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現場を制圧する遼子

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「おい! 誰だ!」

 問いかける見張りに遼子はテイザー銃で答えた。
 突き刺さった電極から内臓バッテリーの電流が流れる。

「ぎゃっ」

「ぐえっ」

 バッテリー内蔵の電極のため、連射できるのが良い。
 見張り二名を無力化して奥へ向かう。
 そして人気のある部屋のドアを蹴り開け、突入した。

「動かないで! 警察よ!」

 テイザー銃と警察手帳を掲げて、屋内にいた全員を遼子は牽制する。
 中には、ゼータ組幹部全員と他に見知らぬ怪しげな男達。
 恐らく外部の売人だ。
 テーブルの上には怪しげな色の液体が入ったカプセルが並んでいる。
 これがフラワーハニーだろう。

「違法薬物の売買容疑で逮捕する! 全員動かないで!」

「やっちまえ!」

 遼子の指示を男達は無視した。

「馬鹿な連中。でも公務執行妨害と暴行の現行犯で逮捕できるから丁度良いわ!」

 遼子は遠慮無くテイザー銃を撃ち込む。

「ぐはっ」

「ぎゃあっ」

 数発の電極が撃ち込まれ男達は倒れる。

「怯むな! 弾は少ない! 休み無く攻めていけば倒せる!」

 幹部の言った通り丁度遼子の銃の弾が切れた。

「チャンスだ! 行け!」

 幹部が命じて男達は遼子に殺到する。

「甘いわね!」

 テイザー銃を捨てると、遼子は伸縮式の警棒を取り出し立ち向かう。

「はっ」

 やってくる男達に警棒を叩き付ける。
 タダの警棒ではない。
 中に高圧電流発生装置を組み込んだ、スタンタイプ。
 打撃と同時に電流が流れて相手を痺れさせて制圧する。

「ぎゃあっ」

「げはっ」

 叩かれた瞬間、身体に電撃が走った男達は次々と倒れる。
 警察学校で並み居る動機どころか教官さえ倒した遼子だ。
 チンピラとその手下ぐらい、何人来ようが平気だ。
 しかも一度当てれば暫く動けなくなる

「ふう、終わったわね」

 全員を制圧した後、遼子は満足げな笑みを浮かべた。

「遼子君!」

「もう、遅いんだから」

 課長の声が聞こえてきたが、遼子は一人で現場を押さえた自信から誇らしげに言う。

「課長、すべて制圧しました。物も押収済みです」

「全く、勝手にして」

「好機を逃してはならないと思いました。ところで宇佐美捜査官は?」

「狼男の取り調べと本庁への報告で手が放せない。だから私が先行した」

「そうですか」

 せっかく手に入れた物を渡せなくて残念だ。

「で、フラワーハニーは?」

「あちらに」

 テーブルを刺すと課長が近づいて確認した。

「うん、確かにフラワーハニーだ」

「よかった。でも、課長、応援は何処ですか? それにどうしてフラワーハニーの事を課長は知っていたんですか?」

 遼子が尋ねると課長はフラワーハニーのカプセルを注射銃に入れ、遼子に当てて注射した。
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