鬼婆

その山には何かがいる

 「そういえば寒みーな。長袖に着替えるか」

 浩之は長袖のシャツに着替えるとその上からトレーナーを着た。浩之は近くの木々や枯葉を集めると辺りに飛び火しないように余計な枯葉や木々をどかして火をつけだした。

 「おい！！こんな所で火つけて大丈夫なのか？」

 不安そうな健太をよそに見事に暖がとれ浩之はさらに近くの枝を集めだす。

 「大丈夫だと思う。風も吹いてないし、それにこの寒さは尋常じゃないよ」

 陽子は寒さで震え出していた。確かにまだそんな冷え込むような季節でもないのに、この森の中は異様にまるで冬のように冷え込みだしていた。段々と暗くなってくるのに合わせるかのように気温がどんどんと下がっていった。