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第九章 揺れる
夢
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シュレアが訪ねてきたのは正直驚いた。まさか本当に来るだなんて思わなかったから。
ネーテがリウの手紙を受け取ったあの晩、リウは夢を見た。それはいつか見た真っ白い部屋。リウは見覚えのある部屋をキョロキョロと見回し、『ここにいるはずのもの』を探した。
「やあ、久しぶり」
声がしたので振り返るとはすぐ後ろにそれは立っていた。
「うわあ!」
驚きに一歩後ずさる。本当にいつもいつも、人を驚かせて楽しんでいる節がある。
「ラヴィ…!」
「あっはは、ごめんごめん、死んじゃう前に君と話がしたくてさ」
リウは、笑顔でなんてことを言うんだろう、そう思ったが事実なので受け入れた。
「上手くハナを殺せてよかったね」
「本当に私が良かったと思ってると思う?」
「いや、全然」
ラヴィはカラカラと笑う。リウはそんなラヴィを睨みつけると、言った。
「それで用は終わり?なら帰らせて」
「あー、ごめんね、そんな怒らないで。いいこと教えてあげるから」
「いいこと?」
「そう、いい事。二つあるけど片方は君にとってはあまり良くないかも知れないね」
「勿体ぶらないで教えてよ」
そう言うと、ラヴィは白い椅子のようなものに腰掛けたようだ、部屋の白に溶け込んで輪郭は見えないが。
「じゃあひとつめ。君の処刑が決まったよ。君のお父さんは決断できたようだ」
「そっか…」
リウはそれを聞き安堵する。父を悩ませているのではないかと思っていたから。その件について手紙を書こうかとも思ったが、それは辞めた。私を殺してだなんて、父に伝えられるはずもなかった。
「パパ、良かった…」
「まあこれに関しては、僕に感謝してよね!あんまりネーテが悩むもんだから城下の人達怒っちゃってさ、国を巻き込む戦争になろうとしてたから、僕が君のふりをしてネーテ宛に殺してほしいって手紙を書いたんだから!」
今、何と言ったか。リウのふりをして、手紙を書いた?
「それが無けりゃきっと朝には戦争が始まるところだったんだよ」
父にそのような内容の手紙を勝手に送られたことに憤りを感じるリウだったが、しかし、自分のことで関係の無い人を巻き込む戦争が起ころうとしていたこと、それを止めるためにしたこと、そう考えるとなんとも言えない気持ちになった。
「それが、私にとってあまり良くない知らせ?」
「いいや?これは違う。もう一つは、シュレア、夜が明けて、君の処刑を彼女が知ったらここに来るよ、君に会いに」
「…そう、だろうね」
きっとシュレアはそうするだろう。けれど、牢へ続く扉には兵が立っていて、シュレアでは入れない。
「だからね、その頃に牢の前の兵士を眠らせておいてあげる。シュレアが来るのは確定事項。最期に彼女に会う機会を作ってあげる」
「待って」
そんなことしたら、折角死ぬことを決意したのに揺らいでしまいそうで。
「不安そうな顔だね?さあ、君の決意が揺らぎませんように、僕は見守っているね」
「待ってよ!」
そう言い手を伸ばすが遅く、視界は歪み始める。そうして、リウの意識は途切れ、次に目覚めると、目の前にあるのはもう見慣れてしまった牢の天井だった。
そして、しばらくすると扉の開く音。それに続いて呼びかけられた自分の名前に振り返ると、ラヴィの言った通りシュレアが立っていた。
ネーテがリウの手紙を受け取ったあの晩、リウは夢を見た。それはいつか見た真っ白い部屋。リウは見覚えのある部屋をキョロキョロと見回し、『ここにいるはずのもの』を探した。
「やあ、久しぶり」
声がしたので振り返るとはすぐ後ろにそれは立っていた。
「うわあ!」
驚きに一歩後ずさる。本当にいつもいつも、人を驚かせて楽しんでいる節がある。
「ラヴィ…!」
「あっはは、ごめんごめん、死んじゃう前に君と話がしたくてさ」
リウは、笑顔でなんてことを言うんだろう、そう思ったが事実なので受け入れた。
「上手くハナを殺せてよかったね」
「本当に私が良かったと思ってると思う?」
「いや、全然」
ラヴィはカラカラと笑う。リウはそんなラヴィを睨みつけると、言った。
「それで用は終わり?なら帰らせて」
「あー、ごめんね、そんな怒らないで。いいこと教えてあげるから」
「いいこと?」
「そう、いい事。二つあるけど片方は君にとってはあまり良くないかも知れないね」
「勿体ぶらないで教えてよ」
そう言うと、ラヴィは白い椅子のようなものに腰掛けたようだ、部屋の白に溶け込んで輪郭は見えないが。
「じゃあひとつめ。君の処刑が決まったよ。君のお父さんは決断できたようだ」
「そっか…」
リウはそれを聞き安堵する。父を悩ませているのではないかと思っていたから。その件について手紙を書こうかとも思ったが、それは辞めた。私を殺してだなんて、父に伝えられるはずもなかった。
「パパ、良かった…」
「まあこれに関しては、僕に感謝してよね!あんまりネーテが悩むもんだから城下の人達怒っちゃってさ、国を巻き込む戦争になろうとしてたから、僕が君のふりをしてネーテ宛に殺してほしいって手紙を書いたんだから!」
今、何と言ったか。リウのふりをして、手紙を書いた?
「それが無けりゃきっと朝には戦争が始まるところだったんだよ」
父にそのような内容の手紙を勝手に送られたことに憤りを感じるリウだったが、しかし、自分のことで関係の無い人を巻き込む戦争が起ころうとしていたこと、それを止めるためにしたこと、そう考えるとなんとも言えない気持ちになった。
「それが、私にとってあまり良くない知らせ?」
「いいや?これは違う。もう一つは、シュレア、夜が明けて、君の処刑を彼女が知ったらここに来るよ、君に会いに」
「…そう、だろうね」
きっとシュレアはそうするだろう。けれど、牢へ続く扉には兵が立っていて、シュレアでは入れない。
「だからね、その頃に牢の前の兵士を眠らせておいてあげる。シュレアが来るのは確定事項。最期に彼女に会う機会を作ってあげる」
「待って」
そんなことしたら、折角死ぬことを決意したのに揺らいでしまいそうで。
「不安そうな顔だね?さあ、君の決意が揺らぎませんように、僕は見守っているね」
「待ってよ!」
そう言い手を伸ばすが遅く、視界は歪み始める。そうして、リウの意識は途切れ、次に目覚めると、目の前にあるのはもう見慣れてしまった牢の天井だった。
そして、しばらくすると扉の開く音。それに続いて呼びかけられた自分の名前に振り返ると、ラヴィの言った通りシュレアが立っていた。
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