漏れた。
上体を倒したルシャードは、俺とぴったりと重なる。
俺の背中をゆっくりと撫でた。
ルシャードは動こうとしない。
「このまま、ずっと中にいたい」
小さく揺するだけだ。
緩慢な動きを続けるルシャードが焦ったい。
そう思いながらも、とんでもない幸福感に襲われた。
ふわふわとした浮遊感。
深々と息を吸い、吐き出す。
ルシャードの端整な顔が近寄り、唇を軽く合わせた。
「ああ、最高の気分だ」
俺の存在を確かめるように身体を合わせる。
ルシャードの体重で潰されてしまいそうだ。
「離れているのが、死にそうに辛かった……またマイネが消えてしまいそうで」
冷徹だと評されることの多いルシャードは、何も恐れるものがなさそうなのに、俺にだけ弱い心の奥を曝け出す。
「……俺も、ふたりが病に罹ったらどうしょうかと、ずっと怖くてたまらなかった」
「マイネ、いなくならないでくれ」
ルシャードの両頬を包みこむように触った。
温もりが伝わる。
「ずっとそばにいます」
「…………好きだ。愛してる」
繋がったまま、動こうとしないルシャードは愛を囁く。
その甘い痺れに身悶える。
「ぁ……ル……シャードさま……」
いつもと同じ手順でルシャードが腰を擽る。
しかしいつもにも増して、痛いぐらいに興奮が高まっていた。
身体の隅々にルシャードの唇が這うように触れていった。
ゆっくりと蕩けるような愛撫が繰り返される。
その刺激に、敏感になった俺の身体は意志に逆らって、過剰に反応してしまった。
びくっ……びくっ……と跳ねる。
息を吐くたび漏れ出る声も止められない。
「……俺の知らないところで、俺以外のアルファと一緒にいたかと思うと、嫉妬で焼き切れてしまいそうだ。ほかのアルファの匂いを今すぐ消してしまいたい」
ルシャードの独占欲に、平たい胸の奥が甘く切なく軋んだ。
「……消して」
「マイネと繋がりたい」
再びルシャードの舌先が胸の飾りを舐める。
その刺激に翻弄されながらも、喘ぐように囁いた。
「ルシャードさま……も……脱いで」
まだルシャードの服は何ひとつ乱れてない。
悶えているのは、俺だけだ。
「マイネが脱がしてくれ」
ルシャードが俺の手を自身の黒衣に誘い、色気の漂う仕草で懇願した。
裾から手を侵入させてルシャードの引き締まった肌に、そっと触れる。
少し汗ばんだしっとりとした感触。
そのまま脱ぎ取ると、見惚れるほどの完璧な身体が現れた。
はじめての行為のように鼓動が高鳴る。
ルシャードの金色の瞳に吸い込まれるように視線が絡み合うと同時に、口づけを交わした。
「マイネ」
下衣と下穿きを引き下ろされて、完全に勃ち上がった俺の慎ましい性器が現れる。
ルシャードはそこにも唇を這わせるように口づけを落とした。
躊躇いもなく。
「う……ぁん」
美しすぎる高貴なルシャードにこんな奉仕をさせるなんて、今でも居たたまれなくなるのに、あまりにも煽情的なその姿にどうしようもなくなるってしまう。
ルシャードの舌先が丁寧に先端を舐め取る。
なぜか俺の口の中にも、苦い味が広がったような気がして興奮した。
ルシャードは温かい口の中に含み、頭を上下に動かす。
「……すご……いぃ」
そのまま片方の膝裏を持ち上げられ、後孔を指先でなぞられた。
「久しぶりだから狭いな」
嬉しげにルシャードが言うと、尖らせた舌をそこに侵入させた。
硬く閉じていた敏感な場所は、ルシャードの舌によって浅ましく緩む。
「ぃや……」
発情期でもないから、後孔が勝手に濡れることはない。
唾液で湿らせると、長い指で掻き回された。
膝が崩れそうになり、寝室の扉にもたれかかる。
「ぁあ……ルシャ……ド」
動きを抑えられて、責められる。
たまらない。
先走りの雫が垂れる。
腰が揺れてしまう。
「誰かに触らせたりしてないだろうな?」
ルシャードの問いに俺はこくこくと頷いた。
当然だ。
ルシャード以外には考えられない。
番だからとかではなく、俺の本能がルシャードしかいらないと言っている。
ルシャードは俺の答えに満足したかのように、窄まりを広げる指を増やした。
「あぁ……ル……しゃ………いれて」
高まる射精感を何とか我慢して、頭を小さく振って懇願した。
顔を上げたルシャードから、ごくりと唾を嚥下する音が耳に入る。
「はや……いれて」
俺はもう一度、ルシャードにねだった。
早く。
ルシャードのもので、満たされたい。
「煽るな。我慢できなくなる」
剥き出しになった飢えに身震いした。
ルシャードは早急に下穿きから勃ち上がった器官を取り出すと、先端を後孔にあてる。
そしてわずかに腰を沈めた。
「ぁん……ぁ」
屹立がゆっくりと侵入する。
張り出したくびれが襞の中に収まる。
圧倒的な質量に息が止まった。
そして最奥まで一気に突かれた。
痛みを伴って、強烈な快感に襲われる。
「ああぁ……あ……」
荒い息とともに喘いだ。
背筋が戦慄き、同時にルシャードの腹に吐精していた。
それでもルシャードの律動は、一向に止まらない。
奥を突かれるたびに腰が跳ねて、目の前に発光が点滅した。
「抑えが効かない。ちょっと加減してやれん」
止めてほしいのか。
酷くしてほしいのか。
俺もわからない。
何も考えられず、ただルシャードの肩に腕を回して、背中に爪を立てた。
果てたばかりの内がルシャードの昂りを咥えて、絞り取るように脈打ち続ける。
けれども、お構いなしに何度も激しく突き上げて揺すられる。
ルシャードの筋肉質な腹に、達したばかりの俺の性器が容赦なく擦られ、逃げ場をなくしていた。
「あぁ……締められる……すごいよすぎる」
俺の耳元で囁くと、耳朶を甘噛みされる。
いっそう強い快感に身体が引き裂かれた。
引きずられる。
なにこれ。
気づけば、俺の身体は痙攣していた。
身体の奥が弛緩を繰り返す。
「あっ……ルシャ…………」
絶頂が尾を引く。
まだ、続いていた。
「マイネ、俺だけを見ろ」
繰り返し抽挿しながら、ルシャードは俺の顎を上げさせる。
獣の本能のような乱暴な交わりだった。
「愛してる……会いたかった」
「……あぁ……あいして……る」
限界が訪れて、悲鳴を上げそうだった。
でも、このままルシャードを見ていたい。
理性が弾け飛ぶ。
俺の首元のふたつのネックレスが揺れていた。
唇を塞がれ、喘ぎを飲み込まれる。
ルシャードの舌が思うままに蹂躙する。
溢れでる唾液ごと絡め取られた。
制御できない。
震えが止まらない俺にルシャードは気づいてるはずなのに、容赦がない。
息を長く吐き出したルシャードは、色香を漂わせる表情で一瞬静止する。
つぎに強く押し込まれる。
「っん……」
小さく呻いて、俺の中に熱い白濁を吐き出した。
同時に俺も二度目の吐精をしていた。
すると挿れたまま、体を反転させられる。
「はあ……まだ治らない」
そう言って、扉に両手を突いた俺の腰を支えながら、後ろから捻じ込まれた。
「えっ……」
先ほどとは角度が変わり、一番敏感な場所を狙って何度も擦られる。
「あぁだめ……まっ……」
強弱をつけて、出入れするルシャードの器官は、再び完全な硬度が復活していた。
反らした背中に唇が落ちてくる。
ルシャードの手が伸びてきて、揺れる俺の性器を包み込んだ。
空いてるほうの手で乳首を執拗に潰し続ける。
「ぃや……」
力が入らない。
「マイネ」
「マイネ」
「マイネ」
ルシャードは何度も、俺の名を呼んでいた。
少しだけ瞼を閉じるつもりが、すっかり寝てしまった。
窮屈な寝台の上で目覚めると、ルシャードの腕の中にいた。
ルシャードは俺の寝顔をじっと見ていたようで、瞼を開けた瞬間に目が合う。
「……どれぐらい寝てましたか?」
「そんなに寝てない。二時間ぐらいだ」
俺は室内を見渡す。
ここはカスパーとふたりで暮らした、大切な思い出の場所だ。
だが、何というか、ルシャードのような豪華な芸術品のような存在は、あまりにも場違いで異質だった。
狭くて質素な部屋にルシャードは浮いている。
「ルシャード様がここにいるのが、不思議です」
「そうか? ここは居心地がいい。過去のマイネとカスパーと一緒にいるような気がする」
ルシャードは愛しむように視線を彷徨わせた。
「カスパーは、俺のいない間、泣いたりしてませんでしたか?」
「大丈夫。マイネに言われた通り、指折り数えて帰りを待っていたよ」
「ルシャード様は何と言って、こちらに来たんですか?」
「正直にマイネを迎えに行くと伝えた。そしたら、マイネに怒られるからやめたほうがいいとカスパーに言われたけどな」
向かい合って毛布にくるまり、背中に腕を回して抱擁された。
俺もルシャードも下穿きだけ身につけていた。
額にルシャードの唇が触れる。
「マイネ、そろそろ竜人国の話を聞かせてくれるか? 何があった?」
そう促されて、「はい」と返事をした。
俺は、竜人国で起きた出来事をすべて語りはじめる。
リュウコが竜人の繭卵だったことも。
青の王に自慰を見られたこと以外は包み隠さず教えた。
ルシャードは時々眉根を寄せながら、静かに聴き入っている。
そしてエモリーが無事に回復したところまで伝え終わった。
「王宮に向かったハンさんが、明日にでも到着するはずです」
「もう今日だ。そうしたら、すぐにでもアンゼル国全土に特効薬の存在を公に発表されるだろう」
そう言うと、ルシャードは俺の肩に顎を乗せて、しばらく黙る。
今後の国の方針を目まぐるしく考えているのだろうか。
その思考の邪魔にならないように、俺も口を閉ざした。
ルシャードがぼそりと呟く。
「マイネも……青の王の左目に魅了の力があると思ったのか?」
オティリオの言葉をそのまま伝えたから、何かひっかかりを覚えたようだ。
俺は左右に首を振る。
「いいえ?まったく思いませんでした」
「それを聞いて安心した」
青の王に魅了の力が備わっていると、オティリオが思ったのは、オティリオ自身が青の王に強く惹かれていたからなのかもしれない。
そうでもなければ、出ない発言だと、今更気づいた。
抗えない気持ちを、魅了だと思い込みたかったのではないのかと。
「――あっ……しまった。オティリオ殿下から、陛下に宛てた手紙と銀ノ宮の家令に宛てた手紙を預かったんですが、その手紙を入れた鞄を領主館に置いてきちゃいました」
ルシャードからの手紙を読んだとき、何もかも忘れてルシャードのことしか考えられなくなって、夢中でここまで走ってきてしまった。
「鞄なら、マイネが寝てる間にグスタが運んできたぞ」
ルシャードが寝室の床に視線を向けた。
本当だ。
確かに、そこに俺の旅行鞄があった。
ルシャードがさり気なく言う。
「…………どうして、マイネの鞄の中に俺の黒衣があるのだ?」
「開けたの⁉︎」
俺は非難するよな声を上げた。
――見られた。
一瞬惚けようかとも思ったのだが、正直に認めるしかない。
「あの……お借りしました」
そう言って、毛布の中にもそもそと潜る。
「なんで隠れる?」
「恥ずかしいからです」
ルシャードも毛布の中に潜ってきて、頬を撫でられた。
耳元で触れるか触れないかの距離で囁かれる。
「そんなに恥ずかしがられると、あれを使って何かしたのかと勘繰ってしまうぞ?」
「してません」
俺ははっきりと嘘をついた。
ルシャードの手が背中に伸びて、背骨を指先で辿る。
「俺はしたぞ。マイネを思い出して」
「……ひとりで?」
俺が真顔で訊くと、ルシャードは珍しく豪快に破顔した。
「当たり前だろ。ひとりに決まっている。マイネは、俺のことを思い出してくれなかったのか? 焦がれていたのは俺だけか?」
俺は小さく首を振った。
「……俺も同じです」
ルシャードは背後に手を伸ばすと、下穿きをずらして、後孔のまわりを指でなぞった。
行為をしたばかりの柔らかい窄まりは、すぐに指を飲み込んでしまう。
浅い箇所を弄る。
「もう一回、挿れたい」
ルシャードが胸の粒に歯を立てて、息を吹きかける。
震えるほどの甘美な痺れが全身を襲った。
「ん……」
背筋に快感が走る。
再び、下腹部に熱が集まり、芯を持ちはじめた。
ルシャードが上半身を起こすと、下穿きを脱がせながら俺の足の間に割り入るように移動する。
欲情した昂りで入り口を撫でられた。
それから腰をゆっくりと沈めて、挿入する。
「はあ」
ルシャードの息が漏れた。
上体を倒したルシャードは、俺とぴったりと重なる。
俺の背中をゆっくりと撫でた。
ルシャードは動こうとしない。
「このまま、ずっと中にいたい」
小さく揺するだけだ。
緩慢な動きを続けるルシャードが焦ったい。
そう思いながらも、とんでもない幸福感に襲われた。
ふわふわとした浮遊感。
深々と息を吸い、吐き出す。
ルシャードの端整な顔が近寄り、唇を軽く合わせた。
「ああ、最高の気分だ」
俺の存在を確かめるように身体を合わせる。
ルシャードの体重で潰されてしまいそうだ。
「離れているのが、死にそうに辛かった……またマイネが消えてしまいそうで」
冷徹だと評されることの多いルシャードは、何も恐れるものがなさそうなのに、俺にだけ弱い心の奥を曝け出す。
「……俺も、ふたりが病に罹ったらどうしょうかと、ずっと怖くてたまらなかった」
「マイネ、いなくならないでくれ」
ルシャードの両頬を包みこむように触った。
温もりが伝わる。
「ずっとそばにいます」
「…………好きだ。愛してる」
繋がったまま、動こうとしないルシャードは愛を囁く。
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それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
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