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高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着
58.勇気を出せ!
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「ねぇ!聞いた?蓮様が、自主謹慎になったって!」
「学校側…ってか鬼丸は退学にしようとしてたらしいぜ!」
「それが自主謹慎って…鬼丸完敗じゃん!
ざまぁ!!」
学校は朝から蓮の話題で大盛り上がりだ。
昨日、夜遅い時間になって蓮母が我が家を訪ねて来た。
そこで俺は改めて事件の経緯を、蓮母と父さん母さんに説明した。
父さん達は驚いてたけど、俺の潔白も蓮の潔白も当然のように信じてくれて、学校に抗議するって言ってくれたんだよね。
「それはもう私がして来たから大丈夫よ。
やたら蓮を退学にしたがってたけどね。」
「蓮はどうなったの⁉︎」
苦笑する蓮母に、俺は慌てて聞く。
「自主的に謹慎する事になったわ。」
へ?自主的?どう言うこと?
「こっちから、謹慎しますって言って来たの。」
ポカンとする萱島家一同に、蓮母が笑う。
「あの田丸?とか言う教師。ああ言うエセ正義感野郎は懐柔しやすくて助かるわ。
ちょっと涙流して、『仕事ばかりで子供に寂しい思いをさせた私の責任なんです…。先生のおかげで親子関係を修復できるチャンスかもしれません。』
って言ってやったら嬉しそうにしてたもの。」
流石は蓮母。
鬼丸の偏った正義感を見抜いて、それを上手く擽ったらしい。
「親子で話し合うために謹慎させますって言ったら、『謹慎』って単語に反応して満足そうだったけど。自主的にだから蓮の経歴には何も傷付かないのよね。多分、今頃気付いて悔しがってるんじゃないかしら。」
そう言ってカラカラ笑う。
この美魔女に不可能なんて無いのである。
「大山先生って方が凄く協力的で、話しをサクサク進めてくれてね。あっと言う間に2週間の自主謹慎って事で解放されたわ。」
大山先生!蓮のために頑張ってくれたんだ!!
「ただ、条件として謹慎中は学校の生徒と連絡を取らないようにって。これ以上騒ぎになると学校側も厳しく対処せざるを得なくなるからってお願いされたの。
だからね、晴ちゃん。気になると思うけど暫く我慢してね?」
「蓮は…?」
「蓮は大丈夫よ。晴ちゃんに伝言。
『学校休めてラッキーだから気にすんな』って。」
その言葉に、泣きたいような笑いたいような気分になる。
「もうっ!蓮は…本当に蓮だよなぁ。」
強くて冷静でカッコイイ俺の幼馴染。
だけど、傷付かない訳じゃない。
悔しさだって絶対にあるはずだ。
それを上手に隠して俺を助けたくれたーー。
「そんな訳だから、親子の中を深めるために帰るわ!久しぶりに料理の腕を奮っちゃおうかしら♡」
…蓮母、またキッチンで爆発起こさないでね。
俺は蓮母を見送るために家の外に出た。
そこにはベンツが停まってて、蓮父の秘書の人がペコリと会釈してる。
「車だからここで大丈夫よ!晴ちゃん、ゆっくり休むのよ?」
「ん。蓮母にお願い。これ蓮に渡してくれる?」
俺はいつも首から下げてるそれを蓮母に渡す。
「御守り?…あら?…あぁそう言う事か。」
それを触ってた蓮母が何かに気付いた顔をする。
「どしたの?」
「ううん。何でもないわ。蓮に渡すわね。」
「お願いね。本当は俺が蓮と一緒にいたいけど…せめて俺の分身連れてって。
コイツ、中学からずっと俺と一緒なんだよ。」
御守りに対してコイツは不敬かもなんだけど、肌身離さず付けてると俺の一部がこの中に入ってるような気持ちになる。
実は俺、蓮と離れる決意をしてからもずっとこれだけは身に付けてた。
や、ほら!だって手放すと災が起きるって言われたし!
今回は手放すんじゃなくて一時的に預けるだけだからきっと大丈夫だろう。
買ってくれたの蓮だし、コイツもきっと理解してくれる筈だ。
御守りに対してちょっとイタイ愛着を抱く俺を、蓮母がガバッと抱き締めてくる。
「あぁ!可愛い!いい子!なんでその可愛さの100分の1でも蓮は持ち合わせてないのかしら。」
ぶつぶつ言いながら蓮母は俺を離すと、ベンツの後部座席をチラリと見た。
スモークが貼られた窓が少しだけ空いてるけど、中は全く見えない。
「おやすみ晴ちゃん♡」
蓮母が助手席に乗り込むと、ベンツは切藤家へ向けて走り出した。
それを見送りながら、俺は決意を固くする。
犯人を突き止めるために、まず俺がやるべき事をーーーー。
そして、学校中が蓮の噂で持ちきりの今日に至る。
蓮が自主謹慎してる事は何処かから漏れていて、既に周知の事実だ。
(後から知ったんだけど、鬼丸が職員室で喚いてるのを朝早く来た生徒が聞いてたんだって。)
俺は俺のやるべき事のために、自分のクラスではなく別棟に足を向ける。
正直、明らかに自分を嫌ってる相手の元に向かうのは気が重い。
話しかけた所で、どんな言葉が返って来るのか。
また傷付くかもしれない。
だけど、ここは絶対に引けないんだ。
だって、だってさーーー。
脳裏に浮かぶのは蓮の顔。
よし!行くぞ!!
気合を入れて、俺はドアを開ける。
特進クラスのメンバーが訝し気にこっちを見る中、俺の目は目的の人物を捉えた。
輝くミルクティー色。
だけど、その顔色は酷く悪い。
「相川さん、話しがあるんだけどいい?」
目の前に立った俺に、彼女の目が大きく見開かれた。
●●●
後部座席に、きっといた笑
「学校側…ってか鬼丸は退学にしようとしてたらしいぜ!」
「それが自主謹慎って…鬼丸完敗じゃん!
ざまぁ!!」
学校は朝から蓮の話題で大盛り上がりだ。
昨日、夜遅い時間になって蓮母が我が家を訪ねて来た。
そこで俺は改めて事件の経緯を、蓮母と父さん母さんに説明した。
父さん達は驚いてたけど、俺の潔白も蓮の潔白も当然のように信じてくれて、学校に抗議するって言ってくれたんだよね。
「それはもう私がして来たから大丈夫よ。
やたら蓮を退学にしたがってたけどね。」
「蓮はどうなったの⁉︎」
苦笑する蓮母に、俺は慌てて聞く。
「自主的に謹慎する事になったわ。」
へ?自主的?どう言うこと?
「こっちから、謹慎しますって言って来たの。」
ポカンとする萱島家一同に、蓮母が笑う。
「あの田丸?とか言う教師。ああ言うエセ正義感野郎は懐柔しやすくて助かるわ。
ちょっと涙流して、『仕事ばかりで子供に寂しい思いをさせた私の責任なんです…。先生のおかげで親子関係を修復できるチャンスかもしれません。』
って言ってやったら嬉しそうにしてたもの。」
流石は蓮母。
鬼丸の偏った正義感を見抜いて、それを上手く擽ったらしい。
「親子で話し合うために謹慎させますって言ったら、『謹慎』って単語に反応して満足そうだったけど。自主的にだから蓮の経歴には何も傷付かないのよね。多分、今頃気付いて悔しがってるんじゃないかしら。」
そう言ってカラカラ笑う。
この美魔女に不可能なんて無いのである。
「大山先生って方が凄く協力的で、話しをサクサク進めてくれてね。あっと言う間に2週間の自主謹慎って事で解放されたわ。」
大山先生!蓮のために頑張ってくれたんだ!!
「ただ、条件として謹慎中は学校の生徒と連絡を取らないようにって。これ以上騒ぎになると学校側も厳しく対処せざるを得なくなるからってお願いされたの。
だからね、晴ちゃん。気になると思うけど暫く我慢してね?」
「蓮は…?」
「蓮は大丈夫よ。晴ちゃんに伝言。
『学校休めてラッキーだから気にすんな』って。」
その言葉に、泣きたいような笑いたいような気分になる。
「もうっ!蓮は…本当に蓮だよなぁ。」
強くて冷静でカッコイイ俺の幼馴染。
だけど、傷付かない訳じゃない。
悔しさだって絶対にあるはずだ。
それを上手に隠して俺を助けたくれたーー。
「そんな訳だから、親子の中を深めるために帰るわ!久しぶりに料理の腕を奮っちゃおうかしら♡」
…蓮母、またキッチンで爆発起こさないでね。
俺は蓮母を見送るために家の外に出た。
そこにはベンツが停まってて、蓮父の秘書の人がペコリと会釈してる。
「車だからここで大丈夫よ!晴ちゃん、ゆっくり休むのよ?」
「ん。蓮母にお願い。これ蓮に渡してくれる?」
俺はいつも首から下げてるそれを蓮母に渡す。
「御守り?…あら?…あぁそう言う事か。」
それを触ってた蓮母が何かに気付いた顔をする。
「どしたの?」
「ううん。何でもないわ。蓮に渡すわね。」
「お願いね。本当は俺が蓮と一緒にいたいけど…せめて俺の分身連れてって。
コイツ、中学からずっと俺と一緒なんだよ。」
御守りに対してコイツは不敬かもなんだけど、肌身離さず付けてると俺の一部がこの中に入ってるような気持ちになる。
実は俺、蓮と離れる決意をしてからもずっとこれだけは身に付けてた。
や、ほら!だって手放すと災が起きるって言われたし!
今回は手放すんじゃなくて一時的に預けるだけだからきっと大丈夫だろう。
買ってくれたの蓮だし、コイツもきっと理解してくれる筈だ。
御守りに対してちょっとイタイ愛着を抱く俺を、蓮母がガバッと抱き締めてくる。
「あぁ!可愛い!いい子!なんでその可愛さの100分の1でも蓮は持ち合わせてないのかしら。」
ぶつぶつ言いながら蓮母は俺を離すと、ベンツの後部座席をチラリと見た。
スモークが貼られた窓が少しだけ空いてるけど、中は全く見えない。
「おやすみ晴ちゃん♡」
蓮母が助手席に乗り込むと、ベンツは切藤家へ向けて走り出した。
それを見送りながら、俺は決意を固くする。
犯人を突き止めるために、まず俺がやるべき事をーーーー。
そして、学校中が蓮の噂で持ちきりの今日に至る。
蓮が自主謹慎してる事は何処かから漏れていて、既に周知の事実だ。
(後から知ったんだけど、鬼丸が職員室で喚いてるのを朝早く来た生徒が聞いてたんだって。)
俺は俺のやるべき事のために、自分のクラスではなく別棟に足を向ける。
正直、明らかに自分を嫌ってる相手の元に向かうのは気が重い。
話しかけた所で、どんな言葉が返って来るのか。
また傷付くかもしれない。
だけど、ここは絶対に引けないんだ。
だって、だってさーーー。
脳裏に浮かぶのは蓮の顔。
よし!行くぞ!!
気合を入れて、俺はドアを開ける。
特進クラスのメンバーが訝し気にこっちを見る中、俺の目は目的の人物を捉えた。
輝くミルクティー色。
だけど、その顔色は酷く悪い。
「相川さん、話しがあるんだけどいい?」
目の前に立った俺に、彼女の目が大きく見開かれた。
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後部座席に、きっといた笑
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