星わたりの妖精

くみちよ

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星わたりの妖精

2 ママの星へ

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女の子のお家は、とっても暖かくて素敵な所でした。

大きなソファに座って、2人は暖かいミルクを飲み、クッキーを食べながら、暖炉のパチパチいう音を聞き、たくさんお喋りをしました。

「あ、そうだ。わたし、1番大切なことを聞いていなかったわ。」

突然、女の子が閃いたようにポンと手を叩きました。

「私はマリア。あなたの名前は?」

すると少年は、困ったような顔をして考えたあと、小さな声で答えます。

「名前はないよ。君の好きなように呼べばいいさ。」

「それじゃあ、今日から、あなたはアンソニーね。」

「アンソニー?」

「そう。絵本に出てくる、王子様の名前よ。あなたのような金色の髪をしているの。」

少年は嬉しくなって、ポッと顔を赤くし、そしてにっこりと笑いました。

「僕は今日からアンソニーだ!よろしくね、マリア!」


それから2人は、とても仲良くなりました。

星の降る夜には、湖に船を浮かべて、一晩中見上げていました。

寒い冬の日には、2人で毛布に包まり、暖炉の前で、マグカップいっぱいの熱いココアを飲みました。

嵐が来たら、雷に負けない声で、怖くなんかないぞ、と、歌を歌いました。
それでもやっぱり怖くて、2人で一緒に布団に潜りました。

2人は、とっても、とっても、仲良しでした。


ある日の朝、マリアは、ポストの中に手紙を見つけました。

そして、大喜びでアンソニーを呼びます。

「アンソニー!手紙が来たわ!私、お母さんの星に行けるの!」

マリアは、ソファの上でぴょんぴょん跳ねています。
それを見ていると、なんだか、アンソニーまで嬉しくなってきました。

「それは凄いや!ねえ、僕も行っていい?君の大きなお母さんに会ってみたいんだ!」

「ええ!もちろんよ!手紙で、あなたも連れてっていいか聞いてみる!きっといいって言ってくれるわ!」

2人は手を取り合って、一緒に笑いました。


マリアが手紙を書いて、ポストに入れると、それは星のママに届くそうです。

待ちに待って、2日後に返事が届きました。

「やった!アンソニーも一緒に来ていいって!」

「わあ、嬉しい!」

それからすぐ、マリアは、お母さんに会うための準備だと言って、いつもと違う可愛いワンピースを着ました。

そして、玄関の台に置いてある、大きなベルを大事に抱えて、外へ出ました。

「ところで、どうやってお母さんの星へ行くんだい?」

「簡単よ。」

マリアは井戸の所までやって来ると、アンソニーの前で、よいしょとベルを持ち上げました。

そして、井戸の上で、一生懸命鳴らします。

リンリンリン、リンリンリン。

大きいベルなのに、奏でるのは可愛らしい音です。

すると、井戸の下で、リンリンリン、リンリンリン。と、別のベルの音が鳴りました。

「これで大丈夫よ。」

マリアは得意げに胸を張り、またベルを大事に抱えて、2人で家へ帰りました。


その夜、マリアのキャンディ星は動き始めました。

ゆっくり、ゆっくり、ママの住む黄色の星が近づいてきます。

マリアとアンソニーは、お家のバルコニーへ出て、ココアを飲みながら星を見ていました。

しかし、2人ともいつのまにか眠ってしまいました。

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