【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

文字の大きさ
74 / 262
高校生編side晴人 守る為に闘う事と事件の決着

58.勇気を出せ!

しおりを挟む
「ねぇ!聞いた?蓮様が、謹慎になったって!」

「学校側…ってか鬼丸は退学にしようとしてたらしいぜ!」

「それが自主謹慎って…鬼丸完敗じゃん!
ざまぁ!!」


学校は朝から蓮の話題で大盛り上がりだ。







昨日、夜遅い時間になって蓮母が我が家を訪ねて来た。

そこで俺は改めて事件の経緯を、蓮母と父さん母さんに説明した。

父さん達は驚いてたけど、俺の潔白も蓮の潔白も当然のように信じてくれて、学校に抗議するって言ってくれたんだよね。

「それはもう私がして来たから大丈夫よ。
やたら蓮を退学にしたがってたけどね。」

「蓮はどうなったの⁉︎」

苦笑する蓮母に、俺は慌てて聞く。

「自主的に謹慎する事になったわ。」

へ?自主的?どう言うこと?

「こっちから、謹慎しますって言って来たの。」

ポカンとする萱島家一同に、蓮母が笑う。

「あの田丸?とか言う教師。ああ言うエセ正義感野郎は懐柔しやすくて助かるわ。
ちょっと涙流して、『仕事ばかりで子供に寂しい思いをさせた私の責任なんです…。先生のおかげで親子関係を修復できるチャンスかもしれません。』
って言ってやったら嬉しそうにしてたもの。」

流石は蓮母。
鬼丸の偏った正義感を見抜いて、それを上手く擽ったらしい。

「親子で話し合うために謹慎させますって言ったら、『謹慎』って単語に反応して満足そうだったけど。自主的にだから蓮の経歴には何も傷付かないのよね。多分、今頃気付いて悔しがってるんじゃないかしら。」

そう言ってカラカラ笑う。
この美魔女に不可能なんて無いのである。

「大山先生って方が凄く協力的で、話しをサクサク進めてくれてね。あっと言う間に2週間の自主謹慎って事で解放されたわ。」

大山先生!蓮のために頑張ってくれたんだ!!

「ただ、条件として謹慎中は学校の生徒と連絡を取らないようにって。これ以上騒ぎになると学校側も厳しく対処せざるを得なくなるからってお願いされたの。
だからね、晴ちゃん。気になると思うけど暫く我慢してね?」

「蓮は…?」

「蓮は大丈夫よ。晴ちゃんに伝言。
『学校休めてラッキーだから気にすんな』って。」

その言葉に、泣きたいような笑いたいような気分になる。

「もうっ!蓮は…本当に蓮だよなぁ。」

強くて冷静でカッコイイ俺の幼馴染。

だけど、傷付かない訳じゃない。
悔しさだって絶対にあるはずだ。

それを上手に隠して俺を助けたくれたーー。


「そんな訳だから、ために帰るわ!久しぶりに料理の腕を奮っちゃおうかしら♡」

…蓮母、キッチンで爆発起こさないでね。


俺は蓮母を見送るために家の外に出た。
そこにはベンツが停まってて、蓮父の秘書の人がペコリと会釈してる。

「車だからここで大丈夫よ!晴ちゃん、ゆっくり休むのよ?」

「ん。蓮母にお願い。これ蓮に渡してくれる?」

俺はいつも首から下げてるを蓮母に渡す。

「御守り?…あら?…あぁそう言う事か。」

それを触ってた蓮母が何かに気付いた顔をする。

「どしたの?」

「ううん。何でもないわ。蓮に渡すわね。」

「お願いね。本当は俺が蓮と一緒にいたいけど…せめて俺の分身連れてって。
コイツ、中学からずっと俺と一緒なんだよ。」

御守りに対してコイツは不敬かもなんだけど、肌身離さず付けてると俺の一部がこの中に入ってるような気持ちになる。

実は俺、蓮と離れる決意をしてからもずっとこれだけは身に付けてた。

や、ほら!だって手放すと災が起きるって言われたし!

今回は手放すんじゃなくて一時的に預けるだけだからきっと大丈夫だろう。
買ってくれたの蓮だし、コイツもきっと理解してくれる筈だ。

御守りに対してちょっとイタイ愛着を抱く俺を、蓮母がガバッと抱き締めてくる。

「あぁ!可愛い!いい子!なんでその可愛さの100分の1でも蓮は持ち合わせてないのかしら。」

ぶつぶつ言いながら蓮母は俺を離すと、ベンツの後部座席をチラリと見た。

スモークが貼られた窓が少しだけ空いてるけど、中は全く見えない。

「おやすみ晴ちゃん♡」

蓮母が助手席に乗り込むと、ベンツは切藤家へ向けて走り出した。



それを見送りながら、俺は決意を固くする。

犯人を突き止めるために、まず俺がやるべき事をーーーー。








そして、学校中が蓮の噂で持ちきりの今日に至る。

蓮が自主謹慎してる事は何処かから漏れていて、既に周知の事実だ。

(後から知ったんだけど、鬼丸が職員室で喚いてるのを朝早く来た生徒が聞いてたんだって。)


俺は俺のやるべき事のために、自分のクラスではなく別棟に足を向ける。

正直、明らかに自分を嫌ってる相手の元に向かうのは気が重い。
話しかけた所で、どんな言葉が返って来るのか。

また傷付くかもしれない。


だけど、ここは絶対に引けないんだ。

だって、だってさーーー。

脳裏に浮かぶのは蓮の顔。



よし!行くぞ!!


気合を入れて、俺はドアを開ける。


特進クラスのメンバーが訝し気にこっちを見る中、俺の目は目的の人物を捉えた。

輝くミルクティー色。

だけど、その顔色は酷く悪い。


「相川さん、話しがあるんだけどいい?」



目の前に立った俺に、彼女の目が大きく見開かれた。




●●●
後部座席に、きっといた笑























しおりを挟む
感想 100

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

だって、君は210日のポラリス

大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺 モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。 一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、 突然人生の岐路に立たされた。 ――立春から210日、夏休みの終わる頃。 それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて―― 📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。  15,000字程度の予定です。

昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する

子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき 「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。 そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。 背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。 結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。 「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」 誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。 叶わない恋だってわかってる。 それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。 君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

両片思いの幼馴染

kouta
BL
密かに恋をしていた幼馴染から自分が嫌われていることを知って距離を取ろうとする受けと受けの突然の変化に気づいて苛々が止まらない攻めの両片思いから始まる物語。 くっついた後も色々とすれ違いながら最終的にはいつもイチャイチャしています。 めちゃくちゃハッピーエンドです。

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

処理中です...