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星わたりの妖精
5 君のくれた名前 (終)
しおりを挟む少年は柔らかな草の上で目を覚ましました。
一面に咲き誇る白い花。
真っ白い木。
そして、フワフワと近くを漂う雲。
すこし寒くて、少年は起き上がってブルルと震えました。
そして、小さな光るものが自分の膝に転がったのを見つけました。
「小さなキャンディだ。
僕はこれを見た事がある。
でも、どこで見たのか思い出せない。」
少年の目からは、不思議と、小さく透き通るキャンディがポロポロと溢れ出てきました。
少年は悲しいのです。
でも、どうして悲しいのかわかりません。
「僕は星の妖精。
僕の仕事は、願いを2つ叶えること。
みんなに幸せをあげること。
僕は星の妖精。
僕の仕事は…」
少年は声を上げて泣きました。
何にも覚えていないけど、こんなに泣いた事はないと、それだけはわかりました。
さわさわと、心地よい風が金の髪を撫で、通り過ぎていきます。
風は優しく、彼の涙を拭うかのように、そっと頬をも撫でていきます。
そして、泣かないで。泣かないで。と囁きます。
それでも少年は泣きやみませんでした。
どうしようもないくらい悲しくて、寂しくて、ひどく心が痛いのです。
まるで、ぽっかりと、少年の胸に大きな穴が開いたよう。
とっても暖かくて優しい何かが、すっかりと消えてしまったよう。
「僕は僕。
そして君のお友達。
だけど教えて。君は誰?」
フワフワの綿あめが浮かぶ真っ白な星に、小さな男の子が住んでいました。
彼の肌は雪のように白く、髪は流れる雪解け水のようです。
ある日彼は、1人っきりのお家を出て、いつものように綿あめをとりに行きました。
網を振るって綿あめを集めていると、彼は向こうの木の下に、とても素敵な黄色を見つけました。
初めての事です。
男の子は、網を放り投げて走りました。
木の下には、見たこともないような、綺麗な少年がうずくまっていました。
「こんにちは。どうして、そんな所にいるの?」
男の子が聞くと、金の髪を揺らして、少年がパッと顔を上げました。
そして、輝くような笑顔で言ったのです。
「こんにちは。僕はアンソニー。
よかったら、僕とお友達にならないかい?」
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