その場にいたのは僕だけだった

その場にいたのは僕だけだった(階段３)

っと真剣に言ってしまった僕は、少ししてから自分が口にした事を何度も頭の中で繰り返し整理した時とんでもないことを口にしてしまったことに気がついたが
先生は腕を組み、目を瞑っては何度も上下に頷き考えてくれていた。まさかとは思ったが恋愛のことについて考えてくれていた。江藤先生案外良いところあるじゃんっと心の中で褒めてやった。
すると犬が威嚇するような呻き声を上げ
「そうだなぁこれはあくまで、先生の意見なんだが」っと保険をつけた。僕は深く頷く。
「好きと嫌いで基本恋愛は動くと思うが、それだけではないと先生は思うんだよな つまりだ好きという分類の中に様々な物があると思うんだ もちろん嫌いも同じで その両方の中で1番を見つけるのには難しいと先生は思うんだよな、だからといって嫌いな部分をそのままにするのではなくて、相手にも理解して貰えるように話し合うことも大切だ。」人差し指を立てながらそのまま話を進める。
「そこで初めてお互いを思うようになるんじゃないかな、まぁ何だそこはどう思うかは時愛次第だけどな」
言ったあと甲高く笑う江藤先生に僕は感心していた。
 相手を思う気持ち…とてもいい事を聞けた気がした。
言われてみれば僕は自分のことしか考えてなかったかもしれない。
すると先生は時計を確認すると、授業がそろそろ始まるからっと言われ僕と先生は教室から出ることにした。その際に「恋愛に答えはないからな、まぁ頑張れ」っと僕の肩を軽く叩くと早足で職員室の方へ行った。恋愛に答えはない、確かにどれが答えなのかは分からない形としては結婚というのが答えなのだろうか。授業5分前のチャイムが鳴り僕は教室に戻ることにした。途中廊下で生徒たちが駄弁ていたが、横を通り過ぎる際には、圧のある視線を肌で感じた。
今日は暫くこのような事が続きそうだ直ぐに慣れるだろうけど。
 何も問題無く教室に戻れたが、やはり僕が教室に入ることでシーンっと静まり返った。誰とも目が合わないように、変色した床を見ながら自分の席へ座った
 その時自然と目線が窓の方へ行った。
その瞬間窓に薄らと映る僕と目が合った
なんだか少しだけ違和感を感じた、ほんの一瞬だけ自分の顔が鏡のように見えた。小さな丸い鏡。
あまり驚かなかった、驚かない自分が不自然に思えてきて気持ち悪くなってきた。あの時校門前での夏陽さんの不思議な体験がふと頭をよぎる、そういえばその時も一瞬だけ違う空間に迷い込んだような感じだった気がする。でも夏陽さんは何も言っていないと言っていたし、彼女の言うとおり少々寝不足で本当に疲れてるかもしれない。授業中の間を見て少し睡眠を取ろうとそう思っていたが、いつの間にか4時間目の授業まで寝てしまっていた。