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第2話の3
しおりを挟む王都セレストラは、混ぜれるものは全部混ぜましたと言わんばかりの都市だった。
教会前は静かだったが、歩くにつれて乱雑な場所だということがわかってきた。街並みは美しいとは言えず、人も建物も好き勝手に集まって出来たような都市だった。
ギルドまでの道のりで、シロは複数の男に囲まれて袋叩きにあっている男を見た。自分と同じ簡素な服を汚くしたような身なりで、随分痩せこけていた。
「あの……助けないんですか?」
修道女はシロを無視して歩く。
「あなた、修道女ですよね……?」
彼女は歩みを止めなかった。シロは助けることも出来ず、彼女の後を追う。
修道女はとある建物の前で止まった。その右には食堂、左には娼館が門番のように挟み込んでいた。
大きな建物だった。見たところ三階建ての宿のようなつくりで、中からは大きな笑い声が聞こえてくる。
「こちらがギルド会館になります。受付でこの用紙をお渡しください。ではこれで」
修道女はシロに二つ折りの紙を渡し、来た道を早足に戻っていった。
シロはおずおずと、ギルド会館の扉を開いた。
正面には修道女の言った通り受付が、右には小さな紙が一面に貼られている掲示板が見えた。左のスペースは酒場のようで、最上階までの吹き抜けになっている。
そこには大勢の武装した人々がたむろしていた。誰もが昼から酒を片手に、大声で笑い話をしたり刃物を見せびらかしたりしている。
その一団と目が合った瞬間、シロの脳裏に袋叩きにされていた男が蘇った。
誰かに声をかけられたような気がしたが、シロは扉を閉じて駆け出した。どっと起こる笑い声を背に、小汚い王都の路を走る。薄い靴底に、石畳の硬さが痛く響いた。
すぐに走り疲れてしまったが、シロはとにかく王都の外に向かって歩き続けた。広大な敷地のため城壁は無かったが、代わりに関所があった。
それを避けるために山の中に入り、道なき道を進み続ける。次第に降り始めた雨に加え、日が沈んだ森は冷たい水の中のようだった。
疲労と足の痛みでふらついていたところを、シロは泥に足をとられた。膝が崩れ、重い体が斜面の下に吸い込まれていく。
たまらず目を閉じる。身体中を袋叩きにされるような衝撃が走り、最後に鋭い痛みが走って彼は気を失った。
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