3 / 6
星わたりの妖精
3 約束
しおりを挟むアンソニーが目を覚ますと、そこは辺り一面金色に輝く星でした。
草も、木も、何もありません。ただ、ツルツルの氷のような地面が光を放っています。
マリアがいないと気づいたアンソニーは、立ち上がってマリアを呼びました。しかし、どこからも声は帰ってきません。
「どこなの、マリア!」
寂しくて、怖くて、アンソニーは俯いてしまいました。
そして、透き通る冷たい地面の中に、人を見つけました。
「わあ!」
女の人が、透明な地面に埋まっています。
その人だけではありません。
よく見ると、そこかしこに、人が埋まっているのです。
しかも、皆んな決まった方向に頭を向け、仰向けに寝ています。
目は閉じて、手は胸の上で組んでいます。
誰一人として、動きません。
アンソニーは、怖くなって、走り出しました。
「いやだ!いやだ!助けて!お母さん!!お父さん!」
「おいで」
走り続けていると、どこからか、女の人の声が聞こえてきました。
「お母さん?お母さんなの?」
アンソニーは、辺りを探しましたが、やはり何もありませんし、地面の中以外には、誰もいません。
「こっちよ」
下から声がして、アンソニーは下を向きました。
「ああ、そんな!」
そこには、アンソニーのお父さんと、お母さんがいました。
目を閉じて、並んで眠っています。
アンソニーは、全てを思い出しました。
ポロリと、何かがアンソニーの目から地面に落ちて、転がっていきます。
「僕のパパとママは、もういないんだ!
僕が100個の星を渡り、幸せを届けたら、僕もパパもママも一緒に、星に帰れると約束したのに!」
アンソニーは、その場に崩れ落ちて、わっと泣き出しました。
ポロポロ、ポロポロ、目からキャンディがこぼれ落ちてきて、止まりません。
アンソニーの家族は、羽の生えた妖精の一族でした。
そして、妖精のすむ、緑豊かな小さな星で仲良く暮らしていました。
しかし、ある日突然、真っ白で大きな魔女が現れて、妖精を捕まえてしまいました。
それは、『星食いの魔女』でした。
宇宙の星々を食い荒らして、自分をどんどん大きくしている、恐ろしい魔女です。
妖精達は抵抗しましたが、次々にカゴに入れられ、どこかへ運ばれていきました。
「パパと、ママを、そして友達を返して欲しければ、私の言うことを聞きなさい。」
そう言われて、1人残された幼い日のアンソニーは、泣きながらうなづいたのです。
その日から、アンソニーの首には、金色の首飾りが付いています。
アンソニーが何も思い出さずに、仕事ができるように。
そして、約束を守らなければ、その身をチリにしてしまうと、呪いをかけるために。
「あなたは、今日からその羽で星々を飛び回り、皆んなの願いを叶えて、幸せにするのです。
新しい星についたら、前の事は忘れなさい。いいですね?約束です。
約束を守れなかったら、パパもママも、あなたも、みーんな、空のチリにしてしまいますからね」
それからアンソニーはいくつもの星をわたりました。
沢山の友達が出来ましたが、すぐに忘れてしまいました。
「100個の星で、それができたら、パパとママを返しましょう」
しかし、その約束が果たされる事は、もうありません。
0
あなたにおすすめの小説
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
稀代の悪女は死してなお
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる