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解決編
3.
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(side晴人)
「……は?」
低い、それはもう低い蓮の声に身を縮める。
ダイニングで向かい合うその顔は完全な無表情。
これは、蓮がかなり不機嫌な証拠。
「だ、だから…バイトを増やす事に決まりまして…。」
その迫力にビビって、つい敬語になってしまう。
「『決まりまして』じゃねぇよ。断れ。」
「明日から行くって店長に言っちゃったから、今更断るなんて無理!」
「勉強しろって親に止められたとでも言えば諦めんだろ。こっちは学生だし。」
今すぐ電話しろとでも言うように俺のスマホをコツコツ叩く蓮。
「言ったじゃん、店長が大変なんだってば。」
「だから?別にお前が引き受ける必要ねぇだろ。」
いやいや、17連勤なんてヤバすぎるじゃん。
そう言ってるのに、蓮の表情は全く変わらない。
「お前である必要がねぇだろって言ってんの。他の人間だっていんだろーが。」
「だって、パートさん達は子供がいるから土日とか夜は無理だし…。」
「子供ったって、高校生の親もいんだろ?土日いないぐらい平気だろ。」
俺が過去に話したパートさんの情報をしっかり覚えていらっしゃる…。
こう言う時、蓮の記憶力の良さが恨めしい。
「その店長の話しだと、他の人間には一切確認してねぇんだよな?まず全員に確認すべきなんじゃね。晴がその全部を負担すんのおかしいだろ。」
「いや、でも1番身軽なの学生の俺だし…。」
「そもそもお前は週3日平日のみ21時までって契約だろ。ご丁寧に契約書まで書かされてただろーが。それで言えば、子持ちパートだろうが学生だろうが条件は変わんねぇよ。」
いや、そうだけどさぁ。
「大体な、従業員が足りねぇなら何とかすんのは会社側だから。個人店ならともかく、大手チェーンだろ?バイトが辞めたら店回んなくなるような管理体制が問題なんだよ。」
「で、でもさ!自分のバイト先が大変なら協力するのは普通じゃない?」
「だからって、期限も決めずに1人だけ負担するのが正解か?それで何とか店が回るようになったら、今後も増員されなくなると思うけど。後々困るのは晴だろ。」
全てが仰る通りすぎる。
でもさぁ。
「店長、ほんといい人だから助けたいんだって。俺がクレーマーに絡まれてる時に助けてくれたり…」
「正社員が絡まれてるバイト守るのは当たり前だから。」
蓮の言う事はいちいち尤もだけどさ、こう言うのって理屈じゃなくない?
「お世話になってるバイト先が大変なら手伝うって、そんなに責められる事?」
「別に責めてねーだろ。後先考えずに感情だけで安請け合いすんなって話し。」
そう言われてカチンときた。
「蓮は冷たいよな。皆んながそんな考えじゃ、職場なんて上手く回っていかないじゃん。」
「いや、だから…。」
「蓮が何と言おうと、土日も平日夜もバイトするから!」
意地になってきた俺はそう宣言した。
鼻息も荒く自分の部屋に戻ろうとする腕を掴まれる。
「待て、話し終わってねーから。」
「俺は終わったし!」
「終わってねぇよ。だいたいなぁ、夜はお前…」
何か言い淀んだ蓮が黙ってしまって、気まずい沈黙が流れる。
「蓮が心配してる事は分かった。店長には期間限定ってちゃんと伝えて、それまでに新しいバイト雇ってもらうように言っとく。
他に出れる人がいないのかも確認してもらう。」
俺が店側の言いなりになるのを気にしてる蓮に、キッパリと伝える。
それから、これも大事だよな。
「課題もちゃんとやるし、家事もしっかりやる。
って言うか、飯はバイト先で食ってくる事になるから各自にしようぜ。それ以外の家事は分担しよ。」
俺が作る事が多かった料理だけど、元々どっちがやるって明確に決めてた訳じゃない。
スーパーもデパ地下もすぐ近くにあるから、暫くの間食事は各々で用意するようにしたって大丈夫だ。
むしろ、俺の料理よりそっちの方が断然美味いと思う。
蓮は何を作っても褒めてくれるけど…それこそ、柔らかすぎてフライパンの中で倍に広がったフニャフニャのハンバーグですら完食してくれたけど…正直自分でも微妙だなって思う事、結構あるし。
あれ?
今まで『料理が1番時間も労力もかかるから』って蓮の言葉に甘えて他の家事は任せてたけど…これって全然平等じゃないのでは?
好きなだけで決して上手くない俺の料理と、他のほぼ全ての家事がトントンな訳なくない?
確かに時間はかかるけど、それは俺がモタモタしてるからだし…。
なんて事だ!
半年が経った今になって、やっと気付くなんて!
『蓮君は晴に甘いから怒らないでしょ。』
同棲前に父さんが心配してた事が現実になってしまった。
うぅ…ごめん、蓮。
あ!でもそれなら尚更、バイト増やすのはいい事なのでは?
俺の頭に妙案が浮かぶ。
普段はホールの担当だけど、土日はキッチンの方も手伝って欲しいって店長に言われた。
人が足りないとは言えお客さんが捌ける時間帯はあるから、キッチンの人に調理を教えて貰えるかもしれない。
そうすれば、ちゃんと原型を保ったハンバーグを蓮に作ってあげられるかも…!
よし、それまで料理は封印だ。
もう少しマシな腕前になってから改めて家事の配分を決めよう。
その間、蓮が今までやってくれてた家事を分担すれば蓮の負担は減るし。
何より…自由な時間も増えるし…。
この夏休みに啓太達と会った時の事を思い返す。
啓太とサッキーを俺達の家に招いて(2人共マンションの豪華さにドン引きしてたけど)楽しく過ごした後、サッキーと蓮は一緒に出掛けて行った。
って言うのも、県外で暮らすサッキーが、こっちの親友に会いたいって事で。
因みに蓮は『恩人でしょ』って言うサッキーの言葉に渋々付いて行った感じだったけど…恩人って何だろ?
まぁとにかく、俺と啓太は2人と別行動になった。
それでね、俺達の方のミッションはと言うと…。
『こんにちは、初めてまして。』
ほんわかした、可愛らしい女の子とカフェで待ち合わせ。
恥じらうようなその様子に、思わず顔がニヤけてしまう。
だって、
だって、、、
本当に啓太とお似合いなんだもん!
紹介された啓太の彼女、菜々ちゃんは凄く良い子だった。
2人は同じ大学の同じ学部らしい。
ずっと優しい目で恋人を見る親友の様子が新鮮で嬉しくて、終始和やかに時間が過ぎて。
話の流れで2人の大学の医学部…つまり、蓮の学部の話になった。
『理系とはキャンパスが違うから聞いた話しなんだけど、本当に大変みたい。
私の友達が医学部なんだけどね、課題の他に先輩達との交流会が沢山あるんだって。
将来の為に縦の繋がりが大切だから、なるべく出席してるって言ってたよ。』
『へぇ、同じ大学でも俺達文系とは全然違うんだなぁ。』なんて言う啓太に相槌を打ちながら、俺はあれ?と思った。
蓮って、そう言うの全然参加してなくない?
俺のバイトが無い時は一緒に帰るか放課後デート。
俺のバイトが有る時は、帰ると必ず家で蓮が迎えてくれる。
土日はずっと家に籠って(イチャイチャして)るか、デート。
…待て待て、どこのバカップルだよ。
も、もしかして…。
蓮がそう言うのに参加しないのって、俺が蓮にベッタリだから…なのでは…?
その後、啓太達とどんな話しをしたのかあんまり覚えてない。
家に帰って1人になった俺は、悶々と考える。
蓮は元々人と集まるのとか好きじゃないけど、いざその場になれば誰とでも話せる事を俺は知ってる。
高校の特進クラスがいい例だ。
決して口数が多い方じゃ無いのに、クラスは常にその一言で回っていた。
どうしても人の集まりが苦手とか苦痛なら無理しない方がいいけど、蓮はそうじゃない。
それなら、交流会って参加した方がいい筈だよね。
だって、将来の為に必要な事なんだろ?
蓮が就職して、医者としてやって行く為になる事なら、それは凄く大事なこと。
それを、俺の所為でふいにするなんて絶対ダメだよな…。
そう思いながらも、ずるずると今日までその話しをできなかったのは俺の狡さのせいだ。
だって、蓮と離れてる時間が増えるのは寂しいから。
…なんて俺がそんな態度だから、蓮は交流会の事とか言い辛かったのかも。
あぁ、俺のバカ!
蓮にも付き合いがあるんだし、離れてる時間だって必要じゃん!
我儘ばっか言ってたら、愛想尽かされるかも!
店長の話を聞いた時は半ば勢いだったけど、どこかにそんな思いもあって即決した。
人助けって正当な理由がないと、いつまでもこの状態から抜け出せないと思ったから。
勿論、店長と店を助けたい気持ちは本当だけどね。
だけどこんな依存してるみたいな事、蓮には言えない。
だから、なんて事ないように伝えないと。
「そしたら蓮も自由な時間増えるだろ?
友達とか…先輩とかと飯でも行って来なよ。
蓮がいなくても俺は大丈夫だし…な!」
本音を言えば、家に帰って蓮がいないってきっと凄い寂しいけど…こうでも言わなきゃ、蓮は俺を心配して早めに帰って来ると思う。
それじゃあダメだから、笑顔で言った。
だけど…。
『なら、交流会とか顔出そうかな』なんて、安心して微笑んでくれると思ってた予想は裏切られた。
俺を見下ろす蓮は、酷く無表情で。
「えっ…と?じゃあ、家事の分担決める?」
「…いや、いい。家事はテキトーに気付いた方がやれろうぜ。」
混乱しながらも明るい声を出す俺に、蓮は背を向けた。
「課題やるわ。」
それだけ言うと、自分の部屋に入ってしまう。
何か…思った反応と違った…。
それに、ほんの一瞬。
無表情に俺を見つめる瞳に、痛みのようなものを見た気がして。
心がザワザワして、落ち着かない。
閉まった蓮の部屋のドアを見つめながら、暫くその場から動けなかった。
●●●
黒崎の親友で蓮の恩人は、勿論カンナちゃんの事です。笑
前話で、side晴人71話と記載する所を、間違えて73話としてしまいました!
訂正前に読んでいただいた方、全然違う話しに導いてしまって申し訳ないです💦
71話「またね」が正しいです!
間違い防止のため、今後はタイトルも書くようにしますね💦
理系との言い合いってこんな感じよな。
理論vs感情になって論破されがち。
感情派の「もういい!」で終わりがち。笑
啓太に彼女ができましたー!初彼女です!
おめでとう!!
この回以外での登場は無さそうですが、菜々ちゃんは偏差値高い系天然と言う最強女子。
啓太、絶対にいい彼氏すぎる。
誰かと違って心も広いし。笑
「……は?」
低い、それはもう低い蓮の声に身を縮める。
ダイニングで向かい合うその顔は完全な無表情。
これは、蓮がかなり不機嫌な証拠。
「だ、だから…バイトを増やす事に決まりまして…。」
その迫力にビビって、つい敬語になってしまう。
「『決まりまして』じゃねぇよ。断れ。」
「明日から行くって店長に言っちゃったから、今更断るなんて無理!」
「勉強しろって親に止められたとでも言えば諦めんだろ。こっちは学生だし。」
今すぐ電話しろとでも言うように俺のスマホをコツコツ叩く蓮。
「言ったじゃん、店長が大変なんだってば。」
「だから?別にお前が引き受ける必要ねぇだろ。」
いやいや、17連勤なんてヤバすぎるじゃん。
そう言ってるのに、蓮の表情は全く変わらない。
「お前である必要がねぇだろって言ってんの。他の人間だっていんだろーが。」
「だって、パートさん達は子供がいるから土日とか夜は無理だし…。」
「子供ったって、高校生の親もいんだろ?土日いないぐらい平気だろ。」
俺が過去に話したパートさんの情報をしっかり覚えていらっしゃる…。
こう言う時、蓮の記憶力の良さが恨めしい。
「その店長の話しだと、他の人間には一切確認してねぇんだよな?まず全員に確認すべきなんじゃね。晴がその全部を負担すんのおかしいだろ。」
「いや、でも1番身軽なの学生の俺だし…。」
「そもそもお前は週3日平日のみ21時までって契約だろ。ご丁寧に契約書まで書かされてただろーが。それで言えば、子持ちパートだろうが学生だろうが条件は変わんねぇよ。」
いや、そうだけどさぁ。
「大体な、従業員が足りねぇなら何とかすんのは会社側だから。個人店ならともかく、大手チェーンだろ?バイトが辞めたら店回んなくなるような管理体制が問題なんだよ。」
「で、でもさ!自分のバイト先が大変なら協力するのは普通じゃない?」
「だからって、期限も決めずに1人だけ負担するのが正解か?それで何とか店が回るようになったら、今後も増員されなくなると思うけど。後々困るのは晴だろ。」
全てが仰る通りすぎる。
でもさぁ。
「店長、ほんといい人だから助けたいんだって。俺がクレーマーに絡まれてる時に助けてくれたり…」
「正社員が絡まれてるバイト守るのは当たり前だから。」
蓮の言う事はいちいち尤もだけどさ、こう言うのって理屈じゃなくない?
「お世話になってるバイト先が大変なら手伝うって、そんなに責められる事?」
「別に責めてねーだろ。後先考えずに感情だけで安請け合いすんなって話し。」
そう言われてカチンときた。
「蓮は冷たいよな。皆んながそんな考えじゃ、職場なんて上手く回っていかないじゃん。」
「いや、だから…。」
「蓮が何と言おうと、土日も平日夜もバイトするから!」
意地になってきた俺はそう宣言した。
鼻息も荒く自分の部屋に戻ろうとする腕を掴まれる。
「待て、話し終わってねーから。」
「俺は終わったし!」
「終わってねぇよ。だいたいなぁ、夜はお前…」
何か言い淀んだ蓮が黙ってしまって、気まずい沈黙が流れる。
「蓮が心配してる事は分かった。店長には期間限定ってちゃんと伝えて、それまでに新しいバイト雇ってもらうように言っとく。
他に出れる人がいないのかも確認してもらう。」
俺が店側の言いなりになるのを気にしてる蓮に、キッパリと伝える。
それから、これも大事だよな。
「課題もちゃんとやるし、家事もしっかりやる。
って言うか、飯はバイト先で食ってくる事になるから各自にしようぜ。それ以外の家事は分担しよ。」
俺が作る事が多かった料理だけど、元々どっちがやるって明確に決めてた訳じゃない。
スーパーもデパ地下もすぐ近くにあるから、暫くの間食事は各々で用意するようにしたって大丈夫だ。
むしろ、俺の料理よりそっちの方が断然美味いと思う。
蓮は何を作っても褒めてくれるけど…それこそ、柔らかすぎてフライパンの中で倍に広がったフニャフニャのハンバーグですら完食してくれたけど…正直自分でも微妙だなって思う事、結構あるし。
あれ?
今まで『料理が1番時間も労力もかかるから』って蓮の言葉に甘えて他の家事は任せてたけど…これって全然平等じゃないのでは?
好きなだけで決して上手くない俺の料理と、他のほぼ全ての家事がトントンな訳なくない?
確かに時間はかかるけど、それは俺がモタモタしてるからだし…。
なんて事だ!
半年が経った今になって、やっと気付くなんて!
『蓮君は晴に甘いから怒らないでしょ。』
同棲前に父さんが心配してた事が現実になってしまった。
うぅ…ごめん、蓮。
あ!でもそれなら尚更、バイト増やすのはいい事なのでは?
俺の頭に妙案が浮かぶ。
普段はホールの担当だけど、土日はキッチンの方も手伝って欲しいって店長に言われた。
人が足りないとは言えお客さんが捌ける時間帯はあるから、キッチンの人に調理を教えて貰えるかもしれない。
そうすれば、ちゃんと原型を保ったハンバーグを蓮に作ってあげられるかも…!
よし、それまで料理は封印だ。
もう少しマシな腕前になってから改めて家事の配分を決めよう。
その間、蓮が今までやってくれてた家事を分担すれば蓮の負担は減るし。
何より…自由な時間も増えるし…。
この夏休みに啓太達と会った時の事を思い返す。
啓太とサッキーを俺達の家に招いて(2人共マンションの豪華さにドン引きしてたけど)楽しく過ごした後、サッキーと蓮は一緒に出掛けて行った。
って言うのも、県外で暮らすサッキーが、こっちの親友に会いたいって事で。
因みに蓮は『恩人でしょ』って言うサッキーの言葉に渋々付いて行った感じだったけど…恩人って何だろ?
まぁとにかく、俺と啓太は2人と別行動になった。
それでね、俺達の方のミッションはと言うと…。
『こんにちは、初めてまして。』
ほんわかした、可愛らしい女の子とカフェで待ち合わせ。
恥じらうようなその様子に、思わず顔がニヤけてしまう。
だって、
だって、、、
本当に啓太とお似合いなんだもん!
紹介された啓太の彼女、菜々ちゃんは凄く良い子だった。
2人は同じ大学の同じ学部らしい。
ずっと優しい目で恋人を見る親友の様子が新鮮で嬉しくて、終始和やかに時間が過ぎて。
話の流れで2人の大学の医学部…つまり、蓮の学部の話になった。
『理系とはキャンパスが違うから聞いた話しなんだけど、本当に大変みたい。
私の友達が医学部なんだけどね、課題の他に先輩達との交流会が沢山あるんだって。
将来の為に縦の繋がりが大切だから、なるべく出席してるって言ってたよ。』
『へぇ、同じ大学でも俺達文系とは全然違うんだなぁ。』なんて言う啓太に相槌を打ちながら、俺はあれ?と思った。
蓮って、そう言うの全然参加してなくない?
俺のバイトが無い時は一緒に帰るか放課後デート。
俺のバイトが有る時は、帰ると必ず家で蓮が迎えてくれる。
土日はずっと家に籠って(イチャイチャして)るか、デート。
…待て待て、どこのバカップルだよ。
も、もしかして…。
蓮がそう言うのに参加しないのって、俺が蓮にベッタリだから…なのでは…?
その後、啓太達とどんな話しをしたのかあんまり覚えてない。
家に帰って1人になった俺は、悶々と考える。
蓮は元々人と集まるのとか好きじゃないけど、いざその場になれば誰とでも話せる事を俺は知ってる。
高校の特進クラスがいい例だ。
決して口数が多い方じゃ無いのに、クラスは常にその一言で回っていた。
どうしても人の集まりが苦手とか苦痛なら無理しない方がいいけど、蓮はそうじゃない。
それなら、交流会って参加した方がいい筈だよね。
だって、将来の為に必要な事なんだろ?
蓮が就職して、医者としてやって行く為になる事なら、それは凄く大事なこと。
それを、俺の所為でふいにするなんて絶対ダメだよな…。
そう思いながらも、ずるずると今日までその話しをできなかったのは俺の狡さのせいだ。
だって、蓮と離れてる時間が増えるのは寂しいから。
…なんて俺がそんな態度だから、蓮は交流会の事とか言い辛かったのかも。
あぁ、俺のバカ!
蓮にも付き合いがあるんだし、離れてる時間だって必要じゃん!
我儘ばっか言ってたら、愛想尽かされるかも!
店長の話を聞いた時は半ば勢いだったけど、どこかにそんな思いもあって即決した。
人助けって正当な理由がないと、いつまでもこの状態から抜け出せないと思ったから。
勿論、店長と店を助けたい気持ちは本当だけどね。
だけどこんな依存してるみたいな事、蓮には言えない。
だから、なんて事ないように伝えないと。
「そしたら蓮も自由な時間増えるだろ?
友達とか…先輩とかと飯でも行って来なよ。
蓮がいなくても俺は大丈夫だし…な!」
本音を言えば、家に帰って蓮がいないってきっと凄い寂しいけど…こうでも言わなきゃ、蓮は俺を心配して早めに帰って来ると思う。
それじゃあダメだから、笑顔で言った。
だけど…。
『なら、交流会とか顔出そうかな』なんて、安心して微笑んでくれると思ってた予想は裏切られた。
俺を見下ろす蓮は、酷く無表情で。
「えっ…と?じゃあ、家事の分担決める?」
「…いや、いい。家事はテキトーに気付いた方がやれろうぜ。」
混乱しながらも明るい声を出す俺に、蓮は背を向けた。
「課題やるわ。」
それだけ言うと、自分の部屋に入ってしまう。
何か…思った反応と違った…。
それに、ほんの一瞬。
無表情に俺を見つめる瞳に、痛みのようなものを見た気がして。
心がザワザワして、落ち着かない。
閉まった蓮の部屋のドアを見つめながら、暫くその場から動けなかった。
●●●
黒崎の親友で蓮の恩人は、勿論カンナちゃんの事です。笑
前話で、side晴人71話と記載する所を、間違えて73話としてしまいました!
訂正前に読んでいただいた方、全然違う話しに導いてしまって申し訳ないです💦
71話「またね」が正しいです!
間違い防止のため、今後はタイトルも書くようにしますね💦
理系との言い合いってこんな感じよな。
理論vs感情になって論破されがち。
感情派の「もういい!」で終わりがち。笑
啓太に彼女ができましたー!初彼女です!
おめでとう!!
この回以外での登場は無さそうですが、菜々ちゃんは偏差値高い系天然と言う最強女子。
啓太、絶対にいい彼氏すぎる。
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