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最終章 王国編
和解不可
「レナ、私は貴方の事を誰よりも評価しているわ。追放され、信頼していた人間から命を狙われ、常に魔物に襲われる心配をしながら暮らす人生……それでも貴方は折れずに仲間を集め、遂には私の元まで訪れた。はっきりと断言しましょう、貴方には人を引き寄せる才能、人格、強さを持っている。私と同じようにね」
「最後の一言で褒められている気がしない」
「それは御免なさいね。だけど、貴方と私は似ている気がするの……味方が居ない状況から立ち直れる人間はそうはいない。貴方と私は一人で生き抜く力を持って生まれた」
「生憎と、俺は自分が一人で生きてきたとは思えない。だからあんたとは違うよ」
イレアビトはレナに対して共感をいだいていたが、レナ自身は彼女に対して共感は抱けない。どんなに辛い事が起きてもレナの傍には頼りになる味方が存在し、イレアビトには居なかった。だから自分は違うとはっきりと断言出来た。
レナの返答に対してイレアビトも予想していたのか特に表情を変える事もなく、ミドルに視線を向けて彼を自分の前に立たせる。遂に戦闘を始める気なのかとレナとダインが構えると、イレアビトは玉座から立ち上がってレナと向き合う。
「レナ、一度だけ貴方に聞くわ」
「……何?」
「降伏しなさい、そうすれば私は貴方はもう不安や恐怖を感じさせない人生を生きられる事を約束するわ」
「こ、降伏だって!?」
突拍子もないイレアビトの申し出にレナとダインは驚き、ミドルも呆気に取られた表情を浮かべる。だが、イレアビトは本気で言っているのかミドルを横切ってレナの歩み寄る。その行動にレナとダインは戸惑うが、彼女は両手を上げてレナの前に立つ。
「この距離ならばミドルが動く前に貴方が剣を振って私の命を絶つ事が出来るわね」
「……何のつもりだ?」
「私が嘘を吐いていない事を証明するために必要な行為だと判断した。それだけよ」
「ば、馬鹿を言うなよ!!お前のせいでレナがどれだけ大変な思いをしたと思ってるんだ!!それにレナだけじゃない、皆だって……」
「ダイン」
ダインは杖を構えて何時でも魔法を発動出来る準備を行いながらイレアビトに告げるが、そんなダインをレナは抑え、イレアビトに問い質す。
「本気で言っているのか?」
「本気よ。貴方の力は素晴らしい……それにここで貴方が私に忠誠を誓えば他の人間も自然と従う気がするわ」
「……この城に集まった人間は俺が集めたんじゃない」
「だけど中心人物は貴方よ。私を倒すという目的で集まった人間達は知らず知らずのうちに貴方を心の頼りにしている。そんな存在が私の元へ回った場合はどうなるかしら?裏切り者として罵るか、あるいは貴方の判断を信じて自分も従うか……シズネ当たりは激怒するでしょうけど、きっと貴方の事を信じて私に再び降るでしょうね」
「無茶苦茶だ。だいたい、俺が従っても革命団の人間があんたを許すはずがない」
「許される必要はない、その時は僕が彼等を始末しよう」
レナの言葉にミドルはロンギヌスを握り締めながら返答し、実際に現在の革命団の戦力ではミドルに敵う存在はいない。それにレナ達は知らない事だがこの時点でゴウライもオウネンの仕業で王妃の配下に加わっているため、ミドルとゴウライが動けば革命団の戦力は殲滅出来るだろう。
「レナ、冷静に考えなさい。貴方が私に降れば監禁されているナオやレミアも生き残れるのよ。貴方のお友達の家族も解放してあげる。それに何よりもヨツバ王国で拘束されているマリアも取り返す事を約束しましょう」
「叔母様を解放したら困るのはあんたじゃないのか」
「彼女がどれほど家族愛が強い女性なのかは知っているわ。そして実の姉よりも甥である貴方の事を気にかけている事もね……貴方が私の傍に居る限りはマリアは何も出来ない。それにアイラやナオと共にこの城の中で共に平和に暮らす事が出来るのよ。シオンとリアナには会ったかしら?家族と平和にこの城の中で暮らすのも悪くないわ」
「…………」
「お、おいレナ?」
イレアビトの言葉にレナは黙り込み、そんな彼を心配したようにダインが声を掛けるが、退魔刀を振りぬけば何時でも切り伏せられる距離にいるにも関わらずにレナは動かない。それを見たイレアビトは自分の提案を受け入れる事でどれだけの利益が得られるのかを話す。
「貴方が私の存在を恐れているのは私と敵対しているからよ。別に世界の支配者を目指しているからといっても、私は暴政を行うつもりはない。この王国をどんな国よりも栄えさせる事を約束するわ。貴方が望むなら私の養子として迎え、王太子にしてもいい。私の死後、貴方が国を引き継ぐ事も出来る」
「王太子……」
「どう?不遇職という理不尽な理由で追い出された貴方が王太子として迎え入れられる。そんな人生の好機が訪れているのよ。私の元へ降ればもう職業を理由に馬鹿にされる事もない、家族と共に平和で暮らす事も出来る。何なら貴方の仲間達の面倒も見ましょう。マリアも無事に解放させる事が出来る……どうかしら?」
「……それは確かに魅力的な条件だな」
「レナ!?まさか、本気で言ってるのか!?」
レナの言葉にダインが慌てふためき、退魔刀から手を離したレナはため息を吐きながら腕を下ろす。その様子を見て王妃の後方で何時でも動けるように槍を構えていたミドルは腕を下ろしかけたとき、レナはある事を問う。
「だけど、一つ聞きたいことがある」
「何かしら?」
「あんたの話にはどうして弟が出てこない?あんたの息子は今どうしている?」
「……ああ、そういえばそうね。そんな事を心配していたの?」
自分の息子の存在を指摘されてイレアビトは今思い出したかのような反応を示し、そんな事を気にしているのかとばかりに語りかける。
「貴方を手に入れられればあの子はもう必要ない。何処かの貴族に養子として迎え入れさせるわ……王族の血筋を継いでいる男児は貴方だけになる。これで問題はないでしょう」
「ああ、そうか……よく分かったよ、あんたがどういう人間だって事がね……」
見当違いの返答をしたイレアビトに対してレナは少しでも期待を浮かべた自分が馬鹿らしく感じ、実の親から迫害されたのに自分の子供の存在をまるでどうでもいいかのように扱うイレアビトに対してレナは彼女を睨みつける。その態度にイレアビトは心底理解できないように首を傾げる。
「どうかしたのかしら?貴方にとっては私の子供なんてどうでもいい存在ではないのかしら。むしろ、存在する方が都合の悪い存在じゃないの?」
「あんたの息子だろ……自分の実の子供だろうがっ」
「私の子供達はリク達だけで充分よ」
「な、何言ってんだよあんた……!?」
「王妃様……」
イレアビトの言葉にレナは歯を食いしばり、ダインは信じられない表情を浮かべ、ミドルでさえも表情を歪ませる。実の子供に対してここまで無関心を貫くイレアビトの態度にレナは無性の怒りを抱き、一度も顔を合わせた事がない異母兄弟に対して同情さえも抱く。
レナは父親から嫌われたのは事実だが、それはレナが不遇職として生まれたからであり、もしも別の職業であれば国王もレナを見捨てる事はなかっただろう。だが、イレアビトの場合はそもそも自分の子供自体に興味を抱いておらず、カゲマルが誘拐した時でさえも攫われた子供を取り返そうともしなかった。
彼女の人生には確かに同情する余地はあり、これまでの行動も自分の信念に従って行動してきたことだと言われれば納得できなくもない。だが、自分が親から迫害されたにも関わらずに自分の子供に対して同じような振る舞いをするイレアビトにレナは彼女の事を信用できない存在だと改めて認識する。
「最後の一言で褒められている気がしない」
「それは御免なさいね。だけど、貴方と私は似ている気がするの……味方が居ない状況から立ち直れる人間はそうはいない。貴方と私は一人で生き抜く力を持って生まれた」
「生憎と、俺は自分が一人で生きてきたとは思えない。だからあんたとは違うよ」
イレアビトはレナに対して共感をいだいていたが、レナ自身は彼女に対して共感は抱けない。どんなに辛い事が起きてもレナの傍には頼りになる味方が存在し、イレアビトには居なかった。だから自分は違うとはっきりと断言出来た。
レナの返答に対してイレアビトも予想していたのか特に表情を変える事もなく、ミドルに視線を向けて彼を自分の前に立たせる。遂に戦闘を始める気なのかとレナとダインが構えると、イレアビトは玉座から立ち上がってレナと向き合う。
「レナ、一度だけ貴方に聞くわ」
「……何?」
「降伏しなさい、そうすれば私は貴方はもう不安や恐怖を感じさせない人生を生きられる事を約束するわ」
「こ、降伏だって!?」
突拍子もないイレアビトの申し出にレナとダインは驚き、ミドルも呆気に取られた表情を浮かべる。だが、イレアビトは本気で言っているのかミドルを横切ってレナの歩み寄る。その行動にレナとダインは戸惑うが、彼女は両手を上げてレナの前に立つ。
「この距離ならばミドルが動く前に貴方が剣を振って私の命を絶つ事が出来るわね」
「……何のつもりだ?」
「私が嘘を吐いていない事を証明するために必要な行為だと判断した。それだけよ」
「ば、馬鹿を言うなよ!!お前のせいでレナがどれだけ大変な思いをしたと思ってるんだ!!それにレナだけじゃない、皆だって……」
「ダイン」
ダインは杖を構えて何時でも魔法を発動出来る準備を行いながらイレアビトに告げるが、そんなダインをレナは抑え、イレアビトに問い質す。
「本気で言っているのか?」
「本気よ。貴方の力は素晴らしい……それにここで貴方が私に忠誠を誓えば他の人間も自然と従う気がするわ」
「……この城に集まった人間は俺が集めたんじゃない」
「だけど中心人物は貴方よ。私を倒すという目的で集まった人間達は知らず知らずのうちに貴方を心の頼りにしている。そんな存在が私の元へ回った場合はどうなるかしら?裏切り者として罵るか、あるいは貴方の判断を信じて自分も従うか……シズネ当たりは激怒するでしょうけど、きっと貴方の事を信じて私に再び降るでしょうね」
「無茶苦茶だ。だいたい、俺が従っても革命団の人間があんたを許すはずがない」
「許される必要はない、その時は僕が彼等を始末しよう」
レナの言葉にミドルはロンギヌスを握り締めながら返答し、実際に現在の革命団の戦力ではミドルに敵う存在はいない。それにレナ達は知らない事だがこの時点でゴウライもオウネンの仕業で王妃の配下に加わっているため、ミドルとゴウライが動けば革命団の戦力は殲滅出来るだろう。
「レナ、冷静に考えなさい。貴方が私に降れば監禁されているナオやレミアも生き残れるのよ。貴方のお友達の家族も解放してあげる。それに何よりもヨツバ王国で拘束されているマリアも取り返す事を約束しましょう」
「叔母様を解放したら困るのはあんたじゃないのか」
「彼女がどれほど家族愛が強い女性なのかは知っているわ。そして実の姉よりも甥である貴方の事を気にかけている事もね……貴方が私の傍に居る限りはマリアは何も出来ない。それにアイラやナオと共にこの城の中で共に平和に暮らす事が出来るのよ。シオンとリアナには会ったかしら?家族と平和にこの城の中で暮らすのも悪くないわ」
「…………」
「お、おいレナ?」
イレアビトの言葉にレナは黙り込み、そんな彼を心配したようにダインが声を掛けるが、退魔刀を振りぬけば何時でも切り伏せられる距離にいるにも関わらずにレナは動かない。それを見たイレアビトは自分の提案を受け入れる事でどれだけの利益が得られるのかを話す。
「貴方が私の存在を恐れているのは私と敵対しているからよ。別に世界の支配者を目指しているからといっても、私は暴政を行うつもりはない。この王国をどんな国よりも栄えさせる事を約束するわ。貴方が望むなら私の養子として迎え、王太子にしてもいい。私の死後、貴方が国を引き継ぐ事も出来る」
「王太子……」
「どう?不遇職という理不尽な理由で追い出された貴方が王太子として迎え入れられる。そんな人生の好機が訪れているのよ。私の元へ降ればもう職業を理由に馬鹿にされる事もない、家族と共に平和で暮らす事も出来る。何なら貴方の仲間達の面倒も見ましょう。マリアも無事に解放させる事が出来る……どうかしら?」
「……それは確かに魅力的な条件だな」
「レナ!?まさか、本気で言ってるのか!?」
レナの言葉にダインが慌てふためき、退魔刀から手を離したレナはため息を吐きながら腕を下ろす。その様子を見て王妃の後方で何時でも動けるように槍を構えていたミドルは腕を下ろしかけたとき、レナはある事を問う。
「だけど、一つ聞きたいことがある」
「何かしら?」
「あんたの話にはどうして弟が出てこない?あんたの息子は今どうしている?」
「……ああ、そういえばそうね。そんな事を心配していたの?」
自分の息子の存在を指摘されてイレアビトは今思い出したかのような反応を示し、そんな事を気にしているのかとばかりに語りかける。
「貴方を手に入れられればあの子はもう必要ない。何処かの貴族に養子として迎え入れさせるわ……王族の血筋を継いでいる男児は貴方だけになる。これで問題はないでしょう」
「ああ、そうか……よく分かったよ、あんたがどういう人間だって事がね……」
見当違いの返答をしたイレアビトに対してレナは少しでも期待を浮かべた自分が馬鹿らしく感じ、実の親から迫害されたのに自分の子供の存在をまるでどうでもいいかのように扱うイレアビトに対してレナは彼女を睨みつける。その態度にイレアビトは心底理解できないように首を傾げる。
「どうかしたのかしら?貴方にとっては私の子供なんてどうでもいい存在ではないのかしら。むしろ、存在する方が都合の悪い存在じゃないの?」
「あんたの息子だろ……自分の実の子供だろうがっ」
「私の子供達はリク達だけで充分よ」
「な、何言ってんだよあんた……!?」
「王妃様……」
イレアビトの言葉にレナは歯を食いしばり、ダインは信じられない表情を浮かべ、ミドルでさえも表情を歪ませる。実の子供に対してここまで無関心を貫くイレアビトの態度にレナは無性の怒りを抱き、一度も顔を合わせた事がない異母兄弟に対して同情さえも抱く。
レナは父親から嫌われたのは事実だが、それはレナが不遇職として生まれたからであり、もしも別の職業であれば国王もレナを見捨てる事はなかっただろう。だが、イレアビトの場合はそもそも自分の子供自体に興味を抱いておらず、カゲマルが誘拐した時でさえも攫われた子供を取り返そうともしなかった。
彼女の人生には確かに同情する余地はあり、これまでの行動も自分の信念に従って行動してきたことだと言われれば納得できなくもない。だが、自分が親から迫害されたにも関わらずに自分の子供に対して同じような振る舞いをするイレアビトにレナは彼女の事を信用できない存在だと改めて認識する。
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