少年館

潮騒6

　「受け賜りました。それではアドン様こちらの鍵をどうぞ。」

 支配人はアドン少佐に金飾された鍵を渡すと従業員に部屋を案内させた。

　「アドン様今から案内される特別なお部屋でお待ち下さい。」

 アドン少佐は3階にある部屋へと案内された。中に入ったアドン少佐は部屋いっぱいに広がる柑橘類の甘くて爽やかな匂いに気分が高揚した。そして部屋にある立派な陶器には新鮮な薔薇がふんだんに入っている。装飾された大きなベットに椅子、テーブルの上にはこれまた新鮮な果物がふんだんに置かれている。奥にはバスルームがあり、温かいお湯がタイミングよく張り巡らされていた。

　「こ、この部屋は豪華だな。普段からこの部屋も利用する人が他にいるのか？」

 アドンが尋ねると従業員は答えた。

　「このお部屋は特別なお部屋でして、普段この部屋をご利用なさるお客様はあまりおりません。少年だけの専用のお部屋としてご用意させて頂きました。少年が来るまでしばしお待ち下さいませ。」

 そう言い残すと従業員は部屋から出ていった。