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外伝 ~ヨツバ王国編~
キラウの暴走、ダインの切り札
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「喰らえっ!!」
『ガアアアッ!!』
赤獣の集団が天井を破壊して出現すると、ダインに目掛けて飛び降りてきた。しかし、その赤獣の群れに対してエリナとハンゾウが動き出し、ミノタウロスも斧を掲げて迎撃を行う。
「そうはさせないっすよ!!連射!!」
「ダイン殿の邪魔はさせないでござる!!辻斬りっ!!」
「ブモォオオッ!!」
『ギャインッ!?』
降りてきた赤獣の群れに対してエリナたちが攻撃を仕掛け、ダインを狙わせないように奮闘する。その様子を見て身体の限界を迎えようとしながらもダインは笑みを浮かべ、渾身の一撃を繰り出す。
「おらぁっ!!」
「ぐふぅっ!?な、何故だ……何故効かないっ!?」
腹部に強烈な一撃を受けたキラウは混乱の極みに居たり、石化の魔眼は先ほどから発動させてダインと視線を交わしているにも関わらず、効果を発揮する様子が一切ない。何が起きているのか理解できないキラウはダインの攻撃に反応が遅れ、徐々に追い詰められていく。
その様子を結界越しに見ていたカレハも戸惑いを隠せず、結界越しならばキラウが石化の魔眼を発動させても彼女は影響を受けない。しかし、他の人間はキラウの確実に何度か彼女の魔眼を目にしているにも関わらずに石化する様子がない。
先ほど、石化されそうになった時はアインがスラミンとヒトミンを利用して精霊薬を放出して石化を解除したのはキラウもカレハも見ていた。しかし、逆に言えば精霊薬さえ浴びせる暇がなければ敵は石化を防ぐ手段はないと考えていた。しかし、現実にダインや他の人間は石化する様子がない。
(いったい何故……まさか、身体に浴びた精霊薬が消えていないからか?それとも精霊薬を浴びた服のせいか?)
キラウに先ほど石化されそうになった人間はスラミンとヒトミンが放った精霊薬を浴びて身体が濡れており、その際に多量の精霊薬が身体や服に付着していた。それが原因で石化の魔眼の効果が発動しても瞬時に石化が解除されるのかとキラウは考えたが、それでも違和感はあった。
回復薬の類は外気に晒し続けると効果を失う特徴を持ち、水晶などの特別の容器に入れなければ長期保存は行えない。それは精霊薬も同じはずであり、いくら伝説の秘薬といっても回復薬と同じ弱点を持つ。なので精霊薬を事前に浴びていようとキラウの石化の魔眼を無効化し続けるなど考えにくい。
「うらぁっ!!」
「がはっ!?」
しかし、現実にキラウを殴りつけるダインは石化する様子も見せず、他の者達も確実に赤獣と視線を合わせているはずだが、石化する様子がない。キラウは何が起きているのか理解できず、どうして彼等が石化する事が出来ないのかと身体をふらつかせながらダインに視線を向けると、何故かダインの首筋から緑色の物体が出現する。
「ぷるんっ」
「……す、スライム?」
「へへ、バレたかっ……けど、これで終わりだっ!!」
――ダインは服の中に分裂したスラミンを隠しており、事前に精霊薬を飲み込ませた分身体のスラミンが定期的にダインに精霊薬浴びせる事で石化の魔眼の効果を妨げるだけではなく、シャドウ・コントロールの肉体の負荷を緩和していた。スライムの分裂能力と水分を吸収して保管する能力を生かした作戦であり、実は全員の服の中にスラミンとヒトミンの分身が隠れていた。
まさか最弱の魔物であるはずのスライムが自分の石化の魔眼を無効化していたという事実にキラウは呆気に取られ、その隙にダインは最後の力を振り絞り、バルに教わった戦技を繰り出す。
「撃、拳!!」
「あぐぅっ!?」
『き、キラウ!?』
全身の力を込めて繰り出されたダインの一撃がキラウの顔面を打ち抜くと、彼女は悲鳴をあげて倒れ込み、そして赤獣たちが力を失ったように床に倒れた。赤獣を支配していたキラウが強制的に意識を失った事で操られていた死霊人形も解放されたらしく、同時にダインも限界が訪れて倒れ込む。
「か、勝った……後は任せたぞ皆」
「駄目、もう少し頑張る」
「ぷるっしゃあああっ!!」
「ぶほぉっ!?」
そのまま疲れて気絶しようとしたダインに対してコトミンが近寄ると、ダインの身体に張り付いていたスライムの頭を小突いて体内の精霊薬を吐き出させる。精霊薬を浴びた事で肉体の負荷が完治したダインは慌てて起き上がると、頑張った自分にあまりの仕打ちをするコトミンに喰ってっ掛かる。
「ちょ、何するんだよコトミン!?今のは頑張った僕が気絶して後は他の人間に任せる流れだったじゃん!?」
「そんな事を言っている場合じゃない、まだラスボスが残ってる」
「ラスボスって何だよ……って、うおおおっ!?」
話している間に二人の間に「光線」が通過すると、驚いたダインは顔を振り向くと、そこには世界最強の魔術師であるマリアとレナ達が激戦を繰り広げる光景が視界に映し出された。
『ガアアアッ!!』
赤獣の集団が天井を破壊して出現すると、ダインに目掛けて飛び降りてきた。しかし、その赤獣の群れに対してエリナとハンゾウが動き出し、ミノタウロスも斧を掲げて迎撃を行う。
「そうはさせないっすよ!!連射!!」
「ダイン殿の邪魔はさせないでござる!!辻斬りっ!!」
「ブモォオオッ!!」
『ギャインッ!?』
降りてきた赤獣の群れに対してエリナたちが攻撃を仕掛け、ダインを狙わせないように奮闘する。その様子を見て身体の限界を迎えようとしながらもダインは笑みを浮かべ、渾身の一撃を繰り出す。
「おらぁっ!!」
「ぐふぅっ!?な、何故だ……何故効かないっ!?」
腹部に強烈な一撃を受けたキラウは混乱の極みに居たり、石化の魔眼は先ほどから発動させてダインと視線を交わしているにも関わらず、効果を発揮する様子が一切ない。何が起きているのか理解できないキラウはダインの攻撃に反応が遅れ、徐々に追い詰められていく。
その様子を結界越しに見ていたカレハも戸惑いを隠せず、結界越しならばキラウが石化の魔眼を発動させても彼女は影響を受けない。しかし、他の人間はキラウの確実に何度か彼女の魔眼を目にしているにも関わらずに石化する様子がない。
先ほど、石化されそうになった時はアインがスラミンとヒトミンを利用して精霊薬を放出して石化を解除したのはキラウもカレハも見ていた。しかし、逆に言えば精霊薬さえ浴びせる暇がなければ敵は石化を防ぐ手段はないと考えていた。しかし、現実にダインや他の人間は石化する様子がない。
(いったい何故……まさか、身体に浴びた精霊薬が消えていないからか?それとも精霊薬を浴びた服のせいか?)
キラウに先ほど石化されそうになった人間はスラミンとヒトミンが放った精霊薬を浴びて身体が濡れており、その際に多量の精霊薬が身体や服に付着していた。それが原因で石化の魔眼の効果が発動しても瞬時に石化が解除されるのかとキラウは考えたが、それでも違和感はあった。
回復薬の類は外気に晒し続けると効果を失う特徴を持ち、水晶などの特別の容器に入れなければ長期保存は行えない。それは精霊薬も同じはずであり、いくら伝説の秘薬といっても回復薬と同じ弱点を持つ。なので精霊薬を事前に浴びていようとキラウの石化の魔眼を無効化し続けるなど考えにくい。
「うらぁっ!!」
「がはっ!?」
しかし、現実にキラウを殴りつけるダインは石化する様子も見せず、他の者達も確実に赤獣と視線を合わせているはずだが、石化する様子がない。キラウは何が起きているのか理解できず、どうして彼等が石化する事が出来ないのかと身体をふらつかせながらダインに視線を向けると、何故かダインの首筋から緑色の物体が出現する。
「ぷるんっ」
「……す、スライム?」
「へへ、バレたかっ……けど、これで終わりだっ!!」
――ダインは服の中に分裂したスラミンを隠しており、事前に精霊薬を飲み込ませた分身体のスラミンが定期的にダインに精霊薬浴びせる事で石化の魔眼の効果を妨げるだけではなく、シャドウ・コントロールの肉体の負荷を緩和していた。スライムの分裂能力と水分を吸収して保管する能力を生かした作戦であり、実は全員の服の中にスラミンとヒトミンの分身が隠れていた。
まさか最弱の魔物であるはずのスライムが自分の石化の魔眼を無効化していたという事実にキラウは呆気に取られ、その隙にダインは最後の力を振り絞り、バルに教わった戦技を繰り出す。
「撃、拳!!」
「あぐぅっ!?」
『き、キラウ!?』
全身の力を込めて繰り出されたダインの一撃がキラウの顔面を打ち抜くと、彼女は悲鳴をあげて倒れ込み、そして赤獣たちが力を失ったように床に倒れた。赤獣を支配していたキラウが強制的に意識を失った事で操られていた死霊人形も解放されたらしく、同時にダインも限界が訪れて倒れ込む。
「か、勝った……後は任せたぞ皆」
「駄目、もう少し頑張る」
「ぷるっしゃあああっ!!」
「ぶほぉっ!?」
そのまま疲れて気絶しようとしたダインに対してコトミンが近寄ると、ダインの身体に張り付いていたスライムの頭を小突いて体内の精霊薬を吐き出させる。精霊薬を浴びた事で肉体の負荷が完治したダインは慌てて起き上がると、頑張った自分にあまりの仕打ちをするコトミンに喰ってっ掛かる。
「ちょ、何するんだよコトミン!?今のは頑張った僕が気絶して後は他の人間に任せる流れだったじゃん!?」
「そんな事を言っている場合じゃない、まだラスボスが残ってる」
「ラスボスって何だよ……って、うおおおっ!?」
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