【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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中学生編 side晴人

12.甘噛み

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頭の中にクエスチョンマークを飛ばしまくる俺に気付かず、蓮は乗って来たチャリに跨った。

「部活終わったじゃん。遊べんの?」

そうだ、部活を理由に蓮からの誘いを断ってたんだった。
今日で引退したから、もうその手は使えない。

「い、いや~、でも、ほら。遥と過ごせる夏って最後だし…。」

ってか何で俺が気を使わないといけないんだ。
遥の彼氏はお前だろ。

「や、遥いねーじゃん。」

「え?」

「え?じゃねーよ。今日から家族でカナダだって連絡来てたろ。」

ポカンとする俺に蓮はスマホを見せてくれた。
俺達3人のグループLAINだ。

『現地視察?に家族でカナダ行く!
晴の大会の日に出発するから観に行けないけど、応援してるからね!!』

その後に「ごめんにゃ」の猫スタンプ。
日付は1週間前…。
因みに個人LAINの方には
『卒業式の次の日に旅立ちまーす!』
ってのもちゃんと来てた…。

「えぇぇぇ⁉︎マジか!ごめん遥!見逃してた!!」

「あーあ。後でちゃんと返してやれよ?」

蓮の言葉に猛烈に頷く。

「だから今年は俺とお前だけ。宿題一緒にやるか?」

この言葉にも頷く。
蓮が教えてくれるなら大助かりだ。
遥がいないんだったら俺が蓮と過ごしても大丈夫だよな?

「おけ。明後日は?」

「大丈夫…じゃないや。明後日は啓太達とカラオケ行くんだ。」

「…啓太って中野?いつから名前で呼んでるわけ?」

「ひゃっ!!」

いつの間にか近付いて来てた蓮に耳元で話されて、俺は変な声を上げてしまった。
いつもより低い声から蓮が怒ってる気配がする。

「晴、答えろ。」

「ちょ、そこで喋んな!ゾワゾワする…!!」

「…アイツのこと好き?」

「す、好き、だよ。」

そう答えると蓮が俺の耳から離れたから、何とか顔を上げる。
片手で腰を掴まれてて距離はとれない。
蓮はドキリとするような暗い目で俺を見下ろしていた。背後に黒いオーラが見える。

「な、何だよ⁉︎
親友なんだから好きにきまってんだろ。」

「親友だから好き?……俺は?」

「え、幼馴染だろ。」

何故か蓮の顔が曇る。
あれ、もしかして親友と幼馴染だったら親友のほうが上だと思ってんのかな。
これじゃあ言葉足らずだなと思って俺は言い直す。

「蓮は特別じゃん。生まれた時から一緒にいるんだから。」

ベクトルが違うんだよなと思ってそう言うと、蓮がまた耳元に顔を寄せて来た。

「ふーん。特別ねぇ…。じゃ、俺も特別扱いしていいんだな。」

「何それ?どーゆー……ンッーー!!」

ゆっくりと吐息を耳に吹き込まれて言葉を失う。

「晴、耳弱いの?」

低い声が響いて背筋がゾクゾクする。

「もしかして、気持ちイイーーー?」

顔に一気に熱が集まって、首筋まで真っ赤になってるのが分かる。
一度顔を離した蓮はそんな俺を見て、そしてーー。

ガブリと俺の耳に歯を立てた。

「ヒャッ!待って…!!」

俺の抵抗お構いなしに蓮は歯を立てて甘噛みしたり、唇で啄んでくる。

「アッ……れん…ダメっ…止まっ…て…」

身体がビクビクして、頭の中がフワフワする。
必死で繋いだ言葉は意味をなしたか分からなかったけど、蓮の動きがピタリと止まった。
不覚にも涙目になってしまった状態で蓮を見上げると、蓮は微動だにせず俺を見つめていた。

「蓮…?」

なんで蓮がフリーズしてる訳?
不可解な行動してるのはそっちだからな!

俺の心の中の抗議が聞こえたのかは分からないけど、蓮は身体を離すとグシャグシャと俺の髪を掻き回した。

「悪い、やり過ぎたわ。またLAINする。」

ポケッとして反応できない俺に「早く中入れよ。」
と言葉を残してチャリを漕ぎ出す。

その去っていく背中が、さっきまで黒いオーラが出てたとは思えないほど満足気で。
俺はポカンとしたまま見送ったのだった。





●●●
中学生編は次回で完結となります!
4月中の完結を目指してたので明日また更新する予定です(*´∀`*)

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