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外伝 ~ヨツバ王国編~
手段は選ばない
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レナ達の目的が西聖将の領地へ赴き、カンナギ神殿に保管されている精霊薬の確保だと悟ったカレハはこれでデブリ国王が復活する事を確信する。そうなれば国王の代理である自分の立場が危うくなると判断した彼女はある方法を思いつく。
『キラウ、貴女は自分の死霊術で操作した死体にも石化の魔眼の力を与えられると言っていたわね?なら、その力を魔物にも扱えるのではないかしら?』
『……どういう意味?』
『人間の死体でなくとも、魔物の死体に石化の魔眼の力を与えられるのならば貴女に頼みたいことがあるの』
カレハは南聖将の領地に軍隊を送り込んだ時、レナ達が倒した赤獣の死体を確保していた。苦労して作り出した赤獣をこのまま処分する事は惜しいと思った彼女はキラウに死霊人形として操らせようと考えていたのが幸いし、キラウは言われるがままに赤獣を死霊人形に変貌させて操作を行うと、予想通りというべきか魔眼の力を宿す。
『キラウ、この街の人間を全て石化して貰えるかしら?まずは手始めに城壁の兵士からお願いするわ』
『何故、そんな事を?』
『敵になり得る存在を排除するためよ。勿論、用事を終えれば元に戻してあげるわ』
『……恐ろしい女』
自分のためならば自分に従う兵士や民衆であろうと犠牲にする事を躊躇しないカレハは、キラウの力を利用して手始めに城壁の兵士達を石化させた。王都に暮らす者の中で最も厄介なのは兵士だけであり、後は力のない民衆を石化させるだけで済む。
数十体のコボルトが城壁や街中に入り込み、たった1日で全ての住民は石像と化す。視線を合わせるだけで身体が石化する能力を持つ魔物を相手に力の無い民衆が対抗する術はなく、戦う力を持つ兵士達の統率者さが黒幕である時点でこの王都の命運は決まっていた。
王都には数万人の民衆が存在し、仮にレナ達が精霊薬を確保したとしても全ての住民を救い出せる量の精霊薬を所持しているはずがない。これでレナ隊を迎え入れる準備を整えたと判断したカレハは王城にて彼等を待ち構えていた――
そしてカレハの思惑通りにレナ達は遂に王都まで辿り着いたが、石像とされた民衆の姿を見てデブリ国王は嘆き悲しみ、自分の過ちでこのような事態を引き起こした事に大粒の涙を流す。
「カレハよ、お主は何という事を……いや、これも全て儂の責任か」
「父上、何を言っているのですか!?」
「そうですわ、父上は何も悪くない!!悪いのはカレハお姉様ですわ!!」
「違う……儂があの子を放置していた事が原因じゃ。もっとあの子と話し合えば良かったのだ……いや、こんな事になるのならばあの時にあの子を処刑していれば……!!」
「お父さん……」
「すまぬ、本当にすまぬ……皆よ、不甲斐ない王を許してくれ」
デブリは石像にされた子供を抱きしめて涙を流し、過去にカレハが過ちを犯したときに隔離などという処分さえ与えていなければこんな事にはならなかったと嘆く。だが、今更そんな事を言い出しても事態は好転せず、レナはデブリに話しかける。
「行きましょう、娘さんを止められるのは貴方だけです。ここで立ち止まっている暇はないはずです」
「あ、ああ……そうじゃな、せめてこれ以上、あの子が罪を犯す前に止めなければ……」
「そうですわお父様!!」
「今は姉さん、いや……カレハを止める事に集中しましょう」
「そうだよ!!皆で一緒に止めようよ!!」
子供達に励まされたデブリは立ち上がると、せめて自分達でカレハを止める事で償いにしようと考える。そして王都の中央に存在する王城に視線を向け、全員が歩もうとした時に突如として地面に振動が走った。
『居合一式・斬』
「なっ……危ないっ!!」
レナ達の前方から突風が発生し、直後に刃物の如き鋭さを誇る衝撃波が迫る。それを見たレナは退魔刀を引き抜き、皆を守るために前に身を乗り出す。
「このぉっ!!」
「ぬおっ!?」
「こ、これは……!?」
正面から退魔刀の刃でレナは「風の斬撃」を切り裂くと、周囲に衝撃波が拡散して建物の壁にかまいたちのように切り傷が生じる。その光景を確認したシュンは即座に攻撃を仕掛けてきた相手の正体を悟り、大声で張り上げる。
「ハヤテッ!!姿を現せっ!!」
『……師を呼び捨てにするとは随分と偉くなったな』
シュンの声を聞いて正面からハヤテは姿を現すと、全員が警戒態勢に入る。先ほどの一撃は間違いなくレナがいなければ何人かは犠牲になっていたはずであり、彼女が本気で攻撃を仕掛けて来た事は明白だった。
ヨツバ王国内でも3本指に入る剣士として有名なハヤテが姿を現した事で全員に緊張感が走り、そんな彼女の弟子であるシュンは自分達に攻撃を仕掛けてきた彼女に冷や汗を流しながらも尋ねる。
「……ハヤテ、あんた何してんだ?何であんな女に味方するんだ!!」
『……私がここに現れたのは私の意思だ。奴は関係ない』
「何だと?」
ハヤテの言葉にシュンは疑問を抱き、カレハの味方として現れたわけではないのならばどうして攻撃を仕掛けてきたのかを問う
※漫画版「不遇職と馬鹿にされましたが、それほど悪くない?」の更新日です!!今日から連載再開です(´;ω;`)ヨッター
『キラウ、貴女は自分の死霊術で操作した死体にも石化の魔眼の力を与えられると言っていたわね?なら、その力を魔物にも扱えるのではないかしら?』
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『人間の死体でなくとも、魔物の死体に石化の魔眼の力を与えられるのならば貴女に頼みたいことがあるの』
カレハは南聖将の領地に軍隊を送り込んだ時、レナ達が倒した赤獣の死体を確保していた。苦労して作り出した赤獣をこのまま処分する事は惜しいと思った彼女はキラウに死霊人形として操らせようと考えていたのが幸いし、キラウは言われるがままに赤獣を死霊人形に変貌させて操作を行うと、予想通りというべきか魔眼の力を宿す。
『キラウ、この街の人間を全て石化して貰えるかしら?まずは手始めに城壁の兵士からお願いするわ』
『何故、そんな事を?』
『敵になり得る存在を排除するためよ。勿論、用事を終えれば元に戻してあげるわ』
『……恐ろしい女』
自分のためならば自分に従う兵士や民衆であろうと犠牲にする事を躊躇しないカレハは、キラウの力を利用して手始めに城壁の兵士達を石化させた。王都に暮らす者の中で最も厄介なのは兵士だけであり、後は力のない民衆を石化させるだけで済む。
数十体のコボルトが城壁や街中に入り込み、たった1日で全ての住民は石像と化す。視線を合わせるだけで身体が石化する能力を持つ魔物を相手に力の無い民衆が対抗する術はなく、戦う力を持つ兵士達の統率者さが黒幕である時点でこの王都の命運は決まっていた。
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そしてカレハの思惑通りにレナ達は遂に王都まで辿り着いたが、石像とされた民衆の姿を見てデブリ国王は嘆き悲しみ、自分の過ちでこのような事態を引き起こした事に大粒の涙を流す。
「カレハよ、お主は何という事を……いや、これも全て儂の責任か」
「父上、何を言っているのですか!?」
「そうですわ、父上は何も悪くない!!悪いのはカレハお姉様ですわ!!」
「違う……儂があの子を放置していた事が原因じゃ。もっとあの子と話し合えば良かったのだ……いや、こんな事になるのならばあの時にあの子を処刑していれば……!!」
「お父さん……」
「すまぬ、本当にすまぬ……皆よ、不甲斐ない王を許してくれ」
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「あ、ああ……そうじゃな、せめてこれ以上、あの子が罪を犯す前に止めなければ……」
「そうですわお父様!!」
「今は姉さん、いや……カレハを止める事に集中しましょう」
「そうだよ!!皆で一緒に止めようよ!!」
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正面から退魔刀の刃でレナは「風の斬撃」を切り裂くと、周囲に衝撃波が拡散して建物の壁にかまいたちのように切り傷が生じる。その光景を確認したシュンは即座に攻撃を仕掛けてきた相手の正体を悟り、大声で張り上げる。
「ハヤテッ!!姿を現せっ!!」
『……師を呼び捨てにするとは随分と偉くなったな』
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「……ハヤテ、あんた何してんだ?何であんな女に味方するんだ!!」
『……私がここに現れたのは私の意思だ。奴は関係ない』
「何だと?」
ハヤテの言葉にシュンは疑問を抱き、カレハの味方として現れたわけではないのならばどうして攻撃を仕掛けてきたのかを問う
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