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S級冒険者編
魔法と精霊の関係性
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「貴方達はどういう風に気になるの?」
「……言葉では言い表すのは難しい」
「なんていうかな、その……とにかく落ち着かないんだよ。僕、暗いところは昔から怖くもないし、むしろ影魔法の本領を発揮できるから好きだったんだけど……ここは何故か全然落ち着かない。むしろ、嫌な予感がする」
「俺も同じだよ……多分、ここには精霊が存在しないのが原因かもしれない」
「精霊が存在しない?」
レナは簡単にこの場所には風の精霊が訪れないことを告げ、話を聞いていたダインも彼は闇の精霊の気配も感じない事に気づく。どうやらこの場所では何故か精霊は存在する事が出来ないらしく、それが魔術師組の感じる違和感の正体だと思われた。
「そうか……ここには精霊が存在しないから、きっと僕たちは落ち着かないんだ」
「精霊がいないと、落ち着かない?」
「どうして落ち着かないの?」
「あのな、僕たち魔術師は魔法を使うときは精霊の力を借りてるんだよ。魔法を使うとき、僕たちに周囲に存在する精霊の力を借りてるんだ」
「でも、それはエルフが扱う精霊魔法の話でしょう?」
「いいや、違うね。精霊魔法というのは精霊を意識して呼び出して魔法を強化させる魔法なんだよ。だけど、普通の魔術師でも魔法を扱うときは無意識に精霊を呼び寄せて力を貸してもらってるんだ」
ダイン曰く、精霊魔法の使い手ではない魔術師でも魔法を扱う際は無意識に周囲に存在する精霊を呼び寄せて力をかしてもらっているらしく、だからこそ魔術師にとっては「精霊」とは非常に大事な存在だという。
「僕も話に聞いていただけで実際に精霊なんて見えた事なんてなかったし、魔法を使うときに精霊の力を借りているなんて信じられなかったよ。だけど、この聖痕という奴が出てから前よりも精霊の存在をはっきりと感じ取れるようになった」
「そっか、ダインは闇の聖痕を持っていたよね」
レナもダインも聖痕の所有者のため、精霊の存在を感じ取り、場合によっては精霊を呼び寄せて従う事も出来た。精霊の力を借りるか借りないかでは魔法の効果も大きく異なり、森人族の扱う「精霊魔法」は分かりやすく言えば精霊の力によって最大限に魔法の効果を発揮させる術である。
「じゃあ、私たちが落ち着かないのは精霊がここにいないから?」
「そういう事になると思うけど……僕もさっきから闇の精霊を呼び出そうとしてるのに反応がないんだよ」
「ダインが闇の精霊にハブられてたりして……」
「何でだよ!?そういうレナだって風の精霊を呼び寄せられないだろ!?」
「冗談だって……でも、参ったな。ここだと多分だけど、魔法の力が弱まるかもしれない」
精霊が存在しない空間なのでレナ達は精霊の補助を受けられず、試しにレナは自分の魔力で魔法を発現させた。
「とりあえず暗いから……光球!!」
「おおっ、何だよ普通に魔法が使えるじゃないか……いや、あれ?小さくないか?」
「結構魔力を込めたつもりなんだけど……これじゃあ、蛍だね」
「小っちゃくて可愛い」
レナとしては周囲一帯を照らすほどの光量の光球を作り出そうとしたのだが、出てきたのは指先サイズの小さな光の塊であり、蛍のようにふわふわと照らす。この様子では明かりとしては心もとなく、これでは暗視の技能を使用して先に進んだ方が頼りになりそうだった。
「ダインも影魔法で確認してみなよ」
「そ、そうだな……なら、シャドーマン!!」
「……あら、可愛い」
ダインは杖を突き刺して魔法を発動させた瞬間、直径15センチほどの小さな影人形が作り出された。しかもいつも以上に体系も補足、まるで鉛筆で描いた「棒人形」のような存在に変化していた。その自分の影人形を見てダインは唖然とする。
「そ、そんな……僕の影魔法が、こんな暗闇の中にいるのにこの程度の魔法しか発揮できないなんて」
「お、落ち込まないで……その、僕は可愛いと思うよ」
「うん、いつもよりも小さくて可愛い気がする」
「でも、戦闘に役立ちそうはないわね」
本体であるダインが落ち込んだあまりに四つん這いになると、影人形の方も同じポーズを取る。どうやらダインの影魔法でさえも精霊の力を借りなければ効力は発揮されず、続けてコトミンも魔法を試そうとして彼女は水筒の水を掌に注ぐ。
「水刃」
コトミンは壁に向けて水を振り払い、普段ならば彼女の手元を離れた水は刃のように変化して壁を切り裂くはずだが、今回の場合は特に変化も起こさずに単純に壁に水を振りかける程度だった。それを見たコトミンは残念そうに首を振る。
「私も精霊魔法が使えない……ここだと回復魔法も使えないかもしれない」
「ま、マジかよ……どうするんだ?」
「だ、大丈夫だよ!!僕たちは平気だし、皆を守るよ!!」
「ああ、俺たちは特に問題ないからな」
「ここは私達に任せて貴方達は下がっていなさい。それに私の雪月花は問題なく使えるみたいね」
魔術師ではなく、戦闘職のゴンゾウ、ミナ、シズネは特に体に影響はなく、シズネの場合は雪月花を抜いて具合を確かめると、どうやら魔剣の類は問題なく扱えるのか特に支障はない。
※最弱職の方を読んでおられる方はお分かりかもしれませんが、最弱職の時代よりも過酷な環境になっています
「……言葉では言い表すのは難しい」
「なんていうかな、その……とにかく落ち着かないんだよ。僕、暗いところは昔から怖くもないし、むしろ影魔法の本領を発揮できるから好きだったんだけど……ここは何故か全然落ち着かない。むしろ、嫌な予感がする」
「俺も同じだよ……多分、ここには精霊が存在しないのが原因かもしれない」
「精霊が存在しない?」
レナは簡単にこの場所には風の精霊が訪れないことを告げ、話を聞いていたダインも彼は闇の精霊の気配も感じない事に気づく。どうやらこの場所では何故か精霊は存在する事が出来ないらしく、それが魔術師組の感じる違和感の正体だと思われた。
「そうか……ここには精霊が存在しないから、きっと僕たちは落ち着かないんだ」
「精霊がいないと、落ち着かない?」
「どうして落ち着かないの?」
「あのな、僕たち魔術師は魔法を使うときは精霊の力を借りてるんだよ。魔法を使うとき、僕たちに周囲に存在する精霊の力を借りてるんだ」
「でも、それはエルフが扱う精霊魔法の話でしょう?」
「いいや、違うね。精霊魔法というのは精霊を意識して呼び出して魔法を強化させる魔法なんだよ。だけど、普通の魔術師でも魔法を扱うときは無意識に精霊を呼び寄せて力を貸してもらってるんだ」
ダイン曰く、精霊魔法の使い手ではない魔術師でも魔法を扱う際は無意識に周囲に存在する精霊を呼び寄せて力をかしてもらっているらしく、だからこそ魔術師にとっては「精霊」とは非常に大事な存在だという。
「僕も話に聞いていただけで実際に精霊なんて見えた事なんてなかったし、魔法を使うときに精霊の力を借りているなんて信じられなかったよ。だけど、この聖痕という奴が出てから前よりも精霊の存在をはっきりと感じ取れるようになった」
「そっか、ダインは闇の聖痕を持っていたよね」
レナもダインも聖痕の所有者のため、精霊の存在を感じ取り、場合によっては精霊を呼び寄せて従う事も出来た。精霊の力を借りるか借りないかでは魔法の効果も大きく異なり、森人族の扱う「精霊魔法」は分かりやすく言えば精霊の力によって最大限に魔法の効果を発揮させる術である。
「じゃあ、私たちが落ち着かないのは精霊がここにいないから?」
「そういう事になると思うけど……僕もさっきから闇の精霊を呼び出そうとしてるのに反応がないんだよ」
「ダインが闇の精霊にハブられてたりして……」
「何でだよ!?そういうレナだって風の精霊を呼び寄せられないだろ!?」
「冗談だって……でも、参ったな。ここだと多分だけど、魔法の力が弱まるかもしれない」
精霊が存在しない空間なのでレナ達は精霊の補助を受けられず、試しにレナは自分の魔力で魔法を発現させた。
「とりあえず暗いから……光球!!」
「おおっ、何だよ普通に魔法が使えるじゃないか……いや、あれ?小さくないか?」
「結構魔力を込めたつもりなんだけど……これじゃあ、蛍だね」
「小っちゃくて可愛い」
レナとしては周囲一帯を照らすほどの光量の光球を作り出そうとしたのだが、出てきたのは指先サイズの小さな光の塊であり、蛍のようにふわふわと照らす。この様子では明かりとしては心もとなく、これでは暗視の技能を使用して先に進んだ方が頼りになりそうだった。
「ダインも影魔法で確認してみなよ」
「そ、そうだな……なら、シャドーマン!!」
「……あら、可愛い」
ダインは杖を突き刺して魔法を発動させた瞬間、直径15センチほどの小さな影人形が作り出された。しかもいつも以上に体系も補足、まるで鉛筆で描いた「棒人形」のような存在に変化していた。その自分の影人形を見てダインは唖然とする。
「そ、そんな……僕の影魔法が、こんな暗闇の中にいるのにこの程度の魔法しか発揮できないなんて」
「お、落ち込まないで……その、僕は可愛いと思うよ」
「うん、いつもよりも小さくて可愛い気がする」
「でも、戦闘に役立ちそうはないわね」
本体であるダインが落ち込んだあまりに四つん這いになると、影人形の方も同じポーズを取る。どうやらダインの影魔法でさえも精霊の力を借りなければ効力は発揮されず、続けてコトミンも魔法を試そうとして彼女は水筒の水を掌に注ぐ。
「水刃」
コトミンは壁に向けて水を振り払い、普段ならば彼女の手元を離れた水は刃のように変化して壁を切り裂くはずだが、今回の場合は特に変化も起こさずに単純に壁に水を振りかける程度だった。それを見たコトミンは残念そうに首を振る。
「私も精霊魔法が使えない……ここだと回復魔法も使えないかもしれない」
「ま、マジかよ……どうするんだ?」
「だ、大丈夫だよ!!僕たちは平気だし、皆を守るよ!!」
「ああ、俺たちは特に問題ないからな」
「ここは私達に任せて貴方達は下がっていなさい。それに私の雪月花は問題なく使えるみたいね」
魔術師ではなく、戦闘職のゴンゾウ、ミナ、シズネは特に体に影響はなく、シズネの場合は雪月花を抜いて具合を確かめると、どうやら魔剣の類は問題なく扱えるのか特に支障はない。
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