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外伝 ~ヨツバ王国編~
神殿へ
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――古代龍が目覚めてから数時間後、夜明けを迎える前に古代龍は移動を辞めると、地面の中に埋もれて姿を消す。まるで地面の中を水中のように潜り込み、背中に張り付いている岩山だけが地上へ露出させた状態で古代龍は完全に地中の中に姿を消す。
このような行動を古代龍は毎晩のように行い、ダークエルフが暮らす村は魔物の脅威から守られていた。また、古代龍が行きつく先は決まっており、数日後には元の場所に戻る事も多い。日中の間は魔物達も寝静まり、森の中を移動しても襲われる事は滅多にないため、彼等は日中の間に狩猟を行っている。
昨日にレナ達は農作物の類に関しては森の中に魔物達が寄り付かない特殊な場所が存在し、そこで彼等は畑を育てているという話を聞いている。その場所こそがレナ達の目的地でもある「カンナギ」と呼ばれる神殿であり、日が明けると同時にレナはホムラの案内の元で神殿が存在する場所へ向かう。
「本当にお前だけで行く気か?言っておくが、私の手助けを期待するな。王族ではないお前を守る義務はないぞ」
「分かってるって……俺一人で何とかするよ」
「キュロロッ」
「ぷるぷるっ!!」
アインに肩車をしてもらいながらレナはスラミンを頭に乗せ、バイコーンに乗ったホムラの後に続く。彼女の案内で「精霊薬」が保管されているという神殿へ向かい、レナは一人で精霊薬を回収して戻るつもりだった。
最初はティナやコトミンも同行すると告げたが、話を聞く限りでは非常に危険な存在が待ち構えているらしく、二人を連れて行くのは危険だと判断したレナはホムラに頼み込んで一人で向かう事にした。本来ならば王族の護衛役としてホムラは同行する義務があるが、ティナとまだ正式な挙式を上げていないレナをヨツバ王族とは認められず、彼女は案内までで神殿の中にまで一緒に赴く事はつまりはなかった。
「一応は言っておくが、神殿に立ち入ることが許されるのはヨツバ王族だけだ。だからお前は必ずあの王女と結婚してもらう。もしも約束を破れば私がお前を殺すからな」
「怖いなそれ……分かってるよ、ちゃんと責任は取る」
「まあ、あくまでもここにいる間だけヨツバ王族として過ごすだけでもいい。用事を済ませた後、お前がこの国を去る前にあの王女と結婚し、すぐ別れたとしても私には関係ない」
ホムラ曰く、神殿に挑むことが出来るのはヨツバ王族だけであり、レナがティナと結婚している間はヨツバ王族と認める。但し、神殿で用事を終えた後にレナがティナと離婚してヨツバ王族でなくなったとしても彼女にとっては何も問題はなく、要は自分が同行している間だけはヨツバ王族であるならば彼女にとってはどうでもいい事だった。
レナとしてもティナと結婚を決めたのは目的のためであり、それはティナも承知している。だから神殿で用事を終えれば離婚するつもりだった。そもそもこんな形で結婚を決めるなどあってはならない事だと考えており、ティナの方もこんな形でレナと結婚するのは不本意だという。
『レナたんの事は好きだけど……こういう感じで結婚はやっぱり違うと思う。あ、でも結婚した後にやっぱりレナたんが離婚したくないなら離婚しないよ?その時は一緒に暮らして楽しく生活しようね!!』
『私もレナと結婚するなら第二婦人じゃなくて第一婦人がいい』
離婚する事に関してはティナもコトミンも承諾済みであり、レナは二人の返事を聞いて安心する一方、心の中で勿体ない気がした。どちらも美少女と言っても過言ではない容姿をしており、性格も悪くはなく、良い子である。それにレナもバルトロス王国では年齢的にはもう成人しており、結婚を考えてもおかしくはない。
だが、レナが結婚したい相手と言われて最初に思い浮かぶ相手は「1人」だけであり、その人物以外と結婚したい相手を考えろと言われても思いつかない。いつか、彼女以上に愛せる女性が現れるまでレナは結婚をするつもりはなかった。
「…………」
「おい、どうした?急に黙り込むな、殺すぞ」
「いや、何でだよ。そんな簡単に人の命を奪おうとするな」
「冗談だ。それより、もうすぐ辿り着くぞ」
ホムラの下手な冗談に冷や冷やとしながらもレナは前方に視線を向けると、やがて森の中に存在する遺跡を発見する。深淵の森と同様に周囲を防壁で取り囲まれており、魔物の気配が一切しない。恐らくは「腐敗石」や「結界石」の類と同じような効能を持つ魔石が埋め込まれているらしく、遺跡の周辺には魔物が近づけない仕組みだと思われる。
防壁の傍には畑らしき物が確認され、ここでダークエルフたちは農作物を育てているらしく、畑というよりは果樹園のように様々な果物を実らせた植物が広がっていた。果物の中にはヨツバ王国でしか育てられていない種類も多く、ホムラは果物をもぎ取るとバイコーンに食べさせ、ついでにレナ達にも放り投げる。
「お前たちも食べるか?」
「おっと……ありがとう」
「キュロロッ♪」
「ぷるぷるっ♪」
律儀にレナだけではなく、アインとスラミンの分まで果物をホムラは手渡すと、彼女はバイコーンから下りるとここから先は徒歩で移動する事を告げた。
このような行動を古代龍は毎晩のように行い、ダークエルフが暮らす村は魔物の脅威から守られていた。また、古代龍が行きつく先は決まっており、数日後には元の場所に戻る事も多い。日中の間は魔物達も寝静まり、森の中を移動しても襲われる事は滅多にないため、彼等は日中の間に狩猟を行っている。
昨日にレナ達は農作物の類に関しては森の中に魔物達が寄り付かない特殊な場所が存在し、そこで彼等は畑を育てているという話を聞いている。その場所こそがレナ達の目的地でもある「カンナギ」と呼ばれる神殿であり、日が明けると同時にレナはホムラの案内の元で神殿が存在する場所へ向かう。
「本当にお前だけで行く気か?言っておくが、私の手助けを期待するな。王族ではないお前を守る義務はないぞ」
「分かってるって……俺一人で何とかするよ」
「キュロロッ」
「ぷるぷるっ!!」
アインに肩車をしてもらいながらレナはスラミンを頭に乗せ、バイコーンに乗ったホムラの後に続く。彼女の案内で「精霊薬」が保管されているという神殿へ向かい、レナは一人で精霊薬を回収して戻るつもりだった。
最初はティナやコトミンも同行すると告げたが、話を聞く限りでは非常に危険な存在が待ち構えているらしく、二人を連れて行くのは危険だと判断したレナはホムラに頼み込んで一人で向かう事にした。本来ならば王族の護衛役としてホムラは同行する義務があるが、ティナとまだ正式な挙式を上げていないレナをヨツバ王族とは認められず、彼女は案内までで神殿の中にまで一緒に赴く事はつまりはなかった。
「一応は言っておくが、神殿に立ち入ることが許されるのはヨツバ王族だけだ。だからお前は必ずあの王女と結婚してもらう。もしも約束を破れば私がお前を殺すからな」
「怖いなそれ……分かってるよ、ちゃんと責任は取る」
「まあ、あくまでもここにいる間だけヨツバ王族として過ごすだけでもいい。用事を済ませた後、お前がこの国を去る前にあの王女と結婚し、すぐ別れたとしても私には関係ない」
ホムラ曰く、神殿に挑むことが出来るのはヨツバ王族だけであり、レナがティナと結婚している間はヨツバ王族と認める。但し、神殿で用事を終えた後にレナがティナと離婚してヨツバ王族でなくなったとしても彼女にとっては何も問題はなく、要は自分が同行している間だけはヨツバ王族であるならば彼女にとってはどうでもいい事だった。
レナとしてもティナと結婚を決めたのは目的のためであり、それはティナも承知している。だから神殿で用事を終えれば離婚するつもりだった。そもそもこんな形で結婚を決めるなどあってはならない事だと考えており、ティナの方もこんな形でレナと結婚するのは不本意だという。
『レナたんの事は好きだけど……こういう感じで結婚はやっぱり違うと思う。あ、でも結婚した後にやっぱりレナたんが離婚したくないなら離婚しないよ?その時は一緒に暮らして楽しく生活しようね!!』
『私もレナと結婚するなら第二婦人じゃなくて第一婦人がいい』
離婚する事に関してはティナもコトミンも承諾済みであり、レナは二人の返事を聞いて安心する一方、心の中で勿体ない気がした。どちらも美少女と言っても過言ではない容姿をしており、性格も悪くはなく、良い子である。それにレナもバルトロス王国では年齢的にはもう成人しており、結婚を考えてもおかしくはない。
だが、レナが結婚したい相手と言われて最初に思い浮かぶ相手は「1人」だけであり、その人物以外と結婚したい相手を考えろと言われても思いつかない。いつか、彼女以上に愛せる女性が現れるまでレナは結婚をするつもりはなかった。
「…………」
「おい、どうした?急に黙り込むな、殺すぞ」
「いや、何でだよ。そんな簡単に人の命を奪おうとするな」
「冗談だ。それより、もうすぐ辿り着くぞ」
ホムラの下手な冗談に冷や冷やとしながらもレナは前方に視線を向けると、やがて森の中に存在する遺跡を発見する。深淵の森と同様に周囲を防壁で取り囲まれており、魔物の気配が一切しない。恐らくは「腐敗石」や「結界石」の類と同じような効能を持つ魔石が埋め込まれているらしく、遺跡の周辺には魔物が近づけない仕組みだと思われる。
防壁の傍には畑らしき物が確認され、ここでダークエルフたちは農作物を育てているらしく、畑というよりは果樹園のように様々な果物を実らせた植物が広がっていた。果物の中にはヨツバ王国でしか育てられていない種類も多く、ホムラは果物をもぎ取るとバイコーンに食べさせ、ついでにレナ達にも放り投げる。
「お前たちも食べるか?」
「おっと……ありがとう」
「キュロロッ♪」
「ぷるぷるっ♪」
律儀にレナだけではなく、アインとスラミンの分まで果物をホムラは手渡すと、彼女はバイコーンから下りるとここから先は徒歩で移動する事を告げた。
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