池に落ちて乙女ゲームの世界に!?ヒロイン?悪役令嬢?いいえ、ただのモブでした。

紅蘭

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お泊り

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その時、横から「えー!」と声が上がった。


「楽しいじゃん! レオンだってこんなにいっぱいの雪初めて見たでしょ。ほら、皆で雪遊びできるし! 私は嬉しいよ!」


ク、クリス……! やばい、この子めっちゃいい子だ。ちょっと変わっているけど。もう大好き。

感動に打ち震えていると、もう反対側からも声が上がった。


「私も嬉しいよ。たくさんの雪にまみれるのは夢だったんだ。レオンだって言っていただろ」

「まあ、そうだな」

「僕も雪遊びしたいです」


カイまでフォローしてくれた! そして皆を引きずり込んでいる。やだ、待って、優しい! そりゃヒロインだって好きになるわ!


「ほら、マックスだってそわそわしてるのさっきから分かってるよ」


クリスの指摘にマクシミリアンが頬を染めて笑った。


「よーし、明日は皆で雪遊びだぁ!」


クリスはこぶしをつき上げてそう宣言し、私を見て笑った。


「ね、エレナ」

「え、ええ」


やばい、嬉しい。皆優しい……。泣きそうになりながら頷くと、ぽそっと「そういうことか」と聞こえた。

……え?

クリスも固まって、そっちを見る。目が合うと、ヨハンはにっこりと笑った。


「楽しみだね」


すごくいい笑顔だった。とてもいい笑顔だった。なのになぜだろう。その笑顔に何かが含まれている気がする。……これは絶対にばれた。

まあいいか。ゲームと同じだとすると、私が学校に入学したらヨハンは魔法の教師だ。知っていてもらった方がいろいろと聞けていい。詳しくはクリスから説明してもらうとしよう。


「ところで、今日は帰られないだろうから部屋を用意するよ。皆泊っていくといい」


お泊り! お城で皆でお泊り! なんか修学旅行みたい! テンションが上がるわぁ。


「悪いけど、フロレンツとマクシミリアンは同じ部屋でもいいかい?」

「うん、皆忙しいからね」

「じゃあ私エレナと一緒で!」


クリスが元気よく手をそう言った。

それはいい! 女子会みたいで楽しそうだ。それで、と言おうとすると、先にカイが言った。


「ダメに決まっているでしょ。クリスはヨハンと同じ部屋だよ」


あ、そうなんだ……まあ兄妹の方がいいよね。仕方がない。

クリスを見ると、口をとがらせていた。思わず笑ってしまう。


「クリス、せっかくの可愛い顔が台無しよ」

「ありがとう、エレナ」


なぜかお礼を言われた。……なぜ?


「じゃあ夕飯になったら呼ぶから、皆好きにしていていいよ」


カイの言葉に皆立ち上がってどこかへ行ったので、私も部屋へと案内してもらい、アリアを呼ぶように頼んだ。

部屋は二階にあり、窓からは外の様子がよく見えた。

よし、少しだけど減ってる。このままとけてしまえ!




「ああ、美味しかったー」

「本当に」


クリスに同意して、口を拭く。本当に美味しかった。お城の料理人はやっぱり国一番なのだろう。

だけどそれよりも、皆で一緒にご飯を食べれたのがとても嬉しい。

いつも、お昼ご飯はお城で食べさせてもらっているので一緒に食べることもある。だけど晩ごはんは毎日一人なのだ。愛玲奈の時は朝ごはんやお昼ご飯なら一人で食べることはあっても、晩ごはんを一人で食べることなんてめったになかった。だから晩ごはんを一人で食べるということはとても寂しい。


やっぱり誰かと一緒に食べるご飯は美味しい。毎日これならいいのに。


「満足してもらえたようでよかったよ」

「ありがとう存じます、殿下。だけどわたくし、こうして皆で一緒に食べることができたことが何よりも嬉しいのです」


カイはふっと笑い、言った。


「一人で食べるご飯は美味しくないからね」

「ええ」


カイも普段は一人でご飯を食べているのかもしれない。というかそうだよね。だって皇帝陛下も皇后陛下も忙しそうだもん。うん? 第一皇子とは一緒に食べないのかな? まあ私もカミラと一緒に食べないもんね。


「この後はどうするの? 皆まだ寝ないよね?」


クリスが楽しそうに立ち上がる。

まだ寝るのはもったいない。せっかくのお泊りだ。もっと遊びたい。

とは口に出せないけど。


「お茶でも飲みながらゆっくり話をしよう」


ヨハンが「いいかな」と私を見た。私が後ろに立っているアリアに視線を向けると、アリアは小さく頷いた。

よっし! 許可が下りた!!

皆でいつもの部屋へと行き、いつもの場所に座る。……っていうかすっかり私の席ここになってるんだけど、なんで私こんな真ん中に座ってるんだろう。なんか偉そうじゃん。

だって公爵家の息子も侯爵家の息子もいる中で伯爵家の娘が真ん中に、それも殿下の隣に座るって絶対おかしいじゃん。まだ皆貴族として認められていないとしても。

目の前にお茶が置かれ、一口飲む。

……まあいいか。

今更言っても仕方のないことだ。私は深く考えるのを止めた。
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