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高校生編side晴人 好きって自覚したら失恋したよ
3.豹変する女
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「ねぇ‼︎聞いてんの⁉︎」
ぼんやりする俺に痺れを切らしたのか、相手の声がワントーン低くなった。
パッチリした二重の可愛らしい顔が怒りに染まっている。
「迷惑だって言ってんの!!
あんたが周りウロチョロするから蓮は義務感で構ってあげてるって言ってたんだから!!
幼馴染だからって蓮のこと縛らないでよね!!」
「別に俺は蓮を縛ってる訳じゃ…」
「縛ってるじゃない!あんたが蓮にベッタリなせいで蓮は友達との付き合いも制限されてんのよ!!」
ヒートアップした彼女は俺の話しなんて全く聞いちゃくれない。
これは約束するまで解放されなさそうだ。
困っていたその時ーーー、
「晴人!ここにいたのか!
あれ?えーっと、特進の相川さん?だっけ?」
啓太が俺を探しに来てくれた。
第三者の登場に彼女ーー相川さんの表情が変わる。
啓太に顔を向けるとニコッと笑みを浮かべた。
「うん!相川だよ、中野くん!」
小首を傾げた拍子にミルクティー色のボブがフワリと揺れる。
さっきまで俺を糾弾してた彼女はそこにはいなかった。
「あ、俺の名前知ってるの?」
「中野くんカッコイイもん!ふふっ。」
口元の笑窪が可愛い笑みを向けられて啓太は満更でもなさそうだ。
「相川さんこそ、学年一可愛いって評判だよ!
晴人と何してたの?」
「えーっ、そんなことないよぉ!
あのね、萱島君とは蓮のことでちょっとお話ししてただけ。」
ねっ!と俺の方を見る彼女の目が笑ってない。
テメェ余計な事いうなよって圧がめっちゃ凄い。
「そ、そうなんだよ。あ、でももう終わったから。部室行こうぜ啓太!」
話しに乗りつつ、ここを退散する好機を逃さないように焦る。
啓太の背中を押して去る俺を、相川さんは止めない。
距離が少し離れて周りに人も増え、ホッとした時だった。
「萱島くーん!」
振り返ると、爪先でピョコピョコ跳ねながら大きく手を振る相川さんの姿。
陽の光でキラキラするミルクティー色に、周りの視線が集まる。
「さっきの話しよろしくねー♡」
側から見ると無邪気で可愛らしい仕草だろう。
男子達が一様に目を細めて彼女を見て、次に、声を掛けられた俺を値踏みするように見てくる。
慌てたように彼女の近くまで歩み寄った奴らとの、
「相川ちゃん、あいつ誰?」
「んーっとね、内緒♡」
なんて会話が聞こえた。
俺を睨み付けるような複数の視線を感じる。
どう考えても好意的な感じではない。
それは相川さんが、可愛くて優秀で人気者の自分と、平凡で地味な俺の格差を分からせるためにした行動だと理解した。
蓮の隣には自分のような人間が相応しいんだと、彼女が明確な意思を持ってしたことーー。
彼女の言う通り、蓮は俺と居ることに義務感を感じているんだろうか。
本当はもっと華やかな、相川さんみたいな人達と一緒にいたいんだろうか。
幼馴染と言う理由で、俺は蓮を縛り付けてるんだろうか。
ぐるぐると考えながらどうやって中庭を脱出したのか覚えてない。
なんとなく、啓太が腕を引いてくれてたような気配を感じた。
どんなに考えた所で、蓮本人の口から意思を聞かなければ何も分からない。
毎日くだらない俺の話しで笑ってる蓮が、義務感で一緒にいるだなんて思いたくない。
だけど、一つだけハッキリしてることがある。
今回の件云々とか関係なく、前から気付いていたのに見て見ぬふりをしてきた現実。
ーーー俺は、蓮と釣り合ってない。
●●●
相川、こんな子です笑
ぼんやりする俺に痺れを切らしたのか、相手の声がワントーン低くなった。
パッチリした二重の可愛らしい顔が怒りに染まっている。
「迷惑だって言ってんの!!
あんたが周りウロチョロするから蓮は義務感で構ってあげてるって言ってたんだから!!
幼馴染だからって蓮のこと縛らないでよね!!」
「別に俺は蓮を縛ってる訳じゃ…」
「縛ってるじゃない!あんたが蓮にベッタリなせいで蓮は友達との付き合いも制限されてんのよ!!」
ヒートアップした彼女は俺の話しなんて全く聞いちゃくれない。
これは約束するまで解放されなさそうだ。
困っていたその時ーーー、
「晴人!ここにいたのか!
あれ?えーっと、特進の相川さん?だっけ?」
啓太が俺を探しに来てくれた。
第三者の登場に彼女ーー相川さんの表情が変わる。
啓太に顔を向けるとニコッと笑みを浮かべた。
「うん!相川だよ、中野くん!」
小首を傾げた拍子にミルクティー色のボブがフワリと揺れる。
さっきまで俺を糾弾してた彼女はそこにはいなかった。
「あ、俺の名前知ってるの?」
「中野くんカッコイイもん!ふふっ。」
口元の笑窪が可愛い笑みを向けられて啓太は満更でもなさそうだ。
「相川さんこそ、学年一可愛いって評判だよ!
晴人と何してたの?」
「えーっ、そんなことないよぉ!
あのね、萱島君とは蓮のことでちょっとお話ししてただけ。」
ねっ!と俺の方を見る彼女の目が笑ってない。
テメェ余計な事いうなよって圧がめっちゃ凄い。
「そ、そうなんだよ。あ、でももう終わったから。部室行こうぜ啓太!」
話しに乗りつつ、ここを退散する好機を逃さないように焦る。
啓太の背中を押して去る俺を、相川さんは止めない。
距離が少し離れて周りに人も増え、ホッとした時だった。
「萱島くーん!」
振り返ると、爪先でピョコピョコ跳ねながら大きく手を振る相川さんの姿。
陽の光でキラキラするミルクティー色に、周りの視線が集まる。
「さっきの話しよろしくねー♡」
側から見ると無邪気で可愛らしい仕草だろう。
男子達が一様に目を細めて彼女を見て、次に、声を掛けられた俺を値踏みするように見てくる。
慌てたように彼女の近くまで歩み寄った奴らとの、
「相川ちゃん、あいつ誰?」
「んーっとね、内緒♡」
なんて会話が聞こえた。
俺を睨み付けるような複数の視線を感じる。
どう考えても好意的な感じではない。
それは相川さんが、可愛くて優秀で人気者の自分と、平凡で地味な俺の格差を分からせるためにした行動だと理解した。
蓮の隣には自分のような人間が相応しいんだと、彼女が明確な意思を持ってしたことーー。
彼女の言う通り、蓮は俺と居ることに義務感を感じているんだろうか。
本当はもっと華やかな、相川さんみたいな人達と一緒にいたいんだろうか。
幼馴染と言う理由で、俺は蓮を縛り付けてるんだろうか。
ぐるぐると考えながらどうやって中庭を脱出したのか覚えてない。
なんとなく、啓太が腕を引いてくれてたような気配を感じた。
どんなに考えた所で、蓮本人の口から意思を聞かなければ何も分からない。
毎日くだらない俺の話しで笑ってる蓮が、義務感で一緒にいるだなんて思いたくない。
だけど、一つだけハッキリしてることがある。
今回の件云々とか関係なく、前から気付いていたのに見て見ぬふりをしてきた現実。
ーーー俺は、蓮と釣り合ってない。
●●●
相川、こんな子です笑
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