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威嚇の病

第3話 ポトカフ村の流行病

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「つ、疲れたぁ~」
「まだ少ししか歩いていないよ」
なんやかんやでパーティーに加入したけど・・・、
戦闘した直後にこんなに歩くなんて・・・。
どこかで休みたい~。
「おい、村があるぞ!」
ルビーの一言で一瞬で元気が出た。
やっと休める~。

て、思ったんだけど・・・。
「勇者たちですね?お願いします。
この村を守ってください!
最近、妙な病気が流行っているんです。
原因は不明なのです。どうか助けてください!」
突然村人に助けを求められた。
奥にある家の窓の中を覗いてみると、病気で苦しんでいる人がいた。
これは助けてあげたい。
「いやだね。こんなところにいたら病気がうつる。
早く出発しよう」
ライトはあくびしなくなった。
「でもライト、みんな苦しんでいるよ。
それを見て何も思わないの?」
腹が立って少し無愛想に言った。
「は?俺たちは魔王のところに行くために旅しているんだぞ。
だよなルビー・・・」
「分かった。原因を調べてみるよ」
ルビーはあっさり依頼を引き受けた。
リーダーのルビーに断れないのか、ライトは黙った。


結局聞き込みから始まった。
「ねぇ、病気の原因知らない?」
『それよりも草くれ』
「病気の原因知らない?」
『俺が知るか』
「病気の原因知らない?」
『え、病気はやっているの?』
「何あの子、おかしくなったの?」
私は村にいる動物に聞き込みをしているけど、手掛かりは今のところない。
「ダイヤ、変な目で見られているよ」
エメラルドに言われた。
私は周りを見渡した。
皆私を見ている。
「皆普通の目をしているよ。エメラルド、視力大丈夫?」
「あのねー」
やっぱりそう簡単に手掛かりは見つからないな・・・。
そのとき、誰かが叫んでいる声が聞こえた。

駆けつけてみると7~9歳の子供たちが泣きながら逃げていた。
「どうしたの?」
声をかけてみると、1人立ち止まって、
「追っかけられているの!鳥に!」
そう言って逃げた。
ギャァー!
鳴き声が聞こえた。
声の主は黒い鳥だった。
「待って!!」
黒い鳥に言った。
『何だい?今急いでいるんだよ!そこをどきな』
「落ち着いて、どうしたの?」
すると、少し威嚇しながら私に近づいてきた。
『あの子供らはあたしの巣を壊した』
「え?」
『ついさっきのことだった。あの子供たちは私の巣がある木に
木登りをして、
揺らして、
巣を落とした。
我が子は怪我をしている』
そうだったんだ。
「そっか・・・。子供たちを連れてくるから攻撃しないで。」
『・・・分かった』
黒い鳥をその場で待たせて、私は駆け出した。
おっとその前に・・・。
私は農家の家に入った。
中にはサファイアが聞き込みをしていた。
「サファイア」
「?」
「お願いがあるんだけど・・・」

「連れてきたよ」
私は子供たちを連れてきた。
子供達には訳を話した。
黒い鳥は子供たちを睨みつけた。
子供たちは涙を流しながら、
「鳥さん。ごめんなさいっ!」
1人が言って、ほかの子も「ごめんなさい」
と言った。
「わざとじゃ無かったんだ。
まさかその木に巣があったなんて・・・」
鳥は少し間をおいて言った。
『・・・もう壊すんじゃないよ』
「許してくれるって」
すると子供たちはキャッキャと喜んだ。
でもその後しっかり
「ごめんなさい、これ以降は気を付けます」
と言って、その場を離れた。
黒い鳥は話を変えた。
『その子は一体・・・?』
黒い鳥はサファイアをみた。
私が連れてきたんだ。
『どうして関係ないのにここにいるのだい?』
私は言っていることをサファイアに言った。
「いや、それは私も・・・。ダイヤ、どういうことですか?」
サファイアは私に聞いてきた。
「ところで、ヒナは大丈夫なの?」
私が言うと黒い鳥は慌てて巣へ向かった。
私とサファイアも黒い鳥についていった。
たどり着くとヒナたちは瀕死状態だった。
『薬草を与えたのに・・・ほんとに・・・守れなくってごめんね・・・』
黒い鳥は涙を流した。
「サファイア、なんとかできる?」
サファイアはうなずいて魔導書みたいなものを開き、呪文を唱えた。

        リカバリー

するとヒナたちは立ち上がった。
元気にウロチョロしていた。
『ありがとうございます!あなたはヒーラーだったのね』
「だから私を連れてきたのね。ダイヤ、教えてくれてありがとうございます。」
二人は頭を下げた。
『あんたたちの名は?』
サファイアに黒い鳥の言っていることを言った。
「私はサファイアです」
「・・・ダイヤです」
まだ仮名に慣れない。早く慣れないと・・・。
「ありがとう。私は・・・」
黒い鳥は自己紹介をしようとしたけど、名前が無いのか戸惑っている。
「・・・エボニィ・・・とか?」
思い付きで言ってみた。
『エボニィね・・・素敵。私はエボニィ』
エボニィは名前を気に入った。
「サファイア、いきなり連れ出してごめんね。先に村に戻っていて」
サファイアはエボニィにお辞儀をして村に戻った。
『ありがとう。何かお礼をしたいな・・・』
私はすかさず言った。
「じゃあ、お願いがあるんだけど・・・このことは秘密にしてくれる?」


人物データ

エボニィ
種族:獣    
巣を壊されて、ダイヤ達に助けられた黒い鳥。
恩人の言うことは何でも聞いてくれる。
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