【番外編更新中】桜の記憶 幼馴染は俺の事が好きらしい。…2番目に。

あさひてまり

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高校生編side晴人 たくさんの初めてを君と

93.修学旅行始まり

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「ボンジュール!!」

って事でやって参りました修学旅行!

俺にとっては祖父母の家に遊びに行くのも兼ねてて(自由行動の時会いに行く)それも楽しみ!



まず1日目と2日目はガッツリ観光だった。

凱旋門とかベルサイユ宮殿、ルーブル美術館なんかの有名スポットを観光バスで巡って。

3日目は現地の高校生とフランス語で交流。

俺達のグループに来た子が日本のアニメオタクで、
言葉は通じなくても必殺技とかで大いに盛り上がった。

チラッと見えた特進クラスの方では、フランス語を操る蓮に熱い視線が…。

フランス人にも大モテなのかよ。

腕を絡められたりボディタッチされてる光景にモヤモヤする。

観光バスに戻る時にその直ぐ側を通ったんだけど、蓮とバッチリ目が合ったのに逸らしちゃった。

そのままさっさとバスに乗り込んで。


啓太の話だと、蓮が歩き去った何事かフランス語で言ったら周りが『オー!!』みたいな反応して解放されてたそうな。

…蓮よ、一体何を言った?


特進とは宿泊先ホテルのフロアが違うからその後は会う事もなく。

謎を残したまま夜は更けていった。



そして、4日目は自由行動。

俺は蓮と啓太とサッキーの4人でお土産を買ったりする予定だ。


昨日のモヤモヤは、前に蓮のバイト先で感じたのと同じ嫉妬だって分かってる。

蓮がモテるのは今に始まった事じゃないから、気にしてたらキリがないって事も。

だから大人に対応を自分に言い聞かせて。



そもそも俺は何だかんだと返事をせずにいる訳で。

タイミングとか色々あったのは本当だけど…蓮の誕生日を機に、根本的な原因に思い至った。


『蓮が俺と付き合ったら、どれだけの人が泣くんだろう』
 

ファンの中には蓮を恋愛対象として好きな子だって当然いる。


周りの事ばっかり考えるのは良くないんだけどさ。


どうしても思い出しちゃうんだ。


蓮と遥が付き合ってるって知った時の事を。


気持ちを押し込めてギチギチに縛り付けて。

一生出てこないように鍵をかけた時の苦しさ。

そんな思いをする人が、きっと沢山出てくる。



多分、俺の心のどこかにはずっとそれがあって。

だから返事を先延ばしにしてるんだ。


とんだヘタレだよなぁ。自分でも呆れてる。




ただ、とにかく今は昨日の事は気にしてないってスタンスを貫く所存だ。

朝一で「昨日のあれは…」って言って来た蓮に「大丈夫。気にしてないから。」って答えられた。

冷静に、余裕のある大人の対応が取れてるはず。





なのに…何で???



「晴、後ろ跳ねてる。」(直してくれる)
「晴、重くないか?」(買った物持とうとする)
「晴、アイス食う?」(買ってくれる)


蓮が凄い構ってくるんだけども。

啓太もサッキーもニヤニヤしてないで何か言ってよぉ!







●(side啓太)●

あの切藤が、晴人にそっけなくされて焦ってる。

昨日、囲まれてベタベタ触られてたもんなぁ。



『晴!』

焦ったように声を上げる切藤に構わずバスに乗り込んでしまった晴人。

追いかけようとして人の波に阻まれた切藤は、晴人の背中を指差してフランス語で何か言った。

すると周りが『オーッ!!』みたいに沸いて、拍手まで聞こえて。

良く分からないが解放された切藤を見届けた所で俺もバスに乗った。

チラリと振り返ると視線が絡む。

まぁ、できる限りのフォローはしてやるよ。

そう思って、目撃した一部始終を晴人に話した。

『へぇ。蓮、周りに何言ったんだろうな?…まぁいいや。
啓太、さっきのアニオタ君がお菓子くれたんだけど食べる?』

その言葉に『この話しは終わりね!』の気配を感じ取って、それ以上言うのは諦めた。

すまん、切藤。

と言うか、他には誰一人お菓子なんか貰ってないぞ?

無自覚の可愛がられ体質は海外でも健在か。


俺は少し切藤に同情したのだった。








●side黒崎●
やっべぇ超ウケる!

昨日の交流会終わりから、どうも蓮の機嫌がよろしくないなって思ってたんだよ。

原因はやっぱり晴人くん絡みだった訳だ。

しかもさ、朝一で弁解しようとした蓮に対しての晴人君の台詞。

『大丈夫。気にしてないから。』って。

それは言葉通りなら『どうでもいい』、言葉通りじゃなければ『怒ってる』に取れるよね。

いつもより少し素気ない程度なんだけど、晴人君のそれは蓮には効果抜群らしい。

おまえ誰?って感じで笑いを噛み殺すのが大変。

晴人君のご機嫌を取る様子を『蓮様ファン』に見せてやりたいよ。

普段のクールさなんか欠片も無いんだから!

あ、でも表情は変わん無いから、他人から見たら全然違いが分かんないのか。


『魔王』なんて言われる圧倒的存在の蓮が、晴人君といる時は普通の高校生になる。

それは凄くいい事だと思うんだ。

ほら、今だって。

『サッキーこれ見て!』

撫で回したくなるような笑顔を俺に向ける晴人君。

と同時にチリチリした圧を感じる。

今日自分は一度も向けてもらえてない笑顔を、俺が享受してる事が気に入らないんだろ?

いつもの無関心はどこいったんだよ!




まぁでも、そろそろ一肌脱いでやるかな。

『晴人君、俺達あっち見てくるね!』

『え?』

啓太君を拉致ってその場から離れた俺って本当、友達思いのいい奴。









●side晴人●
去って行く二人と入れ替わりに蓮が側に来た。

「2人はあっちの方見に行くって。俺達も行く?」

「…いや。憲人さんが好きそうなの見付けた。」

そう言うと俺の手を引いて歩き出した。

それは、作家さんがその場で絵付けしてる豆皿。

「絶対好きなやつ!」

チョイスのドンピシャ具合に思わず笑っちゃった。

「お土産これに決まり!タオルとかで包めば割れないよね?……蓮?」

蓮を見上げると、何だかホッとした顔をしてる。

クシャッと髪を撫でられて、頬を触られて。

「どしたの?」

「何でも。俺も買ってく、フランス語のお礼に。」

二人で相談しながらお皿を選んだ。

『✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎?』

お金を払うと作家さんが話しかけて来て、蓮がフランス語で対応する。

『✳︎✳︎✳︎!✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎!』

何やら嬉しそうな作家さんが、お皿を2枚追加してくれた。

「蓮?」

「記念にくれるって。」

それは、掌サイズの綺麗なお皿。

「日本の桜イメージしたんだってよ。」

「へぇ!日本人だって言ったの?」

「まぁそんな感じ。」

「そっか。見る度に今日二人でここに来た事思い出しそうだな!」


思い出の品ができて喜んでると…


チュッ


へ?頬にキスしました?

「…ッ蓮!」

「大丈夫。ここフランスだから。」

確かに愛に寛容な国だけど!
作家さんは後ろ向いてたけど!

ボッと赤面する俺を見て蓮が笑う。


蓮が包みを受け取って店を出てから気が付いた。

あ、ずっと手繋ぎっぱなしだったじゃん…!


向こうから啓太達が歩いて来るのが見える。

「蓮、啓太達来るから手…。」

そう言うと、蓮は渋々って感じで手を離す。

自分から言ったくせに、無くなった体温が寂しい。

「蓮、片っぽ貸して?」

蓮が持ってくれてる紙袋の持ち手を一つ貰う。

二人で一緒に持つと繋がってる感があってちょっと幸せだ。

ヘラリと笑うと…

「ス、ストップ!」

またキスされそうになって手で遮った。

「チッ」

「ふはっ。あはは!」

何だかおかしくて笑ってしまった。

何だかんだ蓮も楽しそうだから良し。



考える事はあるけどさ、今はこの時を楽しんだっていいよね!






●side帰って来た2人●

『すげぇ機嫌良くなってんじゃん。』
『晴人、お前がナンバーワンだ。』








●●●
今回は3視点でお送りしました。
啓太はドラゴンボー○好き。笑




































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