少年館

ジョセフとアドン少佐の2人の生活10

・・パリ・・

 「うん？ちょっとすまないが車を止めてくれないか」

 パリにある兵営に向かう途中、パリの通り沿いにある服屋に目を留めたアドン少佐は運転手に車を止めさせた。

　「少佐、どこに行かれるのですか？」

    「知り合いの子供に服を買ってあげる約束をしてたんだ。丁度良い店があったからちょっと買ってくる。ここで待っててくれ。」

 アドン少佐はそう言うと服屋に向かった。

　「店主！すまないが14歳くらいの身体の細身の男の子に合う服を探してくれないか？俺は子供の服の事はあまりよく分からないんだ。これで探してくれ」

 アドン少佐は店主の手に5フラン金貨を一枚握らせた。

　「これはこれはありがとうございます。パッと見受けるとあなた様は高貴な将校様とお見受けいたしました。あなた様のお似合いな帽子もご用意致しましょう」

 子供の服ごときに金貨一枚も貰えた事を内心喜び顔がにやついている店主にアドンは言った。

　「俺の帽子なんてどうでもいい。子供の服を探してくれ」