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一章 砂漠
5 私の王女
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サラサラ……
日の落ちた砂漠で、真紅のジェムドロップから発せられる炎で暖をとる。
ルーノはぐっすりと眠っている。
素材の純度と自分の炎系統への魔力適性を考慮すると、このジェムドロップは大体十二時間くらいは炎を発していられるだろうとミズキは考えていた。
朝方また日が昇る頃まではもつ計算になる。
ミズキは手記をつけていた。
どんなに忙しい時でも欠かさず続けている日課である。
ミズキが育てられたラインハルト家の当主、ヴィルヘルム=ラインハルトは穏やかな性格だったが商才があった。
彼もまた、毎日寝る前に手記をつけることを自分の義務としていた。
ミズキはそれを真似て手記をつけ始めた。
養父は強制するようなことは、どんなことであっても決してしなかった。
「私が決めたリュケイオン行きーー私が決めた、冒険者になることーー」
ふと筆を止め、ミズキは視線を手帳から横に落とした。
ルーノは静かな寝息をたてて眠っている。
ミズキはルーノの頭をそっとなでた。
ウェーブのかかった金髪が美しく、どこかの貴族のお嬢様だと言われても少しも不思議ではない。
もっともこんな砂漠用の茶色のストールではなくそれなりのドレスを身にまとって、砂の絡まった金髪を十分に梳かし、金銀のアクセサリを身につけていたらの話だが。
「ルーノ王女……」
そう思わず口にすると、なぜか一段と寝顔が愛くるしく思えた。
ふふ、と目を細め微笑むとミズキは手記をパタンと閉じて次の日に備えることにした。
横になり目をつぶる前、空を見上げると満天の星空が広がっていた。
明日はいよいよプロトス遺跡に足を踏み入れることになる。
「おやすみなさい、ルーノ」
そう言うと気が抜けたのか途端に瞼が重くなってきて、ミズキはいつの間にか眠りに落ちてしまった。
日の落ちた砂漠で、真紅のジェムドロップから発せられる炎で暖をとる。
ルーノはぐっすりと眠っている。
素材の純度と自分の炎系統への魔力適性を考慮すると、このジェムドロップは大体十二時間くらいは炎を発していられるだろうとミズキは考えていた。
朝方また日が昇る頃まではもつ計算になる。
ミズキは手記をつけていた。
どんなに忙しい時でも欠かさず続けている日課である。
ミズキが育てられたラインハルト家の当主、ヴィルヘルム=ラインハルトは穏やかな性格だったが商才があった。
彼もまた、毎日寝る前に手記をつけることを自分の義務としていた。
ミズキはそれを真似て手記をつけ始めた。
養父は強制するようなことは、どんなことであっても決してしなかった。
「私が決めたリュケイオン行きーー私が決めた、冒険者になることーー」
ふと筆を止め、ミズキは視線を手帳から横に落とした。
ルーノは静かな寝息をたてて眠っている。
ミズキはルーノの頭をそっとなでた。
ウェーブのかかった金髪が美しく、どこかの貴族のお嬢様だと言われても少しも不思議ではない。
もっともこんな砂漠用の茶色のストールではなくそれなりのドレスを身にまとって、砂の絡まった金髪を十分に梳かし、金銀のアクセサリを身につけていたらの話だが。
「ルーノ王女……」
そう思わず口にすると、なぜか一段と寝顔が愛くるしく思えた。
ふふ、と目を細め微笑むとミズキは手記をパタンと閉じて次の日に備えることにした。
横になり目をつぶる前、空を見上げると満天の星空が広がっていた。
明日はいよいよプロトス遺跡に足を踏み入れることになる。
「おやすみなさい、ルーノ」
そう言うと気が抜けたのか途端に瞼が重くなってきて、ミズキはいつの間にか眠りに落ちてしまった。
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