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いざ異世界へ
第8話 邪神あらわる?
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「これは、困ったことになった」
腕組みをし、丘の陰に身を潜めながら、
どう対処するべきか悩むイノ。
異世界を滅ぼして、異世界神を殺しまわってるのを考えると、
少なからず、友好的には接する事はできないだろう。
敵の数も多すぎる、黒い粒をその都度、数えてられないが、万単位であるのは明らかだな。
対して、妖精の村の勢力は多く見積もっても、三千ほどかぁ。
この感じだと間違いなく戦争になりそうなのだが……
城門をガッチリ閉めて、拒馬が敷き詰められている。
その後ろには金属プレートの鎧で身を包んだ、歩兵部隊が待ち構えていた。
城壁にはバリスタやらカタパルトが配備されており、弓矢隊や魔導士風の人たちが立っている。
「う―ん。武器は中世時代辺りの物か、杖を持ってる人たちがいると
やはり、魔法を使用できるという事だな。
何で妖精じゃなくて、人間たちが立っているのかは、置いといて……
対する、魔王軍は小さいのはゴブリンか?豚ぽいのはオークかな?
鬼の面構えはオーガーぽいし……あれ?」
イノはティコアから借りた、虫めがねで魔王軍の軍勢を覗いてて気づいた。
「大賢者!」
「何か進展でもあったのかのぅ?」
「この世界で、現代兵器みたいな物を作っている場所はあるのか?」
「そんな物、作られておらんぞ! どちらかというと、
魔法とか神獣とかの方が発達した世界じゃな。まぁ、武器に転用してるのは
魔法剣とか鞭とかナイフとか近接系が多いのぅ」
「これ妖精軍負けるぞ!」
「数のせいでか?」
「数で負けてるなら、しかたがないと思うが、持ってる武器が違いすぎる」
ゴブリンが手にしていたのは、MP9。
オークはAK-47を胸に構え、オーガーは携帯式ガトリングガンで武装している。
「なんて、ひどい世界だ……どう足掻いても無理だろう、これ……
先制攻撃を仕掛けて、軍勢を一気に一掃しなければ、
魔王と対峙することさえ、できないな……」
まるで、テスト前の憂鬱な気分である。
あの時は地震が来ないかとか、雷が落ちて停電しないか、
隕石が落ちてこないかなど、考えたものである。
「おっ……閃いた。爺ちゃん、隕石落とせないか?」
「隕石?そのぐらい簡単じゃぞ! ただ地形が変わってしまうし、
生態系も滅ぶ可能性もあるがな、星ごとなくなるかもしれんぞ?」
「そんなでかくなくていい、人間程度の大きさの石を降らせれば、
銃も役には立たないだろ」
「ふむ、まぁやってみるかのぅ、それではイノ空に両手をかざすのじゃ」
「うん?俺が唱えるのか?」
「当たり前じゃ、お前が唱えないで誰が唱えるんじゃ」
「いや、魔法使ったことないんですけど……」
「誰でも最初からできるもんじゃない! 最初から諦めてたり、
人頼みじゃ何もできなくなってしまうぞ」
ゼニスの言葉はイノの胸に刺さった。
いつのまにか、ゼニスに頼んでばかりいて、
自分では行動していないと。
「さぁ、早く両手を上げないか」
魔王軍の方を向き、晴れ渡った空に両手を掲げる。
「集中するのじゃぞ、隕石を落とすと強くイメージするのじゃ、
力を抜き、全身の力を外に放出するイメージじゃ」
力を抜いて、全身の力を放出ってどういう表現だよ。
イノは言われたとおりに隕石を落とすイメージを始める。
頭の中に言葉が流れてくる。
「頭に流れてきた言葉を詠唱するのじゃ」
”我が望みは静寂”
魔王軍の上空に、幾多の魔法陣が何重にも展開されていく。
”集え 漆黒の闇に浮かぶ星々たちよ”
展開された魔法陣が白から赤へと変わる。
”闊歩する罪を滅ぼせ 愚行を退けよ”
巨大な岩石が炎を纏い、魔法陣から顔を覗かせる。
上空の変化に行進を止めた、魔王軍は騒ぎ始める。
”罪人に鉄槌を さすれば汝 真紅の天使に称されるなり”
最初の一個目が、半分も出てきたところで
軍勢は一斉に乱射を始める。
ガガガガガガガガガガ!
ダダダダダダダダダダ!
サブマシンガン程度では届かない距離、
ライフルでも表面にかすり傷がつく程度、
ズガガガガガガガ!
ガトリングガンで表面は削れていくが、
スプーンで海をすくう程度だ。
”我 邪神イノの名において命ずる”
「うん?邪神?えっ?俺、邪神?」
イノの集中力がここで途切れた。
展開された魔法陣は次々と閉じ、
中途半端に出てきた隕石は魔王軍の頭上へと落ちていく。
「何をやっとるんじゃ!」
「いや、邪神って詠唱に流れてきて、
ふと集中力が切れてしまって……」
「お前は立派な邪神じゃないか!」
またもゼニス爺のとんでも発言がここで飛び出す。
「まぁ、いいわい。初めてにしては上出来じゃぞ」
いや……良くないんですけど、
とりあえず邪神については、後で問いただそう。
炎を纏った中途半端な岩石は、ちょうど、魔王の頭上に落下中だった。
魔王の頭上より、魔法陣が展開され、
氷の槍が飛び出すと、岩石を貫き、空の彼方へと飛んで行った。
芯を貫かれ、粉砕した岩石は、魔王の周りに降り注ぎ、
配下はなす術もなく朽ちていく。
「ちょっとは減ったかな?」
詠唱失敗後に岩陰に隠れたイノは、様子をうかがう。
魔王軍は進行方向を変え、一直線にこちらに向かってきている。
「えぇ――、どうしよう……」
顔を覗かせた事で魔王軍も一斉射撃を始めた。
ガガガガガガガガガガ!
ダダダダダダダダダダ!
「ひぃいいい! 何で神なのに、こんな目に遭わないといけないんだ」
「何々、ご主人、どうしたの?」
ゴンタが丘から顔を覗かせる
「馬鹿、ゴンタ! 顔を隠せ」
ペチペチ。
銃弾がゴンタのマヌケ面に当たった。
「いてぇな、何すんだコノヤロー」
銀灰の獣は丘を下り、魔王軍の軍勢に踊り出たのであった。
腕組みをし、丘の陰に身を潜めながら、
どう対処するべきか悩むイノ。
異世界を滅ぼして、異世界神を殺しまわってるのを考えると、
少なからず、友好的には接する事はできないだろう。
敵の数も多すぎる、黒い粒をその都度、数えてられないが、万単位であるのは明らかだな。
対して、妖精の村の勢力は多く見積もっても、三千ほどかぁ。
この感じだと間違いなく戦争になりそうなのだが……
城門をガッチリ閉めて、拒馬が敷き詰められている。
その後ろには金属プレートの鎧で身を包んだ、歩兵部隊が待ち構えていた。
城壁にはバリスタやらカタパルトが配備されており、弓矢隊や魔導士風の人たちが立っている。
「う―ん。武器は中世時代辺りの物か、杖を持ってる人たちがいると
やはり、魔法を使用できるという事だな。
何で妖精じゃなくて、人間たちが立っているのかは、置いといて……
対する、魔王軍は小さいのはゴブリンか?豚ぽいのはオークかな?
鬼の面構えはオーガーぽいし……あれ?」
イノはティコアから借りた、虫めがねで魔王軍の軍勢を覗いてて気づいた。
「大賢者!」
「何か進展でもあったのかのぅ?」
「この世界で、現代兵器みたいな物を作っている場所はあるのか?」
「そんな物、作られておらんぞ! どちらかというと、
魔法とか神獣とかの方が発達した世界じゃな。まぁ、武器に転用してるのは
魔法剣とか鞭とかナイフとか近接系が多いのぅ」
「これ妖精軍負けるぞ!」
「数のせいでか?」
「数で負けてるなら、しかたがないと思うが、持ってる武器が違いすぎる」
ゴブリンが手にしていたのは、MP9。
オークはAK-47を胸に構え、オーガーは携帯式ガトリングガンで武装している。
「なんて、ひどい世界だ……どう足掻いても無理だろう、これ……
先制攻撃を仕掛けて、軍勢を一気に一掃しなければ、
魔王と対峙することさえ、できないな……」
まるで、テスト前の憂鬱な気分である。
あの時は地震が来ないかとか、雷が落ちて停電しないか、
隕石が落ちてこないかなど、考えたものである。
「おっ……閃いた。爺ちゃん、隕石落とせないか?」
「隕石?そのぐらい簡単じゃぞ! ただ地形が変わってしまうし、
生態系も滅ぶ可能性もあるがな、星ごとなくなるかもしれんぞ?」
「そんなでかくなくていい、人間程度の大きさの石を降らせれば、
銃も役には立たないだろ」
「ふむ、まぁやってみるかのぅ、それではイノ空に両手をかざすのじゃ」
「うん?俺が唱えるのか?」
「当たり前じゃ、お前が唱えないで誰が唱えるんじゃ」
「いや、魔法使ったことないんですけど……」
「誰でも最初からできるもんじゃない! 最初から諦めてたり、
人頼みじゃ何もできなくなってしまうぞ」
ゼニスの言葉はイノの胸に刺さった。
いつのまにか、ゼニスに頼んでばかりいて、
自分では行動していないと。
「さぁ、早く両手を上げないか」
魔王軍の方を向き、晴れ渡った空に両手を掲げる。
「集中するのじゃぞ、隕石を落とすと強くイメージするのじゃ、
力を抜き、全身の力を外に放出するイメージじゃ」
力を抜いて、全身の力を放出ってどういう表現だよ。
イノは言われたとおりに隕石を落とすイメージを始める。
頭の中に言葉が流れてくる。
「頭に流れてきた言葉を詠唱するのじゃ」
”我が望みは静寂”
魔王軍の上空に、幾多の魔法陣が何重にも展開されていく。
”集え 漆黒の闇に浮かぶ星々たちよ”
展開された魔法陣が白から赤へと変わる。
”闊歩する罪を滅ぼせ 愚行を退けよ”
巨大な岩石が炎を纏い、魔法陣から顔を覗かせる。
上空の変化に行進を止めた、魔王軍は騒ぎ始める。
”罪人に鉄槌を さすれば汝 真紅の天使に称されるなり”
最初の一個目が、半分も出てきたところで
軍勢は一斉に乱射を始める。
ガガガガガガガガガガ!
ダダダダダダダダダダ!
サブマシンガン程度では届かない距離、
ライフルでも表面にかすり傷がつく程度、
ズガガガガガガガ!
ガトリングガンで表面は削れていくが、
スプーンで海をすくう程度だ。
”我 邪神イノの名において命ずる”
「うん?邪神?えっ?俺、邪神?」
イノの集中力がここで途切れた。
展開された魔法陣は次々と閉じ、
中途半端に出てきた隕石は魔王軍の頭上へと落ちていく。
「何をやっとるんじゃ!」
「いや、邪神って詠唱に流れてきて、
ふと集中力が切れてしまって……」
「お前は立派な邪神じゃないか!」
またもゼニス爺のとんでも発言がここで飛び出す。
「まぁ、いいわい。初めてにしては上出来じゃぞ」
いや……良くないんですけど、
とりあえず邪神については、後で問いただそう。
炎を纏った中途半端な岩石は、ちょうど、魔王の頭上に落下中だった。
魔王の頭上より、魔法陣が展開され、
氷の槍が飛び出すと、岩石を貫き、空の彼方へと飛んで行った。
芯を貫かれ、粉砕した岩石は、魔王の周りに降り注ぎ、
配下はなす術もなく朽ちていく。
「ちょっとは減ったかな?」
詠唱失敗後に岩陰に隠れたイノは、様子をうかがう。
魔王軍は進行方向を変え、一直線にこちらに向かってきている。
「えぇ――、どうしよう……」
顔を覗かせた事で魔王軍も一斉射撃を始めた。
ガガガガガガガガガガ!
ダダダダダダダダダダ!
「ひぃいいい! 何で神なのに、こんな目に遭わないといけないんだ」
「何々、ご主人、どうしたの?」
ゴンタが丘から顔を覗かせる
「馬鹿、ゴンタ! 顔を隠せ」
ペチペチ。
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