65 / 262
高校生編side晴人 守ってくれるのは大切だからだって思いたい
49.ミーティング
しおりを挟む
「晴人、お疲れ!」
事情聴取が終わって、急遽借りた学校のミーティングルームに集まる剣道部の皆んなと合流する。
いきなり全校放送で呼び出され部員は、当たり前だけど最初は戸惑ったらしい。
啓太と副顧問から訳を聞いて驚愕したそうだ。
火事の事は先生と剣道部と、一部の生徒しか知らない。
火は消し止められてたから消防車はノーサイレンで来たし、裏門からだったから殆ど人目に付かなかったんだよね。
「萱島が早めに発見してくれて良かったよなぁ。
これ以上被害が出てたら…。」
部長の言葉に皆んなが頷く。
「それでも竹刀も防具も足りないですよね?」
「圧倒的にな。今から申請して次の大会に間に合うかどうか…。
事情が事情だから学校側が買ってくれるとは思うが…それなりに日数はかかるよな。」
啓太の言葉に部長が苦い顔をする。
そう。仮に本番に間に合ったとしても、練習ができないんだよ。
「俺たちの最後の試合なのに…」
悔しそうな二年生の先輩の声に項垂れる。
「大体、何でうちの部室が狙われたんだろう?」
「それな。何処でも良くて、たまたま人が来なくて丁度良かったとか?」
「愉快犯ならあり得るかもなぁ。」
「文化祭で人が多いから、内部犯なのか外部犯なのかも分かんないし。」
口々に言う部員に、俺も考える。
部室は一階だから、ベランダから侵入するのは簡単だ。
それこそ小学校高学年くらいの子供ならよじ登って入れちゃう感じ。
「窓ガラスに小さな丸い穴が空いてたそうです。
ガラスカッターとかで切られた感じの。
そこから火のついた煙草がねじ込まれたんじゃ無いかって言ってました。」
俺は事情聴取の時に得た新情報を提供する。
別に口止めはされなかったからいいよね。
そう。昨日最後に部室を訪れたのは多分俺と啓太。
ベランダにチャイナドレスを干した後、窓の施錠を二人で確認した。
つまり犯人は、鍵がかかった窓をわざわざ割ってまで行動を起こした事になる。
「まさか。じゃあ窓に何かしてるのを見られる危険を犯してまで犯行に及んだって事か?」
「マジか。愉快犯ってそんな感じなの?」
「さぁな。そんなサイコパスに出会った事ないからなぁ。」
「それな。そう言えば晴人、今日名探偵やってなかった?」
「それだ!ちょっと衣装借りてきてよ!
雰囲気出して行こうぜ!」
「いいね!眠りの小太郎呼ぼうぜ!」
…暗い雰囲気が続かないのが我が剣道部なのである。
(因みに小太郎ってのは大山先生の下の名前ね。)
勿論、各々がショックを受けてるはずだ。
それでも、仲間が落ち込まないように。
気遣いあって明るく振る舞えるこの仲間達が俺は大好きだ。
ーーだからこそ、犯人が本当に許せない。
「でもさ、犯人の奴も間抜けだよなぁ。窓割らなくてもドアから余裕で入れたのに。」
同学年の鈴木の言葉に、皆んな笑う。
「ドアに鍵かかってないなんて、思いもしなかったんだろうな。」
そうなんだよね。
実は部室のドア、建て付けが悪くて数年前から鍵が閉まらないんだよ。
鍵無しのドアは固いけど力を込めれば簡単に開く。
まぁ別に施錠しなくても大丈夫だよねってことで、ここ何年も鍵無しで問題無かったらしい。
これが、高額な楽器を持つ吹奏楽部とかだったら大問題なんだろうけど。
剣道部の部室ってそんな金目の物がある訳でもないし。
一応、鍵は一年生が交代で管理する事になってて、職員室に掲示してある鍵管理表にもその日の管理者の名前が記入してある。
ただ実際には、鍵は部室の中に置きっぱなしで表は完全にお飾りだ。
鍵の話しは警察にも確認された。
窓の周りの燃え方が酷かったから原因はそこだろうって話しだったけど、ドアからの侵入の可能性もゼロではないから念のためって。
鍵が置きっぱなしで機能してない現状を伝えると、それを他の部員にも確認した警察は納得したみたいだった。
(逆に知らなかった大山先生は超ビックリしてた。
ごめんね、先生。)
そういえば、鍵管理表的には今日の管理者、俺なんだよね。
いやぁ、よかった。
また変に疑われる所だったよ。
ーーーーん?
って事はさ、鍵が機能してた場合、俺が疑われる可能性があったって事?だよね?
何だか首の後ろがチリチリするような不安感に襲われる。
いや、偶然だよねーーーうん。
●●●
今後事件が動いていきますが、推理物では無いので細かい点には目を瞑って下さいませm(__)m
推理小説書ける人って天才だな。
事情聴取が終わって、急遽借りた学校のミーティングルームに集まる剣道部の皆んなと合流する。
いきなり全校放送で呼び出され部員は、当たり前だけど最初は戸惑ったらしい。
啓太と副顧問から訳を聞いて驚愕したそうだ。
火事の事は先生と剣道部と、一部の生徒しか知らない。
火は消し止められてたから消防車はノーサイレンで来たし、裏門からだったから殆ど人目に付かなかったんだよね。
「萱島が早めに発見してくれて良かったよなぁ。
これ以上被害が出てたら…。」
部長の言葉に皆んなが頷く。
「それでも竹刀も防具も足りないですよね?」
「圧倒的にな。今から申請して次の大会に間に合うかどうか…。
事情が事情だから学校側が買ってくれるとは思うが…それなりに日数はかかるよな。」
啓太の言葉に部長が苦い顔をする。
そう。仮に本番に間に合ったとしても、練習ができないんだよ。
「俺たちの最後の試合なのに…」
悔しそうな二年生の先輩の声に項垂れる。
「大体、何でうちの部室が狙われたんだろう?」
「それな。何処でも良くて、たまたま人が来なくて丁度良かったとか?」
「愉快犯ならあり得るかもなぁ。」
「文化祭で人が多いから、内部犯なのか外部犯なのかも分かんないし。」
口々に言う部員に、俺も考える。
部室は一階だから、ベランダから侵入するのは簡単だ。
それこそ小学校高学年くらいの子供ならよじ登って入れちゃう感じ。
「窓ガラスに小さな丸い穴が空いてたそうです。
ガラスカッターとかで切られた感じの。
そこから火のついた煙草がねじ込まれたんじゃ無いかって言ってました。」
俺は事情聴取の時に得た新情報を提供する。
別に口止めはされなかったからいいよね。
そう。昨日最後に部室を訪れたのは多分俺と啓太。
ベランダにチャイナドレスを干した後、窓の施錠を二人で確認した。
つまり犯人は、鍵がかかった窓をわざわざ割ってまで行動を起こした事になる。
「まさか。じゃあ窓に何かしてるのを見られる危険を犯してまで犯行に及んだって事か?」
「マジか。愉快犯ってそんな感じなの?」
「さぁな。そんなサイコパスに出会った事ないからなぁ。」
「それな。そう言えば晴人、今日名探偵やってなかった?」
「それだ!ちょっと衣装借りてきてよ!
雰囲気出して行こうぜ!」
「いいね!眠りの小太郎呼ぼうぜ!」
…暗い雰囲気が続かないのが我が剣道部なのである。
(因みに小太郎ってのは大山先生の下の名前ね。)
勿論、各々がショックを受けてるはずだ。
それでも、仲間が落ち込まないように。
気遣いあって明るく振る舞えるこの仲間達が俺は大好きだ。
ーーだからこそ、犯人が本当に許せない。
「でもさ、犯人の奴も間抜けだよなぁ。窓割らなくてもドアから余裕で入れたのに。」
同学年の鈴木の言葉に、皆んな笑う。
「ドアに鍵かかってないなんて、思いもしなかったんだろうな。」
そうなんだよね。
実は部室のドア、建て付けが悪くて数年前から鍵が閉まらないんだよ。
鍵無しのドアは固いけど力を込めれば簡単に開く。
まぁ別に施錠しなくても大丈夫だよねってことで、ここ何年も鍵無しで問題無かったらしい。
これが、高額な楽器を持つ吹奏楽部とかだったら大問題なんだろうけど。
剣道部の部室ってそんな金目の物がある訳でもないし。
一応、鍵は一年生が交代で管理する事になってて、職員室に掲示してある鍵管理表にもその日の管理者の名前が記入してある。
ただ実際には、鍵は部室の中に置きっぱなしで表は完全にお飾りだ。
鍵の話しは警察にも確認された。
窓の周りの燃え方が酷かったから原因はそこだろうって話しだったけど、ドアからの侵入の可能性もゼロではないから念のためって。
鍵が置きっぱなしで機能してない現状を伝えると、それを他の部員にも確認した警察は納得したみたいだった。
(逆に知らなかった大山先生は超ビックリしてた。
ごめんね、先生。)
そういえば、鍵管理表的には今日の管理者、俺なんだよね。
いやぁ、よかった。
また変に疑われる所だったよ。
ーーーーん?
って事はさ、鍵が機能してた場合、俺が疑われる可能性があったって事?だよね?
何だか首の後ろがチリチリするような不安感に襲われる。
いや、偶然だよねーーーうん。
●●●
今後事件が動いていきますが、推理物では無いので細かい点には目を瞑って下さいませm(__)m
推理小説書ける人って天才だな。
94
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
15,000字程度の予定です。
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
両片思いの幼馴染
kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。
くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。
めちゃくちゃハッピーエンドです。
学校一のイケメンとひとつ屋根の下
おもちDX
BL
高校二年生の瑞は、母親の再婚で連れ子の同級生と家族になるらしい。顔合わせの時、そこにいたのはボソボソと喋る陰気な男の子。しかしよくよく名前を聞いてみれば、学校一のイケメンと名高い逢坂だった!
学校との激しいギャップに驚きつつも距離を縮めようとする瑞だが、逢坂からの印象は最悪なようで……?
キラキライケメンなのに家ではジメジメ!?なギャップ男子 × 地味グループ所属の能天気な男の子
立場の全く違う二人が家族となり、やがて特別な感情が芽生えるラブストーリー。
全年齢
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる