少年館

ジョセフとアドン少佐の2人の生活14

　車に乗り込こもうとしたアドン少佐の目にある光景が目に飛びこんできた。

　屋敷から少し離れた脇道に男の子が泣きながら屋敷の方向へ歩いていた。

　「おや、あの子はジョフ？いや違うな。なぜ泣いているんだ？」

 見た目はジョセフと同じくらいの歳で背格好も似ている。それでいて屋敷のほうへ歩いてきているという事は、おそらくジョセフと同じ屋敷で奉公しているんだろうとアドンは思った。しかし、負に落ちないのはなぜ泣いているかだった。

　「ちょっとあの子の側に車を寄せて止めてくれないか。」

 アドンは運転手に命じた。

　「アドン様も本当に世話好きですな。分かりましたよ。」

 内心ではそんな泣いてる子供なんて放っとけばいいのにと思いながらも渋々運転手はアドン少佐の指示通り車を子供の脇に止めた。