ダイオアデッド 異世界転移ゲームの世界で超越します

エンネア小説

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13話 西マイクロメシア1

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 作戦会議が行われる日の午後8時前
 ミッドメシア冒険者ギルド作戦会議室で、会議が行われるのを待っているとフウライがあらわれた。
 説明するのは冒険者ギルドマスターのフウライのようだ。フウライは今回の戦いに参加しない。

 見渡したところ銅ランクのパーティーがいくつかいる程度だ。
その中には暑苦しい男4人組のパーティー、チーム名ボディービルダー銅の面々もいる。
人数が心許ないが先日の戦いですでに銅ランクの冒険者のパーティーはいくつも全滅したあとなので仕方がない。
 銀ランク以上の冒険者は私以外いない。(この特別クエストの冒険者NPCは銅ランクで固められてるようだ)

 ソロ(一人。パーティを組んでいない状態)はエンネア・ゼロだけだ。
ボディビルダー銅の戦士ファスル・イタークが話しかけてきた。
「パーティーを組んでいないのはお前さん一人だけだな。魔法を使う者はHPなども低い。西マイクロメシアに突入する際は無理せず後続として俺たちのあとに続くといい」
「ああ、そうさせてもらうよ」

 会議が始まった。
 西マイクロメシアの町は壁に囲まれており北側と南側に入口がある。
北の入り口は北メシアから出発した冒険者が、南の入り口は首都ミッドメシアから出発した冒険者が突入することになった。
 ここにいる人数に加え北メシアの冒険者も同程度この特別クエストに加わるということだ。
 敵には空を飛べるハーピーがいる、こちらの突撃の動きは筒抜けと思え。現地集合で突入開始は三日後の午前9時だ。以上解散

 会議を終え、準備も整え野営を経て当日戦場へ。
ミッドメシアから参加なので南の入り口から私は後続として突入する手はずだ。
各冒険者とも配置につき攻撃開始の時間を待っている。

 時間になり攻撃を始めることに。南の入り口付近はゴブリンやリザードマンが固めている。ハーピーも上空にちらほら見える。
 ケンタウロスがいないところをみると察するに北の入り口はケンタウロスと数の多いゴブリンあたりが固めているということか。町中に配置されてる可能性もあるが移動速度の速いケンタウロスをわざわざ町中に配置するかな・・。入口の突破は他のパーティーに任せ、少し離れたところで様子をみるとしよう。

ミッドメシアの銅ランクのパーティーが入口めがけ突撃した。
「いくぞ」
「ヤー」
「亜人どもめ」
「ぼこぼこにしてやるぜ」

「人間が攻めてきた」
「迎え撃て」「人間どもが攻めてきたぞ」
「たいした数じゃない」
「迎撃だ」
ゴブリン、リザードマンが冒険者を迎え撃つ。
ザシュッ、斬撃による切り傷でゴブリンの血が飛び散る。
ガキン、リザードマンと冒険者のつばぜり合い
ドスッ!後ろから腹を貫かれたリザードマン
この戦場は複数対複数のぶつかりあいであり連携が重要だ。
ゾグッ!耳をそぎおとされたゴブリン、「ギャー」
バキッ!ゴブリンの右腕がへし折れる。「腕がー!」
スキル「三連打」殴りの連続攻撃によりボゴッベコッボコッとゴブリンの顔が陥没する。
ガコン、強打により血のりがベットリ付着する。
 リザードマンは盾で冒険者の攻撃を防ぎ、鉄の剣で突く。他のリザードマンが冒険者の足をなぎ転んだところを、ゴブリンがここぞとばかりに襲い掛かり棍棒で何十回と殴り袋叩きにする。冒険者側も悲鳴をあげ血を流し死んでゆく。

ドスッ「ギャー」ナイフで腹を刺されたゴブリンの悲鳴が響き渡る
ハーピー達は空中から一方的に羽をとばす攻撃で冒険者を弱らせ、わしづかみにし上空から地面に落とす。トマトのようにつぶれ血を流す冒険者もいた。
空からのハーピーの攻撃はやっかいなようでなすすべもない。
銅ランク冒険者たちは亜人を何十体も倒すが敵の数が多いため冒険者たちもどんどん倒れていく。

 そんな中ファルス・イタークのスキル、トマホークにより多くのゴブリンの首が、腕が飛ぶ。血しぶきが飛びちり地面がどす黒く染まる。
 モンクの飛び蹴り、掌底、頭突き、裏拳、正拳突き、ゴブリンやリザードマンは意識を失いどんどん倒れていく。 
 「プロテクト」味方の防御をあげる魔法を唱える僧侶のガソウ・ペリョ。
更にメイスを振り回しボコッ、ベコッと亜人達の頭を陥没させる。
「ウインド」ハーピーに対しマッスルホウキツカイは風魔法で攻撃し仲間ができるだけ空から攻撃されないようにする。
 
ボディービルダー銅のチームが南の入口を突破し町の中に突入したようだ。

 さてと「そろそろ頃合いか」
まずは召喚魔法でケルベロス(属性ニュートラル)を召喚。
ケルベロスは3つ首、へびのたてがみを持つ猛犬のような姿で地獄の番犬と呼ばれている。爪はするどく鉄でできている。かなり獰猛(どうもう)である。
「今回の目標はゴブリンやリザードマン、ハーピー、ケンタウロスなどの亜人(獣人)だ。数も多い。好きに暴れるといい」
「りょうかい、マスター」

 ケルベロスは亜人の群れに対し鉄の爪で襲いかかる。鋭い爪でゴブリンを紙のようにひきさいていく。
「ギャー」
「なんだあの犬は」
「犬ごときにゴブリン様が負けるわけにはいかない」
「者どもかかれ、かかれ」
「ワーー」
「囲んでしまえ」
「ゴブリン様の力を見せてやるぞ」

 息まいて前にでたゴブリンは一匹また一匹するどい爪に引き裂かれ、どす黒い色の血しぶきが飛び、血反吐を吐きながら次々と死んでゆく。
「ただの犬じゃないぞ」
「後ろの方からだと見えなかったが前に出てよく見ると犬は首が3つもある」
「犬が3匹いると思えばなんてことはない」
「たてがみが蛇だぞ」
「こんなの見たこともない」
「なんなんだ」

 ケルベロスの咆哮(ほうこう)により周囲のゴブリンは怯え(おびえ)、バインドブレスで麻痺状態になり動けなくなる。
「わわわ」
「腰がぬけた」
「嘘だろ、動けない」
「こっちにくる」
「こっちにくるな」
「あっちいけ」
「俺はおいしくない」
「ヒーー」
「ギャー」
「グワー」
「そんな・・ゲボッ」

 3つ首のその鋭い牙にゴブリン共は噛まれ、引きちぎられ、叫び、これは何かの間違いだと思いながら死んでいく。
近接攻撃をあきらめたゴブリンの中には石を投げケルベロスにダメージを与えようとするものもいるが、当たったところでどうということはない。
ゴブリン程度の攻撃ではかすり傷を与えることすらできない。

「地上はケルベロスに任せ、私は空にいるハーピーでも片づけるか」
「フライ」飛行魔法でハーピーの群れに近づき、
雷系範囲魔法であり対象の頭上に雷撃の被害を与えるサンダーストームを唱えた。

「サンダーストーム」
瞬く間に雲が集まり次々とハーピーに雷撃が直撃していく。
サンダーストームをくらったハーピーはあまりの早さの出来事に何が起きたかもわからず黒焦げになり地におちてゆく。
「なに、あの人間空を飛んでいる」
「翼の無い人間が空を飛ぶなんて」

 空中から地上を見下ろし地上の冒険者達に一方的に攻撃して優越感にひたっていた他のハーピーは真っ青な表情になる。直面して相手の技量があまりにも違いすぎることを悟りあわてて逃げ出そうとするハーピーもいる。
「逃がしはしない、サンダーストーム」更なる雷撃が残りのハーピーに襲い掛かる。

「ヒー」「ギャー」
ハーピーは逃げることや避けることもかなわず黒焦げになり一体また一体と地上に落ちる。空中から落下し地上に激突した際、バラバラになって四肢が飛び散る。もちろんハーピーは原型をとどめていない。黒焦げになった時点でとどめていないともいえるが。
地上では頭上から死体が続々と落ちてくる為、あちこちから悲鳴があがっている。

地上では冒険者達の活躍により多くの亜人が死んだ。
しかし冒険者もまた多くの人が死んだ。

ケルベロスはリザードマン達と対峙している。
距離をとり様子を伺うリザードマン
ケルベロスは猛スピードでかけより一瞬でリザードマンの体を爪でひきさく。
「ギャー」
「動きが早い、気をつけろ、ただの犬ではないぞ」
「このー」
「化け物め」
「くそー」
「動きが追いきれない」

 リザードマンは懸命に盾でケルベロスの爪や牙の攻撃を防ごうとする。
だがその素早い動きに翻弄(ほんろう)されゴブリン同様、リザードマンもまた一体ずつ倒されていく。
「こんな攻撃受けきれないぞ、ゴボッ」
「何なんだこの犬は、ウグ」
「グワッ、まるで勝てる気がしな・・グフ」
「なんでこんな強い魔物が・・こんなところに・・」
「ギャー」
周囲にいたリザードマン達はケルベロスの咆哮で怯み(ひるみ)、バインドブレスで麻痺し、更には炎の息で焼き尽くされる。

 エンネア・ゼロは南の入り口から町中央付近までの敵はほぼ片付いたのを見計らい、ケルベロスのもとへと地上に降りる。
 南側で他に生き残ってるのはボディビルダー銅のチームだけだ。
エンネア・ゼロに話しかけてきた。

 「お前さんも無事だったか」
「だいたい片付いたな、筋肉の良い鍛錬になった」
「MPが底を尽きそうだ回復しておこう」
「おなじく回復しておこう、しかしお主空を飛んでなかったか?それに飛びながら雷系魔法も使ってたし、古代より伝わる召喚魔法も・・魔法使いは基本一つの属性の魔法しか使えないはずじゃ。まれに二属性扱えると聞いたことはあるが、それでも空を飛んだり召喚魔法を使ったりという類の話は聞いたことがない。もう訳が分からんぞい。お主何者じゃ?」

「気にするな私は特別だ。さて、あとは北の入り口方面だが」


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