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胴回り

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 宵闇の広場で炎があがる。祭りの開始を告げる太鼓が打ち鳴らされ、上着を脱いで男は面をあげた。褐色の肌に引き締まった体躯。その胴回りに描かれたるは、一族の象徴たる鷲だ。
 天幕の外に出れば、花冠を手にした乙女が待っている。彼女ははにかんだように笑って、男の頬にキスをした。
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