少年館

ジョセフとアドン少佐の2人の生活74

　「その城には今誰が住んでるの？」

 ジョセフは店主に尋ねた。

　「今はフランスの王家とはまったく関係ない人が管理してるんだよ。人から人へと渡ってきた城だからね。それでもこの城は一般の市民が自由にある程度は見学できるようになっているんだよ。君みたいな可愛い子には特別に見学が無料でできる魔法のチケットを渡そう！！」

 店主はそう言うとポケットから怪しげな一枚の紙切れを取り出しジョセフに手渡した。

　「これを城の案内人に見せれば特別に普段市民が入れない部屋に入れちゃうんだよ！！まあ、その時のお楽しみだね。」

 さんざん話した後に店主は厨房に戻るとタルトの準備を始めた。

　「あのおじさん面白いね。アドンお兄ちゃんはお城とか興味ある？」

    「もちろん。俺はこう見えて先祖はナポレオン皇帝に仕えたほど城好きだからな。」

 ジョセフとアドンはつかの間のひと時を大いに楽しんだ。