不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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5巻

5-3

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「これは……すごいな、もう痛くない。まるで回復薬を使ったときみたいだ」
「それはここの水が綺麗なおかげ……普通の水なら応急手当くらいしかできない」
「水?」
「私は水に魔力を与えて『回復液』を生み出せる。だから水さえあれば回復魔法が使える」

 コトミンの説明によると、彼女が扱ったのは人魚族に伝わる「精霊魔法」の一種だという。水が清潔であるほど回復効果が高いらしい。

「ブモォオオッ!!」
「うわっ!? また来たぁっ!?」
「ちっ!!」

 ゴンゾウが回復している間に息を整えたミノタウロスが、ハルバートを振り回しながらダインに接近した。その攻撃をレイトが前に出て退魔刀で受け止める。武器の形状が変化したことでミノタウロスの攻撃のパターンが変化しており、今度は力任せに振り回すのではなく、波状攻撃を繰り出していた。
 ミノタウロスは柄をレイトの胴体に向けて突き刺す。

「フゥンッ!!」
「うわっ!? 危ないだろっ!!」
「ブモォッ!?」

 レイトは全身の筋肉を利用する「撃剣」の技術を利用して、ミノタウロスの攻撃をはじき返した。
 大剣とハルバートの刃が衝突する度に激しく火花が舞い散る。腕力で劣るレイトは、間違っても鍔迫つばぜり合いにならないように気をつけながら刃を交えた。

「『兜砕かぶとくだき』!!」
「ブモゥッ!?」

 ミノタウロスはハルバートの柄で退魔刀を受け止めるが、自分より一回り以上も小さい人間の子供から繰り出されるとは思えない威力に戸惑う。
 今やレイトはミノタウロスを圧倒していた。

「これで……終わりだっ!!」
「ブフゥッ……!?」
「ウォオオオンッ!!」

 下から振り抜いた大剣がハルバートをはじき返した。その隙を逃さずに、ウルが牙を向けミノタウロスに接近する。先ほどのように首を狙うつもりなのか、と相手は咄嗟に首筋の筋肉を硬質化させるが、接近したウルの狙いはミノタウロスの胴体であった。
 ウルはミノタウロスの脇腹を目掛けて噛みつき、一気に斬り裂く。

「ガアアッ!!」
「ブモォッ……!?」

 ミノタウロスの左脇腹から凄まじい量の血液が噴出ふんしゅつした。

「ブモォオオッ……!!」
「まだ……戦う気か」
「グルルルッ……!!」

 大量の血液を漏らしながらもミノタウロスは戦意を失っておらず、ハルバートを握りしめてウルと向かい合う。だが、ウルの牙によってえぐられた傷は深く、ミノタウロスが倒れるのは時間の問題だった。

「クゥンッ……」
「ウル?」

 そのとき、ウルはミノタウロスに背中を向け、レイトのもとに戻る。そして、もう満足したとばかりにレイトに向けて首を横に振った。
 そんなウルの行動にレイトは笑みを浮かべる。

「分かった。お前がいいなら見逃すよ」
「ウォンッ!!」
「えっ!? 殺さないの!?」

 レイトの発言にダインが驚愕するが、そんな彼にコトミンとゴンゾウが呆れた表情になる。

「ダイン……空気を読む」
「うむっ……」

 だが、自分を見逃そうとしているレイト達に気づいたミノタウロスは怒りの咆哮ほうこうを上げた。

「ブモォオオオオッ!!」

 情けをかけられるのならば死を選ぶ、とでも言うようにミノタウロスは激昂げっこうするが、レイトは退魔刀を背中に戻して接近し、片膝をついているミノタウロスと向き合う。

「お前は殺さないよ。前に会ったとき、お前も俺達を殺そうとはしなかっただろ?」
「ブモォッ……!!」
「お前が弱者に興味がないように、俺達も弱者を痛めつける趣味はない。だから消えろ」

 ミノタウロスはレイトの瞳を見つめ、恐怖で震えた。ミノタウロスは、自分が巨大な「鬼」と遭遇したかのような感覚に陥ったのだ。長年、様々な魔物や人間と戦い続けたミノタウロスにとって、一人の少年に怯えるなど初めての経験だった。
 ミノタウロスはゆっくりと起き上がる。

「ブフゥウウウッ……」
「あ、おい……置いてちゃった」

 右手に握りしめていたハルバートを落とし、その場を立ち去ってしまった。
 その後ろ姿を見送りながら、レイトはミノタウロスが置いていったハルバートをどうするべきか悩む。
 すると、アイリスの声が脳内に響く。

『それは初代勇者が作り出した神器「アックス」ですね。柄の部分に特別な細工が施されていて、レイトさんの「形状変化」の能力のように長さを変えられるんですよ。刃の部分にあるくぼみに魔石を装着すると、魔法の力も使えますよ』
『神器か……こんなのもあるんだな』
『神器は武器だけじゃないですよ。あの死霊使いネクロマンサーのキラウが使用していた、背中に魔力の翼を生やす魔道具も神器の一つです。使用者の魔力を吸収して翼を生やし、空を飛ぶことができます』
『へえっ……』

 アイリスとの交信を終え、レイトはハルバートを試しに拾い上げようとしたが、想像以上の重量に持ち上げるどころか動かすこともできなかった。

「重いっ!? このっ……駄目だ、俺だと持ち上げられない」
「貸してくれ」

 ゴンゾウが近づき、両手でなんとか持ち上げる。

「くっ……これは重い。だが、相当な業物わざものだろうな」
「武器としては使えそう?」
「無理、だな。悔しいが今の俺では扱いきれない」

 せっかく手に入れた「アックス」という神器だが、ひとまずは滝の裏の洞窟に保管するしかなかった。レイトの収納魔法ならば回収できるかもしれないが、相当な重量であるため、下手をしたら収納魔法の制限重量を超える可能性がある。
 ダインがため息を吐きながら言う。

「はあ……だけど、本当によく生き残れたよな僕達。ミノタウロスなんて、普通はA級の冒険者でも五、六人じゃないと討伐できない相手だろ?」
「だから腐敗竜と比べたらどうってことないでしょ」
「いや、そうなんだけどさ……もういいや、レイトと付き合ってると本当に寿命が縮みそうだよ」
「人を疫病神やくびょうがみみたいに言うな。まあ、邪神みたいなのと付き合ってるけど」
『誰が邪神ですかっ!! 呪いますよこのヤロー!!』
「ごめんごめん……」

 アイリスの声に、レイトは誰にも聞こえない声量で謝罪した。
 無事にミノタウロスを撃退したレイト達は洞窟の中に入り込もうとするが、数歩ほど歩いたところで全員が顔をしかめる。洞窟の内部は荒らされており、魔物の死体の残骸ざんがいが散らばっていた。先ほどのミノタウロスの仕業であることは間違いなく、どうやら棲み処として利用していたらしい。

「ああ……人の隠れ家をこんなに汚して。ウル!! やっぱり、あいつの匂いを追ってお仕置きするぞっ!!」
「クゥ~ンッ……」

 ウルが消極的な調子で鳴き、ダインはツッコミを入れる。

「いや、それだとなんのために見逃したのか分かんなくなるだろ!? さっきまでのやり取りはなんだったんだよ!!」

 ゴンゾウが洞窟を見回しながら言う。

「ここは使えそうにないな……掃除するにしても時間がかかりすぎる」
「仕方ない。別の場所に移動するか……あっ」

 レイトは隠れ家の代わりになる場所はないかと思いを巡らせ、一つ妙案を思いついた。


 ◆ ◆ ◆


 ――滝の洞窟から移動したレイト達が向かった先は、森の中に存在する「屋敷」であった。レイトが生まれてすぐに連れてこられてからずっと過ごしてきた場所であり、約四年半ぶりに帰還を果たしたことになる。事前にアイリスから聞いた情報では、現在は誰も住んでおらず、使用人もすでに消えているとのことだった。
 レイトは仲間達に建物の紹介をする。

「ここは俺の家だよ。今は……誰も住んでないようだけど」
「こ、こんな立派な屋敷が、か? 話には聞いていたけど、本当に王族だったんだな……」
「まさかこんな森の中にこれほどの屋敷があるとは……」
「おおっ……でかい」
『ぷるぷる』
「クゥ~ンッ……」

 レイトとしてはやや複雑な気持ちだったが、この森の中でこれ以上に安全な場所は存在しない。魔物の侵入をはばむ腐敗石と結界石で守護されているため、襲われる心配がないのだ。

「ちょっと待ってて……今から開けるから」

 昔は鉄柵てっさくを乗り越えるか、鉄格子てつごうしを「形状変化」のスキルで折り曲げてこっそり潜り抜けるしかなかったが、今のレイトは鍵にれるだけで開錠できる。
 レイトは鉄製の門に取り付けられた鍵を開錠して、仲間達に言う。

「よし、早く中に入って」
「お邪魔します」
「邪魔をする」
「ほ、本当に勝手に使っていいのかな……ここって一応、王国が管理してるんだろ」
「自分の家に入るのに許可なんていらないよ」

 仲間達が中に入り込み、最後にレイトが通って門を閉める。
 森の中には鉄製の門など簡単に突破する魔物も多数存在するが、鉄柵に取り付けられている防衛用の魔石のおかげで屋敷の周囲に魔物が近づくことはない。この屋敷は元々王国の重要人物を隔離、あるいは避難させるために建てられた屋敷なので、防衛面は非常に優れている。
 現在は誰も住んでいないが、それは子供であったレイトが屋敷から脱走したことが原因である。使用人達が彼の脱走の協力をしたのではないかと疑われたのだ。そのため、屋敷の管理を任されていた人間は全員、王都に呼び寄せられて尋問を受けた。といっても、この世界には相手の嘘を見抜くスキルが存在するので拷問されるようなことはなかったのだが。
 それでも子供一人を取り逃がした罪はまぬかれず、使用人達は解雇を言い渡される。彼らの多くはレイトのように「不遇」と認識されている職業であり、新しい仕事に就くことは難しい。そのため中には路頭に迷う者もいた。しかし、多くの人間はレイトの母親であるアイラの願いで、彼女が世話になっている侯爵家の使用人として再び仕えているという。侯爵としても気心の知れた相手のほうがアイラも安心すると判断しての行動である。

「ここを出てから四年以上経つのか……あ、なつかしいなこれ」

 レイトは庭の花壇を見て呟いた。
 現在はすっかり荒れ果てて雑草しか生えていないが、昔はメイドのアリアとともに花壇の世話していた。「栽培」のスキルと薬草に関する知識を得るために育てていたが、せっかく育てた植物がなくなっていることを残念に思う。

「ここで毎日素振すぶりをしていたな」

 レイトは花壇の近くにある井戸に近づく。昔はアリアとともに剣の鍛錬たんれんをしたあと、井戸水で汗を洗い流していた。管理する人間がいないせいか随分と寂れていたが、こうして見るとかつての思い出がよみがえる。
 続いてレイトは地面に落ちている木刀を発見し、拾い上げる。

「昔はこれでアリアと訓練をしてたなぁっ……こんなに小さかったのか」

 彼が思い出すのは、アリアと過ごした記憶ばかりだった。もしかしたら家の中に入れば彼女がひょっこり迎えてくれるのではないかと考えたが、そんなことがあり得るはずはない。
 レイトは気を取り直し、屋敷の中に入った。

「ただいま」

 誰かいるわけでもないが、レイトは無意識にそう口にした。屋敷内は外に比べてそれほど荒れておらず、今にもアイラやアリアが顔を出しそうな雰囲気が残っていた。

『あら、今日もお外で遊んでたの?』
『あ、坊ちゃま!! お勉強の時間ですよ!!』

 レイトの脳裏のうりにアイラとアリアが自分を迎える光景が浮かび、不覚にも彼は目頭を押さえてしまう。
 そんな彼にコトミンとウルが擦り寄った。

「レイト、悲しいときは泣いてもいい」
「クゥ~ンッ……」
「……ありがとう。だけど、平気だよ」
「無理をするな」
「その……事情はよく分からないけどさ、元気出しなよ」
『ぷるぷるっ』

 ゴンゾウとダインもレイトになぐさめの言葉をかけ、スライム達は彼の肩に移動して「泣かないで」と言うように頬擦りした。
 仲間達の反応にレイトは苦笑し、今の自分には外の世界で得られた友人がいるのだと再認識した。

「あ、そういえば……ここに武器庫があったんだよな。何かないか見てくる」
「武器庫? なんでそんなものが屋敷に……いや、こういう場所に存在するんだから、武器くらい保管していてもおかしくないよな」
「みんなは自由にしてていいよ。敷地の外に出なければどこに行っても安全だから」
「分かった」
「私は井戸水を浴びてくる」
「なら僕は適当にぶらつくよ」
「あ、一応言っておくけど、屋敷の品物を勝手に持っていくのはやめておいたほうがいいよ……」
「わ、分かってるよっ!!」

 レイトの言葉に、ダインはギクリとしながらもそう言った。
 仲間達に向けて、レイトはさらに言う。

「それと、黒色の扉にだけは入らないでね。色々と見られたらまずいものがあるから……」
「まずいもの……子供の頃に隠した、おねしょしたあとのお布団?」
「隠すかっ!!」

 この屋敷にある黒い扉の先は、秘密の書庫である。そこにはかつて暗殺された王国の重要人物の報告書が保管されており、まさに王国の「闇」が隠された場所であると言える。レイトが脱出した時点ですでに書庫の中身は別の場所に移送されている可能性が高いが、念のために他の人間が近づかないように注意しておいた。
 全員と別れたあと、レイトは武器庫に向かう。こちらも書庫と同様にアリアから近づくことを禁止されていた場所だが、今は誰もいないので気にせず中に入ることができる。
 武器庫の扉の前に着いたあと、レイトはアイリスと交信した。

『アイリス』
『わんっ!! あ、普通に呼びましたね……今回は犬みたいな呼ばれ方をするのかと予想してたのに』
『それならそこは「わん」じゃなくて「わぅんっ」と吠えなさいっ!!』
『わぅんっ!! ……いや、言っておいてなんですけど、どんなこだわりなんですか?』

 雑談もそこそこに、レイトは彼女から武器庫について質問する。

『部屋を開けたら爆発したり、刃物が飛び出したりはしない?』
『いや、ここは重要な屋敷なんですよ? 火事が起こりそうになる罠はありませんよ。でも、まさかレイトさんがここに戻ってくるとは予想外でしたね。もしかしたらいい機会かもしれません』
『え、どういう意味?』
『この屋敷にはとある武器が隠されています。隠した人間はかつてこの屋敷で殺された人間の一人です』
『ちょっと待って!? 俺の家で殺人事件が起きていたの!? 初耳なんですけど!!』
『そりゃそうですよ。ここは本来、王族を隔離するために用意された場所なんですから。王国に不都合な人間はばんばん殺されています』
『知りたくなかったよ、そんな事実!!』

 脳内で大声を上げるレイトを無視し、アイリスは話を続ける。

『レイトさんが脱出したあと、この屋敷で保管されていたものは全て別の場所に運び出されました。ただ、この屋敷にはまだ王国の人間でさえも知らない隠し場所があるんです』
『隠し場所……』
『実は過去にレイトさんのように不遇職という理由で監禁された王族がいました。その人は自分が近いうちに殺されると気づき、どうにか生き残るために王家の宝物庫から盗み出した「神器」をこの屋敷に隠しました』
『そんなものがあったのか……ちなみにその人の職業は何?』
『初級魔術師です。レイトさんも使っている初級魔法だけしか扱えない職業ですね。当時は不遇職でしたが、今の時代では色々とあって結構優遇されている職業なんですよ』
『へ~……時代によって評価が変わることもあるんだ』
『ええ。その方は自分に唯一味方してくれた家臣の力を借りて、神器を屋敷に運び込むまでは成功したんですが……結局は神器を隠したあとに殺されてしまいました』
『わざわざ神器を持ってきたのに殺されたわけか……可哀想だな』

 レイトはその王族に同情したが、今はそれより神器の隠し場所のほうが気になった。
 彼はアイリスに尋ねる。

『でも、それほどすごそうな道具があったなら、もっと早く教えてくれれば良かったのに。屋敷から抜け出すときに持ち出せなかったの?』
『教えても良かったんですけど……正直に言えば、四年前のレイトさんでは到底扱えない代物だったので黙っていたんですよ。それに、この隠し場所というのが非常に厄介で、当時のレイトさんじゃどうにもできなかったんです』
『え? そんなに危ないところがこの屋敷にあるの?』

 レイトは赤ん坊の頃から、武器庫を除いて屋敷の中をくまなく探索した。アイリスが告げるような危険な場所には心当たりがない。

『もったいぶらずに、神器の正体と隠し場所を教えてよ』
『う~んっ……私としては今のレイトさんに必要なものなのか疑問なんですよね。まあ、あったら便利、程度だと思ってください。隠し場所は武器庫ではなく、庭にあります』
『庭?』

 レイトは少し驚いたが、すぐに神器の在り処に思い当たる。

『そうか、地中に隠してあったのか!?』
『YES!! 隠し場所は庭の地面の中です』

 アイリスの言葉にレイトは納得した。
 初級魔法の中に、「土塊どかい」という魔法がある。これは地面を変形させるもので、「土塊」を使えば深い穴を掘ることだって可能だ。
 神器を隠した「初級魔術師」の王族が扱える魔法は、初級魔法だけ。彼は「土塊」を利用して地中に神器を隠したに違いない、とレイトは考えたのだった。

『庭に花壇がありますよね? あれは、殺された王族の人が隠し場所の目印として作ったものなんです。神器は頑丈な金庫の中に入れて埋められましたよ』
『そうだったのか……地中に隠したということは相当に深いの?』
『深いです。正直、『土塊』の魔法を高レベルに扱える人間じゃないと掘り起こせないほどです。軽く百メートル以上は掘り起こさないと手に入りません』
『なるほど……子供の頃の俺では手が出せないって理由が分かった』

 子供の頃のレイトはアリアとともに行動することが多かったため、一人で自由に行動できる時間がなかった。仮に掘り起こすとしたら夜間になるが、当時のレイトにはそれほどの深さを掘れる量の魔力がない。また、たとえ無事に神器を掘り起こせたとしても花壇が荒れてアリアに怪しまれてしまう。さらに、無事に神器を掘り起こせたとしても別の場所に隠さなければならない。
 レイトはアイリスが話さなかった理由を理解し、続けて尋ねる。

『神器の名前は何?』
『名前は「チェーン」と言います。拘束用の道具として作り出されたくさりなんです』
『鎖?』
『ヒヒイロカネという金属と銀の合金で構成された鎖です。先端には十字架のような短剣が取り付けられており、相手を拘束するだけでなく、身体に巻きつけて防具にも利用できる優れ物です。鎖に魔力を送り込めば自由に操作することもできますね』
『へえっ……』
『ただし、使用する度にかなりの魔力を消費します。それだけに使い手を選ぶ武器なので、王家の宝物庫に保管されていたんですけど……』
『なるほどね』

 レイトは交信を終え、めぼしいものがなかった武器庫をあとにして屋敷の庭に向かう。
 庭の花壇は荒れているが、アイラが大切にしていた果実の木は健在である。
 レイトは樹木に掌を押し当てた。


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