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森の中

第2話 パーティー加入試験

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「もうやめろー!」
その言葉で私もコモルも槍使いも止まった。
そこに少年が走ってきた。
そして頭を下げた。
「すみません、うちの戦士が・・・。て、お前も頭を下げろ!!」
槍使いは複雑な気持ちで少し頭を下げた。
その後に、3人駆けつけてきた。

「え、えっと~、貴方たちは・・・?」
すると戦いを止めにきた少年がすかさず口を開いた。
「俺の名前はルビー。勇者さ」
「あたしはエメラルド。魔法使いだよ」
「私はサファイア。ヒーラーです」
「僕はパール。ネクロマンサーだ」
そして槍使いも口を開いた。
「・・・俺はアレキサンドライト。戦士」
「アキレタンドライト?」
「ア・キ・レ・タ・ン・ト・ラ・イ・ト!
まあ、名が長いからライトでいい」
「君は?」
「私はコ・・・ダイヤ。見ての通り魔物使い」
やばい、また本名を言いそうになった。
相手は人だから本名を言ったらすぐに王女ってことがばれちゃう・・・。
「そしてこのモモンガの魔物が、コモルで、奥にいるのがメラ」
『よろしく、人間。と言っても、話せないけどな』
メラはすっかり元気になったけど、ライトを睨んでいる。
「そっか。よろしく」
ルビーは笑顔で言った。
「勇者ってことは、貴方は魔王を倒すの?」
「君も同じ?」
私は慌てて首を横に振った。
「違うよ!私は・・・その・・・友達に・・・なりたい」
「「「「「友達になりたい!?」」」」」
皆、信じられない!という目で私を見つめていた。
「だ、だって、気になるじゃん!どうして人を襲うのか、何が好物なのか、
どんな色が好きとか」
みんなはしばらく私を見つめていたけど、ルビーが口を開いた。
「・・・ダイヤってコミュ力高いね」
「確かに気になる」
「旅の目的が素敵ですね」
「僕らも知りたい」
ルビーたちは物凄く私の目的に賛成したけど、ライトだけは反対してきた。
「俺たちは魔王討伐するために結成したんだ。何のんきなことを言っている」
「え~、いいじゃないですか」
「エルフが口答えするな」
サファイアは私を守るように言った。
今気づいたけど、サファイアってエルフだったのか。
「貴方たち、もしかして皆未成年?」
「今気づいたのか?」
たった今気づいたことだ。
この5人の中には大人がいない。
「子供だけで大丈夫なの?」
「それは貴方もね・・・」
すかさずエメラルドがツッコんだ。
するとルビーが提案してきた。
「ねぇ、ダイヤ。僕らのパーティーに入る?」
「はぁ?何言っているんだ!こいつは魔王討伐に反対しているんだぞ!」
もちろんライトがとめた。
「でも、5人でもきつい状況だ。もう1人くらい必要じゃない?
・・・それに、僕も魔王についていっぱい知りたい。」
パールに言われてライトは少し考え込んでから言った。
「じゃあ試験に合格したら加入することを許す」
「へ?」
「あの道を真っ直ぐ行くと、2匹の魔物がいる。そいつらを倒して来たら、
パーティーにいれる。それでどうだ?」
「いいよダイヤちゃん。やらなくて・・・」
「いや、やる」
腹が立ったのか、私は賛成した。
「え、いいの?」
「うん。じゃあ行ってくる」

      レンジャー

コモルたちをしまってから私は歩き出した。

と言っても・・・。
あぁ~どうしよどうしよどうしよ!!
2体の魔物討伐?
無理でしょ!
はぁ~でもやるからにはやるか。
そう思っていたらかなり奥まで来てしまっていた。
でもここらへんで出るんだよね・・・。
グォ・・・
魔物ってこういう鳴き声をするのが多いよね・・・て、
「「グオーッ!」」
2体の魔物がいっせいに攻撃してきた。
上手くかわせた。
コモル呼び出そうとしたけど、
さっきの戦いで疲れているから休ませておこう。

      コウ

メラを呼び出した。
『こいつらを倒せばいいのか?』
1体は何かの精霊みたいなリラルという魔物で、
もう1体はうさぎと自然精が合体したバーゴムという魔物だ。
どちらも風属性っぽい。
メラは勢い良く炎のブレスをだした。
運よく風属性は火属性に弱いから大ダメージを受けている。
その瞬間誰かが叫んだ。
『助けて!!』
私は慌てて周りを見たが、誰もいない。
もしかして・・・、このどっちかの魔物が言ったの?
さっきの声はこの魔物のどちらかだ。
だけど2体とも同時に話しているし、
メラの言っていることを読み取らないといけないから頭の中がごっちゃになっている。
『お願い!助けて!!わた・・・』
一瞬聞き取れたけど、とちゅうで途切れてしまった。
メラは私が何をしようとしているのか分かったのか、
喋らないで戦ってくれた。
どっちが助けを求めているの?
どうして助けを求めているの??
頭を抱えているとき、リラルから何かを出しているのが一瞬見えた。
そうか、そういうことか!!
私は急いで呪文を唱えた。

       リンク

水属性から火属性になった。
そして私はリラルに近づいていき、ひっかいた。
でもリラルに当たらなかった。
そりゃそうだ。
だって私はリラルから出ている薄い糸を切ったからだ。
その瞬間バーゴムはバタンと倒れた。
やっぱりリラルはバーゴムを拘束して、操り人形みたいにしていたのだ。
リラルはバランスを崩した。
その瞬間をメラが逃がさず、炎のような葉でかみつき、倒した。
バーゴムは立ち上がって言った。
『助けてくれてありがとうございます!何かお礼がしたいな・・・』
すると私はすかさず言った。
「じゃあ、友達になってくれる?」
「ええ!」
せっかくだから名前も付けよう。
「名前、付けてもいい?」
「もちろん」
私はバーゴムの姿を見つめて言った。
「じゃあ・・・フランなんてどう?」
「気に入ったわ!」
フランは嬉しそうに駆け回った。
「じゃあみんなのところに戻ろっか。メラもお疲れ様」

       レンジャー


「お、帰ってきたぞ!」
「お帰りなさい、倒せた?」
皆私の帰りを待っていた。
「1体は倒した。でももう1体は友達になった」
「凄い・・・っ!魔物使いってやっぱ凄い」
でも本当はリラルと友達になりたかった。
どうしてフランを操っていたのか。
今になって後悔している。
「で、どうだ?彼女の実力は」
ルビーはライトに問い詰めた。
「・・・1割は認める。だが・・・まあ・・・いいぞ入って。
でも認めていないからな」
「やった~!これからよろしく!」
エメラルドは私に抱き着いた。
私は少し内気な感じで言った。
「でも・・・魔王は倒さないでくれる?」
みんなの反応をうかがった。
「分かった」
「いいよ!」
「魔王のこと、もっと知りたいので」
「賛成だ」
「ふん」
ライトは複雑な気持ちで言ったけど、
〈少しは賛成している〉という気持ちが伝わる。
私たちは、森の中を歩き出した。


人物データ

ルビー    17歳
種族:人   職業:勇者  属性:火
パーティーのリーダー。頭が悪く、気分屋だが、
勇敢で優しい性格。皆と違う目的を持つダイヤを気に入る。

エメラルド  14歳
種族:人   職業:魔物使い  属性:光
ダイヤと同い年で、1番仲が良い。明るく真面目な性格だが、
おっちょこちょいでよく足を引っ張ってしまう。

サファイア  14071歳(見た目は13歳)
種族:エルフ 職業:ヒーラー  属性:風
最年長。平和を願い、戦闘が苦手。
穏やかな性格だが、ドジすることもある。肉はあまり食べない。

パール    10歳
種族:人?  職業:ネクロマンサー  属性:闇
最年少。謎の多い少年だが、好奇心旺盛。
命知らずだが、努力家。実は四重人格。

アキレタントライト  16歳
種族:人   職業:戦士(槍使い)  属性:無
ダイヤをライバル視している。魔物は悪だと考えている。
ややツンデレで、名前が長いので、〈ライト〉と呼ばれている。

フラン  
種族:魔物(バーゴム)  属性:風
リラルに操られていたところ、ダイヤに助けてもらった兎と自然精の
混血した魔物。マイペースで、回復魔法もやや得意。

リラル
種族:魔物       属性:風
フランを操っていた魔物。なぜ操ったのか不明。
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